営業妨害
営業妨害という言葉がある。
真面目な文脈では、実際に相手の営業を妨げて損失を与えるような場合に言われる。
人気商売の人々の戯れでは、ワルっぽいキャラで売っている人について「本当はいい子」「実はすごく真面目」みたいな人間性の良さを暴露することを、冗談めかして「営業妨害だ!」と言うことがしばしばある。
基本的に「商売」の文脈で使われる言葉だから、書き物の世界ではあまり聞かない言葉のように思う。営業というのは一応営利目的の事業や売り込みのことだから、商業作家以外の書き物を営業と言うのは馴染まないということはある。しかし最終的にいくらかの利益を得ることに繋がるかもしれないなら書き物も広義の営業と言って良い気がする。そしてそれを邪魔する行為は巷に溢れている。この場合は本当に妨げる方の営業妨害。
誤解した状態で論じることで、元の文を書いた人が恰もそういう文を書いたかのように見せかける、というのは、意図的であれ意図しないものであれ営業妨害だろう。元の文章を読みに行かないで難癖だけ読んで鵜呑みにする人もいるし、読みに行ったとしても「この文はおかしいらしい」という前提を持っていれば伝わるものも伝わらない。
これは「ネガティブな評価は営業妨害である」という話ではない。批判はあって然るべき。でも曲解を吹聴するのは批判とは言えない。建設的な理由が何も無くただ印象を悪くするようなことは単なる営業妨害でしかないように思う。