今年の初めごろ、ライフ・アウトラインを拡張して最終的に四領域に整理して四つのエッセンシャル・アウトラインということにした、という話をした。また、そこからはみ出るものを含めて四つのエリアとした。
四つのエッセンシャル・アウトラインと四つのエリア
そもそもどういうものだったかを整理する。
四つのエッセンシャル・アウトライン(DynalistのファイルおよびCapacities)
名称 | 役割 |
---|---|
Time / タイムライン・アウトライン | 実際にやることの整理 |
Life / マイライフ・アウトライン | 自分の状況と望みの整理 |
Philosophy / フィロソフィー・アウトライン | 「人間」についての認識の整理 |
Global / グローバル・アウトライン | 「世界」についての知識の整理 |
四つのエリア(Dynalist内のフォルダとして存在)
名称 | 役割 |
---|---|
Essential | 四つのエッセンシャル・アウトライン |
Collection | ブックマーク、画像、その他収集物 |
Output | 自分の創作物(文章など) |
Miscellaneous | Dynalistの使い方などメタなメモ、どこにも当てはまらない種の情報 |
そこから更に領域の区分の見直しを進め、現在は三種の四象限によって整理するに至った。
それぞれ英語表記するが、日本語表記だと固有名詞感が薄く日常の言葉に埋もれてしまうのがその理由で、そしてアルファベットなのはカタカナ語として市民権を得ていない語を用いていることによる。
4 Life Quadrants――生活の四象限
まず生活および「私」の次元の四象限。ライフ・アウトラインが基礎になっている。
Actual(実際) | Directional(羅針盤) | |
---|---|---|
DO(行動) | Deed | Guide |
BE(存在) | Profile | Conviction |
意味合いと使用ツールは以下の通り。
領域 | 意味 | 使用ツール |
---|---|---|
Deed | 具体的計画と行動 | Capacities |
Guide | 行動を補助する情報 | Obsidian |
Profile | 自分の実像 | Notion |
Conviction | 自分の信念・指針 | Dynalist |
それぞれの領域に英単語を当てているが、普段それらの単語で指して呼ぶことはない。対応するツールまたはツール内の領域の名前(フォルダ名やファイル名、ページ名)で呼んでいる。それだと人に説明がしにくいので、便宜上各領域の性格に対応した名前をつけることにした。
ライフ・アウトラインの「DO-DAYS」「DO-ALL」を合わせたものが「Deed」、「LIFE-BE」「LIFE-AS」を合わせたものが概ね「Profile」ということになる。「Profile」には自己分析のほか、自分の個人的な暮らしや好悪に関わること全般が含まれる。好きなものランキングみたいなものも含んでいる。
「Guide」はタイムライン・アウトラインと呼んでいたもので、「やること」のために必要な情報を総称している。何かのやり方や計算、用例集の類など多種多様な資料・記録が含まれる。生成AIとのチャットをmdファイル化したものもここに入る。
「Conviction」はフィロソフィー・アウトラインだったものの一部で、自分はどうすべきか、人間とはいかなるものであるか、のような信条・理想をまとめる領域である。自分が個人的に信じるものであり、他人にとっても同じように意味を持つものではない。
4 Intellectual Quadrants(Outlines)――思惟の四象限
次に思惟および「社会」「世界」の次元の四象限。フィロソフィー・アウトラインとグローバル・アウトラインを再構成した。
社会 | 個人 | |
---|---|---|
実際 | Fact(客観的事実) | Consider(観察と解釈) |
追究 | Pursuit(真理の追究) | Conviction(信念の追究) |
この次元は全てDynalist上で扱う。なので「4 Intellectual Outlines」とも呼んでいる。
科学的な事実、時事の状況、本に書いてあったことなどを、自分が考える素材として「Fact」ファイルに集める。それを元に、「Consider」ファイルで仮説を練って、こうだと言えそうなことを「Pursuit」ファイルにまとめていく。こうあるべきというふうに考えたものは「Conviction」ファイルに書く。
ただし「Fact」は知ったことを全てガンガン詰め込んでいくというものではない。単に「へえ~」と思ったようなことはここには置かない。事実の類は読書ノートも含め基本的にはまず紙に書き、そのうち自分の思索に関わることは、リンクされるべきカードとして存在してほしいので「Fact」に転記するという流れである。
なお「Consider」ファイルは自分が何をどうするかの検討の場も兼ねる。情報整理の方法などについてもここで考える。具体的にやることが決まったら先述の「Deed」領域に移り、Capacitiesにプロジェクトとして書く。こうすることによって、Capacitiesには「やるかどうかわからないこと」が溜まらないようにしている。
「Conviction」は「4 Life Quadrants」中のものと共通である。なので、共通してる感を出す図を作るとこうなる。
こうするとなんだかすごい感じがするが、それはそういう感じがしているだけで、このようにまとめることにはあまり意味はない。
この四象限のやり方としては、ルーマンがやっていたZettelkastenをルーマンの思想にできる限り忠実にDynalistで再現することを試みているような形だ。(もちろんWorkFlowyその他でもできる。しかし個人的にはファイルを分けられることとファイル単位でアーカイブ設定(検索除外設定)ができるかどうか、そして必要が生じた時にAPIで自由に操作できるかが重要なので今のところDynalist一択。)
「Fact」「Pursuit」「Conviction」はノードをカードとして扱う。そして関連性や派生の関係によってカードに親子関係を作っていく。しかしカード間の関係性は基本的にリンクで示すので、アウトライン構造はそこまで重要ではない。単に見てわかりやすい、目で探しやすいという程度のものである。もちろん位置がもつ情報は大事であり敢えてめちゃくちゃにすることはないが、システム上各カードはどこにあっても支障はない。
「Consider」は結論が出る前の段階全体をカバーする領域なので、各ノードはカードではなく普通にアウトラインを構成する小さな記述である。文脈が重要であり、アウトライン操作を積極的に行って思考と理解を整理していく。
参照されるカードを含むのは「Fact」と「Pursuit」だけで、それらだけが他のファイルでのノードリンクのサジェストに反映されるようになっている。「Conviction」はカードだが個人的な信条に過ぎないので、事実に基づいて考えている領域にリンクを貼ることはない(貼ってはならない、くらいのイメージ)。「Consider」はノード単体で意味をなすものではないので他所にリンクすることはない。
4 Output Quadrants――表現の四象限
最後に表現の次元の四象限。四つのエリアでOutputとしていたものと、日記・フリーライティングを合わせたもの。
描写 | 解釈 | |
---|---|---|
Public | SNS | 記事 |
Private | フリーライティング | 日記 |
各領域に敢えて名前をつける必要は感じなかったので、単純に何が含まれるかを分類した。典型的なものとしてそれぞれに対応させているが、実際はいずれも横断的に内容を含んでいる。
発表したものと個人的な日記は一般的にははっきり分けて扱う気がするが(私自身分けて扱っていた)、結局その時点で自分の中にあったものを言葉にしたという点では同じだし、公開したかしていないかの差しかない。ブログというもの自体、その境界を既に曖昧にしている。なのでこれらはまとめて扱う方がすっきりするのだと気がついた。
これらは基本的にObsidianで扱う。「4 Life Quadrants」中の「Guide」もObsidianだが、これらに共通するのは、もう事実として固定されていることであるということだ。要は考えているうちにぐにゃぐにゃ形が変わるということがないもの。情報として生成したら、その後は参照するものとして存在している。
Twitter(X)やBlueskyの発信は月単位でmdファイルにしており、フリーライティングも月単位でファイルを作って書くようにした。ポストしようと思って言葉にはしたが結局発信しなかったもの、もBlueskyなどと同じ規格でmdファイル化している。
日記らしい日記は今のところ書く習慣がないので専用の領域は用意していないが、日記的要素はSNSなどに含まれているので、Obsidian内のどれかのファイルに存在していることになる。もし日記らしくちゃんと書きたいとなればObsidianのVault内に領域を作ってmdファイルに書く。
四アプリケーションの分割統治
以上のことを四つのアプリケーションで扱っているわけだが、その性格を大まかに整理するとこんな感じになるだろう。
現実 | 机上 | |
---|---|---|
完了すること | Capacities | Obsidian |
解釈し続けること | Notion | Dynalist |
それぞれのツールのどの要素が各領域に対して相応しいのかという具体的な理由もあるが、それについては話し始めると長くなるので別の機会に。
自分の人生上、最も無理がなく美しい形になっていると思う。