Noratetsu Lab

動じないために。

もうひとつの(最後の)四象限

 先日、情報整理の図式として三つの四象限というのを示した。

もうひとつの領域

 四象限は以下の三種類である。

 これは自分の行動に伴って発生する情報を三層に分けて捉えたものだが、実は生活上扱う必要がある情報はこれだけではない。
 上記の記事内でもうっすら他に領域があることを匂わせてはいたのだが(Intellectual QuadrantsのFactの説明などで)、記事を書いた当時はその部分をざっくり扱っていたので図式に組み込まなかった。一言で言うといわゆる「知識」の類である。ただ知っておいたほうがいいことや知っていると嬉しいこと。時に行動も伴うが、プロジェクトの形は取らない種のもの(例えば趣味)。

 ここ一週間ほどツール使いについて更に綿密に考えていて、その手のものはどう扱うのが真に納得するのか明らかにすることを試みた。実のところ必要に迫られるものではないから別にどういう形でも構わず、それゆえに情報の形の必然性というのが曖昧なままになっていた。
 知識の類の少なくない部分が、最近の紙類の整理の結果大学ノートなどに居場所を得た。しかし全てに紙が相応しいわけではない。例えば画像を伴うような情報はデジタルの方が都合が良い。
 いろいろ考えていて、そもそもこの領域はどういう領域なのか、ということがはっきりしていないことに気がついた。言い換えれば、この領域を整理することが可能であるのを発見した。

4 Satisfaction Quadrants(充足の次元)

 なぜ知識を得ようとするのか。「必要だから」というのは正確ではない。なくても生きていけるからである。実際、必要だと感じている知識の多くをまだ知らない状態で、しかしこれまでのところ問題なく生きている。それらについて生涯知らないまま生きて一生を終えた人もいるだろう。ただし、知らないままでいるとこの先困るかもしれない、豊かにならないかもしれない、という予感は確かにある。
 結局のところ、満足した人生にしたいからだと言えると思う。知識で何かに備えるにしろ、知ることそのもので快を得るにしろ、それは日々を不満に苛まれたものにしないことを目指している。その意味で、「学んでおかなければならないこと」も「娯楽としてキャッチしたいこと」も同じ次元にあると解釈できる。そしてそれらが何によって自分の中で区別されているのかを整理すればよい。
 ということで、これらを「4 Satisfaction Quadrants(充足の次元)」として以下の四象限に整理した。

実践を伴う 知ることが目的
好みに関わる 趣味 娯楽
好みと無関係 習得 勉強

 各領域に名前をつけるのはあまり意味がなさそうだったので、便宜上典型的な単語を対応させた。以後は括弧付きの「趣味」「娯楽」「習得」「勉強」を(辞書的な意味ではなく)この象限のどれを指しているかという意味で用いる。
 なお「好みに関わる」というのは「好み次第でその内容が変化する種のもの」という意味であり、「好みと無関係」とした「習得」に入るものもただ好きでやっているというのはあり得る。
 具体的には例えば以下のようなもの。

  • 趣味:料理、絵、楽器演奏、習い事全般、ゲームなど
  • 娯楽:音楽鑑賞、映画鑑賞、芸術鑑賞、名言集め、YouTube視聴など
  • 習得:語学、トレーニング、運転など
  • 勉強:時事、政治・経済、法律、その他勉強全般、および読書

 いわゆる「推し活」などは「趣味」と「娯楽」を横断している気がする。「娯楽」としてスタートして「趣味」ができたというパターンは多々あるだろう。好きなことのうち、自分自身が何かをやることにしたものがここで言う「趣味」のエリアであり(趣味という言葉の意味がそうという意味ではない)、その場合ただ好きでいた時にはなかった「自分が何かをやるにあたって必要な情報」の管理が発生することになる。
 読書は「勉強」の領域に入れたが、読書と言っても色々ある。というか、この四象限全てをカバーするのが本というものだと思う。なのだが、「趣味」「娯楽」「習得」に関する本を読む時は、「読書をしている」というふうには認識しない。他の人はどうかわからないが、私はそう。なので、「読書をしている」と感じる読み方をしている時の読書は「勉強」の中に入る。いわゆる読書ノートもそういう読書の時に作っている。そうでなければそれぞれの領域のノートの中に本から得た知識も書き込むということになるので、「読書ノートに書く」というふうにならない。

 ところでこれらはどのようなツールで扱うべきか。本を集めるだけで済むなら、敢えて何かのツールで情報を管理するという必要はないだろう。関連する本をただ並べておけばいい。
 「趣味」のノートは特別に気に入ったノートや手帳を使えばそれでいいかもしれない。「習得」については適当なノートやバインダーを用意すればよいだろう。それらは自分が何かをやる上でのやり方について情報収集することになるわけだが、「やる」ということの形が千差万別なので、ノートに書くべきものの形も同じだけ多様である。こうするのがよいという典型例はないと思われる。インターネットで学ぶこともあるだろうが、そうであっても多分紙にまとめたほうがわかりやすい。参考にする動画リストとかサイトのリストとかは必要かもしれない。
 他方、「娯楽」と「勉強」の類はある程度決まった形というのがある。これらは知ることが目的であり、知ったことは整頓しておくとわかりやすい(別に整頓しなくてもいい)。もし整頓するならば、データベースを使うか、アウトラインでまとめるかということをするのがよいように思う。なので紙のノートに書くよりデジタルのほうが都合がよい可能性がある。
 私は地理や民俗に関わる情報を知った時にそれをどうするかにずっと悩んでいたが、いっそNotionでデータベースにすることにした。と言っても、別に完璧なデータ集を作るということではない。それは個人でやることではないし、目指してはいけない。単に知ったことのリストであり、それが都道府県とかで抽出できたりしたら楽しいなということでNotionを使っている。他のツール(例えばCosense)でやっていた時も分類的・形式的なタグをつけていたのであり、それならNotionのプロパティにしたらもっとすっきりするじゃんというだけの話である。
 あとは好きな音楽とか気に入った俳句とかもNotionのデータベースを使うことにした。俳句は「句」「よみ」「作者」「季語」「季節」というふうに入力していくと非常に良い感じがして、単純に楽しい。これも俳句のデータベースを作ろうとか考えてはならない。自分が出会ったものをメモしておく、その形にデータベースと呼ばれる形式を採用するというだけである。
 全体として、アナログノートまたはNotion、一部のみDynalistという形でカバーしている。

四象限の四象限

 充足の次元を見出したことにより、四象限が四つになった。そうなると、これも四象限で整理してみたくなる。デデン。

内発的 外発的
動的(継続的処理が必要) Life(生活) Intellectual(思惟)
静的(継続的処理は不要) Output(表現) Satisfaction(充足)

 内発的とは、というのは言葉にしづらいので外発的とは何かについて説明すると、自分の外にある何かによって生まれる情報ということで、Satisfactionは自分の外のものそのものだが、Intellectualの方は自分の外にあるものへの反応として考えたことということになる。LifeとOutputは自分が生きているということに伴って生まれる情報の領域である。
 また、動的というのは情報に対して手を加え続けることに意味がある領域ということを示している。自分の生活、自分の思惟はぐねぐね捏ね続けることになる。一方、表現というのはその時点のものを形にしたらそこで完了で、知識の類はそもそも自分が勝手に捏ねて変化させるものではない。整理する場所の手入れはもちろんするしまとめ方の工夫を試み続けるということはあるが、情報自体を変えてしまうわけではない。
 このように分けられるのではと考えたが、この区分は大まかに言い表せばの話であって、絶対的な区別ではない。

 ちなみに使用するアプリケーションは以下のようになる。

領域 次元 アプリケーション
Life 生活の次元 Capacities、Dynalist、Notion、Obsidian
Intellectual 思惟の次元 Dynalist
Output 表現の次元 Obsidian
Satisfaction 充足の次元 Notion(一部Dynalist)

 いやあすっきりすっきり。多分あらゆる情報がこの4×4の16領域のどこかには入る。単に情報を分別しただけではなく(それだけなら前からあれこれ試みている)、それぞれをどう扱うべきかということの理屈を見出したことが大きな進歩である。
 このことについて、とりあえず仮に「個人的情報の16領域(四つの四象限)」という名前をつけておこう。(記事のタグ付けのため。)

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