大晦日の夜は紅白歌合戦からのゆく年くる年がやはり定番なのだろう。
私も子どもの頃は紅白を見ていた。好きなアーティストがテレビに出ていると素朴に嬉しかったし、普段は縁のない演歌歌手のステージを見るのも面白かった。
ただ年を重ねるにつれ、幕間の余興を見るのが辛くなってきたので、最近は全く見ていない。ノンストップでアーティストのステージをやってくれるなら見るのになと思う。流行りの曲を知らないというのは紅白を見ないこととは関係がない。
紅白を見ないで何をしているかと言うと、いつもEテレの「第九」演奏会を見ている。まあやっぱり年末は「第九」(ベートーヴェンの交響曲第9番ニ短調 作品125)だよね。「第九」の後もクラシック音楽のハイライト番組をやっているのでそれを続けて見る。年が明ければウィーン・フィルのニューイヤーコンサートだ。
紅白歌合戦は長い間とても重要な役目を担ってきたと思う。今年の芸能界の騒動は紅白歌合戦にも著しく影響するだろうし(※この文は昼に書いています)、それ以前に「紅白歌合戦」という形式はもはやこの時代に相応しいとも思えないし(男女が対等でなかった時代は極めて重要な役割を果たしたと思うけれども、幸福なことにその役目はもう終えられたと思う)、紅白はいよいよ在り方の転換を迫られているような気はするのだが、ともあれ「みんなで歌って年を越していこう」というイベントは今後も必要なんじゃないかと思っている。
みんなで気持ちを分かち合おうとするのならば、やはり歌でなければいけないと思う。自分自身は歌わなくても、みんなが歌っているのを見るというのがよいのだ。第九も合唱付きだから年末に相応しい。
少し前まで、酔っぱらいの集団が肩を組んで何かを叫ぶように歌っているみたいな光景が割とよくあったような気がするが、今はどうなのだろう。自然と歌いたくなるというのは変わらずにあるものだろうか。それともいつの間にか消え去りつつあるだろうか。新型コロナで封印されてしまったかもしれない。もしもそれを失ったならば、人間が人間として生きてきた何万年かの魂を失ってしまうのじゃないかと私は思っている。