Noratetsu Lab

動じないために。

メールはアウトライナーで読む

 メールを読む時、メール画面の横でテキストエディタを開いて要点を書き出しながら返信を書くという形をとっていた。そう長くなければ返信画面に直接書いていた。

 

上手くいっていなかったこと

 それで問題らしい問題を生じたわけではないが、ただちょっと、読むのが億劫なメールに対して発生するストレスに何も対処できていないという感があった。

 メールに限らない話だが、文そのものに面白みがなく結局何に力を込めているのかもわからないのっぺりとした文章というのがあって、そういうものを読むのはかなり辛い。メールだと返信しなくてはならないのでそれでも読む必要がある。

 今なら生成AIに読んでもらって要約させるという手もあるにはあるが、一般的な型に従った文書でない場合、AIが枝葉末節と思ったことが本当に枝葉なのかわからないのでやはり自分で読んで自分で判断しなければならないと感じている。

 そういう時、文章自体がそんな調子なのだから読んでいてしんどいのは避けがたいことだと思っていたのだが、いやもちろんルンルン気分でサクサク消化ということにはどう頑張ってもならないけれども、ある程度は楽にする手立てがあるということがわかった。

 

 要点のピックアップをしようとした時に、「バーッと読む」を何度も繰り返すことで対処しようとしてしまうことが多い。文自体が面白ければきちんと読むが、文学的要素・娯楽的要素のない文章は一字一句ゆっくり拾うということはなかなかしない。もちろん「バーッと読む」の繰り返しには自分の理解が間違っていないかを確認するターンも含まれているし、大抵はそれで問題は起きない。

 しかしのっぺりした文章を読む場合、実は一番やってはいけないのが斜め読みなのだと思う。斜め読みが意味をなすのは、長くとも要点が見える文章の場合であって、そうでなければ「さっと目を通す」ということがそもそも成り立たない。

 おそらく起こっていることは難解な哲学書を読もうとしている時と同じことなのだろう。濃淡がわからない、あるいは濃淡がそもそもない文章を斜め読みすることはできない。一行一行丹念に読むのが一番の近道であり、むしろ他に理解の道はない。内容自体が難しいものでなければさっと読めるはずと思ってしまうが、そうできるかは内容より構造の問題であり、例えば子どもが書いた感想文なども斜め読みは難しいだろう。

 何度目を滑らせても理解が進んでいかないので、目を動かすごとに小さな失敗体験が重なっていく。そうなると「こういう文章読むのしんどいんだよな」という印象が強化される。そうして億劫な気持ちが膨らんで読むのも嫌々になり、ますます丹念になど読みたくなくなっていく。見事な悪循環である。

 

アウトライナーで読む

 漸く本題だが、そんな時に威力を発揮するのがアウトライナーだ。できれば各ノードにノート欄があるものがよい。

以下、具体的なサンプルの用意が難しいので、メールではないが写真とスクリーンショットはなんぼあってもいいを例として使う。実際はもっと長い文章を読むことを想定している。

 まず文章をそのままアウトライナーに貼りつけ、内容の一塊ごとに親項目を作って括る。

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 こうすると塊ひとつに含まれる文章は短いものになる。とりあえずこれだけ読めばいいとなれば、文章が如何にのっぺりでも大した苦労はない感じがする。

 読みながら、結局内容はなんなのかを親項目のノート欄に簡潔に列挙する。文意を損なわない範囲で自分の言葉に置き換えてしまった方がよい。

 列挙したらこのまとまりに見出しをつける。内容はノート欄に書いてあるわけだから無理して要約しようとしなくていい。何のまとまりかが判別できれば十分である。

画像

 これを文章全体について繰り返す。他の塊との関連も点検して自分の書いた要旨に間違いがなさそうなら、全部折りたたんでメールの文面を閉じてしまう。すると自分のつけた見出しと要旨だけが並ぶ形になる。

画像

 こうすると結局なんの話だったのかを見渡すのも簡単である。ある程度自分の言葉に置き換えておくと読み返しにもストレスが少ない。全体が見えれば何にどう返信すればいいのかも明瞭になる。

 手間を掛けているようだが、斜め読みでどうにかしようとしたら何度も何度も挑まなければならないのがこれなら一回二回読めば済むので、実際のコストはおそらく増えていない。

 あと非常に重要なのが、後から確認が必要になった時のストレスが全然違ってくるということだ。なんとか理解してその場の返信は済ませても、時間が経って記憶が薄れると確認の際には全文読み直す羽目になる。自分の要約を作っておけば原文を読み返す範囲を的確に絞れる。

 例として自分が投稿した文章を使ったが、そのようにメールに限らず文章全般で使える手だろう。

 (ちなみにサンプル画像の見た目に違和感を覚えた人もいらっしゃるかと思うけれども、これはDynalistのCSSを自分で上書きした状態で、実際のところ私はこのような見た目のツールを使ってやっているというのを示した方がいいかもと思ってそうした。)

 

タイムライン・アウトラインでの管理

 ここからは個人的なシステムの話。四つのエッセンシャル・アウトラインの話を今月頭にしたが、その中のタイムライン・アウトラインにメール用の居場所を設けた。Dynalistに作った「Time」という名前のファイルである。

 このファイルのコンセプトは「今後の『やること』をスムーズにする」ということだ。何かをする時に参照したい情報を(Dynalistに貼っても差し支えない範囲で)一箇所にまとめることを目指している。メールはその後の「やること」を決定づけるものになるし、何かするために後から確認しなければならないことが多々あるので、このファイルが居場所として相応しいと考えた。

 ここに「メール」という項目を作り、その子項目に相手またはトピックの項目を作り、更にその子項目に各メールの項目を作る。この構造は色々考えられる。私自身もこれが自分にとって一番いい形態かはまだわからないので、これから変える可能性はある。全部時系列にしてタグなどを使うことにしてもいい。

画像

 各メールのタイトル行には日時を記述しておく。Dynalistは「!」を入力するとDate Pickerが出てくるのでそれを利用すると良い。この機能を使うと検索で日時を自由に絞ってピックアップすることができる。(なおDynalistの日付の表示は英語圏仕様なのだが、それだと見づらいので自作のChrome拡張機能に搭載したスクリプトでYYYY/MM/DDに書き換えている。)

 そしてタイトル行のノート欄にはそのメール全体の要旨を書いておく。こうして並べておけば、メールサービスのスレッド機能で繋がったものよりわかりやすい。

 

 このようにしてみると、むしろ何で今まで無策のまま生きてきてしまったのかと自分の愚かさに打ちのめされる気持ちになるのだが(大袈裟)、ともかく「なんだ、こうすりゃいいじゃん」という感のある方式に行き着くことができた。(ちなみに今まではプロジェクト用ノートみたいなところにやり取りごとの要点を書き出す形を取っていたが、正確な確認の際にはやはりその都度メールを探して全文読み直しになっていたので認知資源の消費が大きかった。)

 これは実際的な暮らしにアウトライナーを積極的に活用するモードに最近なったから思い至ったことで、血流が良くなることは大事だ。

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