タスク管理にプロジェクト管理、目標の設定や自分の価値観の整理といった、日常を進めていくための情報を扱う方法論として、私はTak.さんが提案なさっている「ライフ・アウトライン」を取り入れています。
ライフ・アウトライン実践0-1 はじめに|Tak.(Word Piece)
しばらくはほぼ説明通りになぞっていましたが、コアにある思想は忘れないように気をつけながらも徐々にアレンジを加えるようになりました。
最終的に、「ライフ・アウトライン」を取り込みつつよりメタな視点で情報を扱う構造を自分なりに整えられたと感じているので、ここに整理して書き残しておきたいと思います。
概要
大きな構造として、以下の四つの領域を設けています。これらを「四つのエッセンシャル・アウトライン」と名付けることにしました。
タイムライン・アウトライン(実際にやることの整理)
マイライフ・アウトライン(自分の状況と望みの整理)
フィロソフィー・アウトライン(「人間」についての認識の整理)
グローバル・アウトライン(「世界」についての知識の整理)
実用上は「タイムライン・アウトライン」は「タイム・アウトライン」、「マイライフ・アウトライン」は「ライフ・アウトライン」とすっきりした形で呼んでいますが、意味が曖昧になったり本来の「ライフ・アウトライン」との混同で迷惑がかかったりするのを避けるためにここではより明確な表現をしておきます。
Tak.さんの思想を元に範囲を拡張したものなので「○○・アウトライン」という形で統一しています。輪郭を捉えること、階層的なイメージをある程度持って情報を扱うこと、ということで「アウトライン」という語を用いていますが、私の中ではこれは「すべてアウトライナーを使って階層で情報を管理する」ということを意味しません。適宜他の種類のツールも使います。
Tak.さんの「ライフ・アウトライン」は、そのままなぞるならばWorkflowyやDynalist的なアウトライナー(Tak.さん曰く「プロセス型アウトライナー」)を用いることが前提となります。私は自分流に拡張するにあたってDynalistに加えCapacitiesを活用することになりましたが、具体的な使い分けは後で書いていきます。
Dynalistには以下のようにフォルダとファイルを作っています。
タイムライン・アウトライン
スケジュール、日誌、タスク管理、プロジェクト管理といった、日々の「やること」を扱う領域です。「ライフ・アウトライン」での「DO-DAYS」「DO-ALL」にあたります。
「やること」というのは結局のところ自分のタイムラインに順番に入れて順番に実行していくほかないので、自分のタイムラインをどのように組み立てるかを考え整理する場として「タイムライン・アウトライン」としました。
タイムラインの縮尺は様々あり得ます。一日の24時間はもちろん、一週間、一ヶ月、一年、一生、色々なスパンがあるでしょう。
また、「やること」にかかる時間の短縮に貢献する情報もこの領域で扱います。例えば地図とか所要時間とか、いちいち確認すると時間がかかることをメモしておくわけです。これを「時短メモ」としておきましょう。
私の使用ツールは基本的には以下の三つになります。
Googleカレンダー:スケジュール管理
Capacities:日々のやることの管理と記録、各スパンの検討
Dynalist:時短メモ
CapacitiesではDaily Notesを拠点とし、ProjectオブジェクトやWeekly Notesオブジェクトなどを用意して検討したり記録したりしていきます。
一方でCapacitiesは「出先でパッと確認する」ということには向かないので、時短メモやその他必要なメモは、より素早く確認・編集できるDynalistに書きます。
マイライフ・アウトライン
自分がどんな状況・環境に身を置き、どのような思いや望みを持っているのかを明らかにするための領域です。「ライフ・アウトライン」での「LIFE-BE」「LIFE-AS」にあたります。イメージを短く説明するのが難しいので、是非Tak.さんの解説をお読みいただきたいと思います。
使用ツールはDynalist一本です。ファイルの直下には以下のようなノードがあります。
「LIFE-IS」「LIFE-MAY」というのは私が独自に追加した領域です。これについてはまた改めてnoteを書くかもしれません。
フィロソフィー・アウトライン
「人間とは何か」や「人間としてどうあるべきか」を考える領域です。マイライフ・アウトラインでは自分の個人的な生活・人生に焦点を当てていますが、フィロソフィー・アウトラインではもっと広く、「人間として」という視点で考えます。
自分自身が人間というものをどう認識してどういう倫理観を持っているか、ということももちろん含みますが、他の人の思想、あるいは学問領域に於いて人間はどう捉えられているかを学び整理していく場でもあります。簡単に言えば、哲学の勉強をしたりエッセイを読んだりしたらここにメモする、ということです。
あくまで自分が人間をどう見るかを整理するノートなので、色々な層の視点が混ざっていても構いません。アリストテレスの話もあればXで見たどこかの誰かの話もある、というゆるさのものです。
使用ツールはDynalistです。ファイルの直下は以下のようになっています。(これはサンプル用で、私が実際使っているものとは異なります。)
「自分」も「アリストテレス」も他の偉い人も全部並列しています。その人に関する本や著書を読んだらその人物名の下位にメモを取ります。
「自分」の下位には自分がどう考えているかや、普段何かに対して思ったことなどを書いていきます。まず思うままに書き、後からアウトラインを整理して核にあるものを見出していくことになります。
グローバル・アウトライン
森羅万象について自分が出合ったものを書き留めていく領域です。いわゆる勉強や調べ物の結果はここに書くことになります。
使用ツールはDynalistとCapacities、紙のノートです。事物の多くはオブジェクト的に(「あの人」「あの本」「あの事件」といったふうに)認識することができ、それらはCapacitiesで扱うのが自分の中では自然ですが、語彙や語学についてはどう切り取ってもオブジェクトとしては解釈しづらいので、Dynalistをノートとして用いています。紙に書いたほうがよいものは紙のノートに書きます。
基本的に物事には分類があり、階層で表現されたり認識したりします。その意味で、自分の頭の中でもアウトライン的なイメージがそれぞれの知識に伴い、それをデジタルツール上でもそのまま表現できたら嬉しいという思いもあります。しかし実際ツール上にそのアウトラインを忠実に反映したとしたら、階層が複雑になり過ぎ、おそらく「扱うもの」としては不便でしょう。また、ひとつの事物が複数のアウトラインに属するということが普通にあり得ますが、現在あるアウトライナーではそのことを自在に表現可能とは言えません。
なので、アウトラインというイメージは持ちつつも、実際的にはネットワーク型ツールや紙のノートなど色々なものを適宜使って学びを記録していくのが妥当と考えています。
おわりに
「四つのエッセンシャル・アウトライン」は、一言でまとめると「自分の人生における選択とその背景を可視化するもの」です。
実際に何をどうしなければならないのか、そもそも自分はどういう環境でどういう思いで生きているのか、自分や他者は人間がどうあるべきとしているのか、自分は世界をどれほど知っているのか。日々直面する選択には微細なものから人生を左右するものまで様々なレベルのものがありますが、どんな選択にしろ、何かを根拠にどれかを選ぶことになります。根拠がはっきりしていなければいい加減に選択することになるでしょう。
その場しのぎの選択や他人に依存した選択は自分の人生のコントロール感をすり減らしていきます。自分の選択に確信を持ち納得して生きていくための足場として、(誰しもそれぞれ何らかの形では扱っているであろう)四つの領域を一体のものとしてまとめて考えていこうと思い、このように整理するに至りました。