Capacitiesに自分で定義しているオブジェクトタイプの話。今回は「年」を扱うオブジェクトについてです。
前回、前々回は複数のオブジェクトタイプについてまとめて書きましたが、今回はひとつです。「Daily Note」に合わせて「Yearly Note」と名付けていますが、要するにある年の情報を扱うためのオブジェクトタイプです。
前々回にMusicオブジェクトの話をしましたが、「リリース年」プロパティはこのYearly Noteオブジェクトへのリンクの形にしています。GameオブジェクトやPlaceオブジェクトなどでも同様にYearly Noteオブジェクトを使っておおよそいつの話かがわかるようにしています(ないしはそうする予定です)。
様々なオブジェクトからリンクされることでその年の雰囲気がわかるというのが存在意義のひとつですが、もちろんYearly Noteオブジェクト自体にも書き込んでいきます。
運用を始めてそんなに経っていないのでまだ見本とするには弱々しいですが、今のところこのような形になっています。
何をしたいのか
Yearly Noteオブジェクトで達成したいことは、「つまるところ、この期間はどういう雰囲気だったか」がひと目でわかるということです。日々の細かいことはDaily Noteオブジェクトに書かれていますが、Daily Noteにいくつかのビューがあるとはいえ、それだけでは俯瞰できているとは言えません。ただ全部並んで表示されればいいというわけではなく、俯瞰の高度を上げるに従って記述がおおまかなものになっていかないと、全貌を把握するためにいちいち認知資源を大量消費してしまいます。「参照しに行く手間が減る」ということと「俯瞰できる」ということは別物と考えています。
ということで、Dailyを俯瞰するものとしてWeekly欄を作り、更により大きい粒度(例えば月や春夏秋冬)での振り返りをしつつ、その年に入ってからの変化を随時まとめる場を設けています。ちなみに、以前は春夏秋冬という区切りで考えようとはしていませんでしたが、昨今は気象が生活に及ぼす影響が甚大なので、どういう気候の元での生活がこうだったのかというのがわかりやすいように季節に焦点を当てています。その中に月単位の話などを書いていきます。
最初の最初は月単位や週単位でのオブジェクトを作ることも考えていましたが、週単位で作っても私の生活では「あの週」と言って指さしたいタイミングがなく、月単位だと週単位の区切りと合わないのが気になります。あまり細かくオブジェクトを作る意味がないので、Dailyの次はYearlyということにしました。
Weekly
Weekly欄はCapacitiesならではの機能を活かしたつくりになっています。
Capacitiesでは何日から何日までという期間のリンクを貼ることができます。そうすると、その期間に含まれるDaily Noteを開いた時、下部のDate references(≒バックリンク)欄にその箇所が表示されます。
予めWeekly欄を用意しておけば、Daily Noteを新たに開いた時点でもう週まとめ用の記入欄が存在していることになります。
また肝心なのは、Daily NoteからWeekly欄を直接編集することができる点です。わざわざYearly Noteオブジェクトを開いてWeekly欄を探す必要はありません。(これはCapacities特有の利点というわけではないと思います。)
適当なタイミングで振り返ってWeekly欄に重要な内容を転記しておくことで、後々Yearly Noteを見ただけで様子を俯瞰できるようにしています。
ホームとして
Capacitiesを使い始めた当初、トップページとかホームにあたる場所が欲しいと思い、「Home」と名付けたページを作りました。基本的にはDaily Noteを開きっぱなしにしてはいるのですが、毎日流れていくものなので固定された場が別に欲しかったのです。
しかしながら、そう思いながらもHomeを開くタイミングがそれほどなく、どんな内容がHomeに欲しいのか自分でよくわかっていないような状態でした。CapacitiesにはPin機能もあるので、今ホットなページへのリンクをまとめておくというような必要もあまりありません。なので漠然と「目に入ったら良さそうなリンク」などを並べていました。
そんな中、Yearly Noteを作ってしばらくしてはたと気がついたのが、今年のページを今年のホームとして使えばいいのでは、ということです。
「Home」というページの問題点のひとつが、ホームとして適切な状態であるように更新し続けなくてはならないことでした。いや、もちろん本当の意味で「そうしなければならない」わけではありませんが、アクティブなページとして意味をなすにはメンテナンスが必要なわけです。で、要らなくなったものをえいやっと除去していければいいのですが、なんとなくそうしがたいことがしばしばあります。ページ自体を消してしまうわけではないにもかかわらず、そのページへのリンクをなんとなく取り除けないのです。「たまには見そう」みたいな曖昧な理由で残してしまったりします。そうして雑然とした感じが続きました。全く合理的ではありません。
私の中でなぜそういうことが起こっているのか。Yearly Noteをホームにしたらいいんじゃないかと考えた時に思い至ったのが、「ホームが最新版しか存在できない状態だから」だということです。つまり「○年✕月時点のホーム」みたいなものがなかったのが私にとって問題でした。じゃあ「Home」の下の方とかページの複製とかで「○年✕月時点のホーム」を作ればいいかというと、それもなんだか微妙です。スクリーンショットを残せばいいということではない感じがします。
Yearly Noteは基本的には「後から俯瞰できるように記録しておく」というために作ったものですが、「今」必要な俯瞰の場にしようというのが「ホームにする」ということの意味です。で、Yearly Noteには季節や月などを単位としてトグル項目を作ります。そうすると、その期間の間そこがホームということになります。期間が過ぎたら折りたたみ、その時点でホームにしていた状態がそのままそこに残ります。記録として作るのではなく、使った後がそのまま記録になるということです。
なお、通年で参照するようなものはもちろんトグル項目の外に置きます。なのでYearly Noteは二つ以上の時間感覚が重なった状態のホームになります。
使った後がそのまま記録になる、というのはデイリーのメモでは半ば当たり前になりつつあることで、全然真新しい発想ではありません。プロジェクトのためのノートでも当然にそうなるでしょう。ですが、個人的には「日」よりも長いスパンで「時」に焦点を当てたノートについてそのようにすることはなかったような気がするので、地味ながら確かな転換点になったように思います。