Noratetsu Lab

動じないために。

ノートを作る前に別のノートでノートの構成を考える

 昔はなかったが今はある習慣として、「ノートを始める時は前もって別のノートで検討する」ということがある。

 紙のノートもそうだし、デジタルのアプリケーションもそうだ。「とりあえずやってみよう」ではなく、継続不可能な要素はないか予めよくよく考えるようになった。メリット・デメリットという観点ではなく、「私はこれを続けられるか」が主眼である。
 まずはどういう思いがあって新しい種のノートを作ろうとしているのかを書き出す。そして目的を満たすために必要な要素を列挙していく。それを組み合わせて、妥当な形式をデザインする。
 最初は「こうやったらいいんじゃないか!?」という工夫欲みたいなものでひねったアイデアがいろいろ出る。ああしてこうしてそうやったら無駄がないしこんないいこともあるぞ、みたいなテンション。
 残念ながら、そのようなアイデアは大抵そのままでは使えない。複雑すぎて汎用性がなかったり、年月が経って見た時に洗練された印象がないことが予想されたりする。つまり、それを長期間は続けられない。

 続けられないということには複数の要因がある。
 まず面倒くさくなるというのが最大の原因である。自由に雑にやることが許されてほしいのに、過去の自分が思い描いたものを成り立たせるためには当時の自分が決めた規則に従わなくてはならない。そのような時、「そこまでしてこれ維持する必要ある?」ということになる。
 逸脱し始めるとノートの秩序は壊れ中途半端なものになっていく。その状態を許容できればまだいいのだが、壊れた秩序というものを非常に不快に思う気持ちがある。これが要因の二つ目である。変な秩序を作り始め、そしてそれが意味をなしていない、その状態は大変に気持ちが悪い。
 環境の変化が継続を難しくすることもある。例えばPCの使用が前提の方法はPCを使える時間が減れば続けにくくなる。ノートが前提の方法はノートを広げられるタイミングに依存しているのでそれが変わればやりづらいかもしれない。
 あとは、秩序の壊れとも関係するが、ある程度続けて時間が経ってから見返してみた時に自分で理解が難しい場合、継続することで財産になっていくという希望が失われてやる気がなくなるということもある。意味のわからないものが後に残っていってもしょうがないのであり、その場その場のフィーリングに任せすぎると未来の自分の心が萎える羽目になる。

 なので、ノートを始めるにあたっては以下のような点に注意しなくてはならない。

  • ルールは極力作らずシンプルにする
  • 美意識的なものに障る可能性がある試みは「いいこと」に思えても採用しない
  • どのような環境に依存したものかを認識し、環境の変化への対応策を考えておく
  • 十年後の自分が読んでわかる書き方にする

 ルールはなければない方がよいが、全くないのがよいというわけでもない。自分を適切に導くレールはあった方がいいし、そのために新たに「○○ノート」を作ろうとしているわけである。
 ただし秩序を作る時にその影響が広範囲に及ばないように、それを「部分」として扱えるような仕組みになっているとよい。その点でバレットジャーナルというのはよくできている。何かの機能がページまたは見開き単位のパーツになっているから、その部分が仮に失敗しても全体に影響は及ばない。
 全ページに適用する欄などを設けるにしても、それを途中でやめてしまっても大勢に影響がないようにしておくとよい。
 少し前に五年後楽しくなっているように記録をつけるという記事を書いた。記録をつける方法の継続性やつけた記録が持つ意味を五年後をイメージして考えてみるという話である。一方で今回は十年後とした。「○○ノート」と題して記述したいことというのは考え事やアイデアなどが多いが、その場合にはより長い期間有効性を保っていてほしい。十年後の自分がわかれば三十年後や五十年後の自分もまあわかるだろう。
 注意点として並べたものを改めて見返すと、例えば「ものづくり」などの世界で気をつけるべきことがそのまま自分の個人的なノート作りにも当てはまるということにも思えてくる。ものづくりと違って個人的なことだから、別にそうしなくてはならないということではない。ただし未来の自分のことまで考えるならば、「未来の人間が困らないように」というための心がけは個人的にやることにも多少持ったほうが後悔が少ないだろう。

 検討を重ねてもうまくいかないことはある。それでも自分のノート使いに対して予測を立てた上でなら反省すべきポイントが分かるので次以降は同じ失敗はせずに済む。行き当たりばったりでやっていると同じことを繰り返す可能性がある。
 うまくいくにしろいかないにしろ、事前によくよく考えておけば結果の根拠が見える。そのようにして地道に自分を掴んでいくしか、迷走を脱する方法はないのだと思う。

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