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世間観察メモはナンバリングしながら書き溜めることにした
社会や事象、人物などに対して、「これはこういうことなんだろう」と仮説を頭に浮かべることがある。ネガティブな場合もポジティブな場合もニュートラルな場合もあるが、いずれにしても確証が得られるまでは使い物にはならない仮説・憶測だ。
そのまま言ってしまってもいいが、言ってしまう方が良いわけではない。ポジティブな場合でさえ、ポジティブに思っているのは自分だけで、推測が的を外していればその対象にとってはありがたくはないものだ。
殊人間が対象の話はなるべく黙っていた方が賢明だろう。黙っていると自分が苦しいという場合に限り、やむを得ず必要な分だけ吐き出す、というつもりでいたい。
言ってしまわないとして、しかしそれをそのまま忘れ去ってしまうのももったいない。いつか実のところを確かめられるなら確かめたいし、自分が何かに思い巡らした履歴は残した方が人生の希薄さも和らぐだろう。確証はなくとも人生訓として持っておくのは悪いことではない(常にそれが妥当か問い続ける必要はあるにしても)。
で、じゃあそれをどう保存するのか。これがまあなかなか決着がつかなかった。だいたい大層なことではないし、アイデアと言うほど発展が期待できるものでもないから、「保存」という行為がそもそもマッチしにくい。内容の方向性も多岐にわたっていてカテゴライズも難しいし、言ってしまえば世界の全てが対象になり得る。
やがて思い出したのは、外山滋比古著『思考の整理学』に書かれていた「メモ」「ノート」「メタ・ノート」の三点セット(のうちの「メモ」)。そして樋口健夫氏の「アイデアマラソン」だ。要するに、ナンバリングしながら時系列に詰めて書いてしまえ、ということを思ったわけである。分類はせず、個数が溜まっていくことを少し喜ぶような形だ。
ただし私の場合こういったものは自分が専門として扱いたい領域ではないので、外に向けて書く可能性のあるアイデアと混ざると嬉しくない。なのではっきり分けて取り扱うことにした。基本的にはこれらのことは雑記帳的なノートにも書かないことにして、何かを思ったらQuickDynalistで打ち込んでDynalistのInboxに送っておいて然るべき場所に転記する。
その然るべき場所というのが難しいわけだが、まずDynalistに専用ドキュメントを作ってやってみることにした。全部フラットに並べていくと縦に伸びすぎるので、25個ずつまとめてツリー状にし、それが増えたら更に20ずつ括る(つまり20×25=500個がぶら下がる)ようにするつもりでいた。
とりあえず50個弱書いて、まあ特に大きな不満はなかったが、その後に作ったアナログノート風デジタルノートツール(Digital Notebook[^1])がこの用途に相応しい感じがしたので結局はそちらでやることにした。
大学ノート風の見た目なので、文章が短ければ下に余白ができる。Dynalistに書いていくとわざわざ空行を作らない限りはみっちり詰まる。この違いは割と大きい。一覧性はもちろんDynalistの方が遥かに上だけれど(全部開いた状態にすればスクロールするだけで全部追えるのだ)、加筆しやすさはおそらく大学ノート風ツールの方が勝っている。Dynalistも当然追記は自由にできるのだが、詰まってしまっているより余白がある方が「なんか書けないかな」という気持ちになる。
とはいえ個数が増えていくと一覧性のなさが気になってくるだろうと思う。でも自分で開発しているツールなので、必要になったら一覧ビューを作ればいいやと思っている。
デジタルなノートを作った
先週末から新しいツールを作り始め、昨日の時点でほぼ完成した。
(※まだ公開はしていません。)
とっても紙のノートっぽいアプリケーションになっていると思う。
手書きではないというのが最大の違いだが、それを除けば「紙のノートの延長」と言える感じになった。
デジタルツールなので、ページの入れ替えはもちろん可能だし、ページ間リンクも設定できる。大学ノート風の見た目だがルーズリーフのように差し替えられ、かつ、ルーズリーフと違って裏表の縛りはない。単位は1枚でも見開きでもなく1ページである。
上のスクリーンショットだと左に1ページ目、右に2ページ目が表示されている。この状態で「次のページ」に移動すると、1ページずれて左に2ページ目、右に3ページ目が表示される。つまり、表示は見開きだが見開き単位でめくるのではない。紙のノート及びルーズリーフで微妙に困っていたのが「ページと見開き」の関係だったのだが、このツールではそこに困ることはない[1]。
なお、連結されたページの塊をノートブックと見なしている。連結は自由に組み替えられ、ノートブックはいくらでも作ることができる。連結を切ればそこでノートブックは二冊になる。
紙面の制約もない。基本的には普通に表示される範囲で収まるように書くが、別に大幅にオーバーしても構わない。ページ内でスクロールできるようになっている。
Markdown記法を使えるようにしているので、書き方の幅も結構広い。ちょっとした表とか画像が使えるようになっているとやはり便利だ。(あんまり凝ると手間ばかりかかるので、手で書いた方が早いなら手元の紙のノートに書くけども。)
いつでもすぐ開きたいページは、pin設定すれば左端にインデックス付箋風にリンクが作られる。先頭の1文字しか表示していないが、マウスオーバーで本文を確認できるので迷うことはない。
右端のインデックス付箋で色々な機能にアクセスできる。検索とかページ一覧とか。付箋風のメニューにすることで「ボタンやアイコンがごちゃごちゃあって煩わしい」という気分を回避している。それらの機能は右ページの領域に表示され、見た目としては大学ノートの裏表紙裏のような感じになる。
右下にちらっと端が見えているのは簡易入力欄(メモパッドと呼んでいる)。諸々設定可能なちゃんとした編集画面は左ページの領域に表示されるのだが、「パッと入力できる」感はあまりないので、簡易入力欄を別に用意し、マウスオーバーでスッと開いてサッと書いてワンクリックですぐページ化できるようにした。
他にも色々搭載してある。紙のノートを使っていて「こうだったらいいのにな」と思っていた部分の解決をあの手この手で試みている。
今のところ、順番に並ぶことに全く意味がない情報は他のツール(例えばScrapboxやObsidian)でやるべきだが、前後関係を踏まえたい情報はこれで良さそうという感じがしている。
紙のノートの使い方が各々独特なように、このツールも私に最適化しているので、見た目の素朴なアナログ感とは裏腹に万人向けツールにはならない(UIを万人向けに設計しづらい)。なのでサンプル公開はどうするか考え中。
それにしても爆速で作れたなと思う。コーディングもCSSも随分自由になった。その前に作った「TextManager」と比べるとかなりの違いがある。
紙のノートは見開きが単位になるが、ルーズリーフは1枚が単位なので、見開き単位では扱いにくい。そのどうにもしようがない違いがいつも気になっていた。 ↩︎