全ての情報をひとつのツールで扱えたらいいのにという思いは絶えずある。
記事を書き始めた最初の頃にも、アウトライナーをうまく使えないことについて書いた中でその話をした。
何かのツールで完全にオールインワンを実現している人というのはいるのかどうか、いるとしてどのくらいいるのかは全然わからないのだが、たぶん、実現できていない人(あるいはそうする気がそもそもない人)が多数なのではないかと思う。
個人的な見解としては、現状のツールだとどれを選んでも私はオールインワンを実現できない。それぞれの機能の特徴が一長一短ということもあるし、「ツールを切り替える」ということが自分の中で必要になっている面もある。
それは作業を並行して進めたいから複数同時に開いておきたいという意味でもあるし、違うツールを使うということがスイッチになって自分のモードが切り替わるという意味もある。○○用のツールはこれと決めれば、それを開いた時に○○のモードになるということだ。前者はマルチウインドウ式ならひとつのツールで達成できるが、後者はツールが違っていないと成り立たない。
それならそもそもオールインワンなんか目指さなくてよくない? という疑問が生まれる。それはその通り。
しかしそれでも複数のツールを使うことに多少の不本意さを感じてきたのは、つまるところ、データがバラバラになっている感じがしていたからだ。それぞれのアプリケーションでデータの規格は違っているし、何かを探すとなればツールごとに検索する必要がある。自分が持っているデータを総合して扱うということができない。
このことはもうどうしようもないと長い間思っていた。インポートとエクスポートの機能が各ツールに備わっていてかつその形式が一致しなければデータを移すこともできないし、という感じで。
しかしながらここ最近は、このことについて悩まなくなった。
同時に使っているツールは過去最多のような気がする。メインのものというのはあるが、限定された用途のみのツールを含めれば、Capacities、Dynalist、Obsidian、Cosense、Notionを全部並行して使っていることになる。それでも混乱はないし不本意さもない。
というのは、「データを一箇所に集めようと思えば集められる」と思えるようになったからだ。
複数のツールを使っているが、ツール選択には条件がある。それは完全なデータをエクスポートできるか(あるいはローカルにあるか)、APIで直接取り出せるかということだ。よりよいのはAPIでデータの編集までできることだが、それは全てが備えていなくともとりあえず構わない。
更に重要なのは、そうして取り出したデータを特定の規格に揃えられること。自力でやるにはプログラミングのスキルが必要だが、別に高度なことはない。ちょっと勉強すればできるようになる。
ここまで来れば、自分があちこちで扱っている全てのデータがたった数個のコマンドで繋がることになる。アプリケーションとアプリケーションが直接連携しているわけではないが、「バラバラ」感はかなり薄れる。
実際、ツール間のデータの引っ越しを結構やっている。CosenseのデータをDynalistに移したり、DynalistのデータをmdファイルにしてObsidianに移したり、やろうと思えば大体どうにかなる。
情報が複数のツールに分かれることによってバラバラになることが気になるのは、「この先ずっとバラバラであり続ける」からというのが大きい。アプリケーションがデータを出力する機能を備えていなかったり、データを加工する手段を自分が持っていなかったりすればデータはアプリケーションの数だけ分かれてそのままになってしまう。
データを出力できるアプリケーションを選び、データを加工する手立てを得ておけば、オールインワンを理想としながらも複数のツールを使う生活をしてモヤモヤとすることはない――と言い切っていいかわからないが、とりあえず私はモヤモヤしなくなった。
今気をつけていることは、出力したデータを他の規格に揃えやすいように書き方に注意しておくことだ。あんまり囚われても良くないのでカチッと決めるということではないが、あまりにも無秩序でめちゃくちゃになると加工しにくいのである程度は形式に意識を向ける。特にDynalistやCosenseのような自由度の高いツールは自分なりのフォーマットを作っておくかどうかで活用しやすさが大きく変わってくるだろう。
また、そういう軽いルールは必ずしも自分を縛るものではなく、どこにどの情報を書くか決めておいた方がその都度判断せずに済んでむしろ助かる場合もある。自由すぎて場当たり的な使い方を続けているようなツールは、後々の加工しやすさを基準にフレームを作ってみるとツールの使用感がよくなる可能性もある。
とはいえ、データは出力さえできればどうにでもしようがあるので、「気をつけておくと後でちょっと楽」という程度に考えておく。そのうち自分にとっての定番のフォーマットというのが定まるだろうし、そうなれば形式の維持に認知資源コストを費やすこともなくなるだろう。