アウトライナー(Dynalist)と仲良くなったという一連の話の一つ目は、ファイル・フォルダ機能について。
Dynalistの特徴の一つとして、「ファイル(ドキュメント)*1」そして「フォルダ」の概念が存在することが挙げられるだろう。他のアウトライナーだと、複数ファイルの概念がないとか、フォルダはなくてファイルを入れ子にできるとか、色々と違いがある。
参考:Dynalistの基礎:ドキュメントとフォルダ | R-style
フォルダによって整理可能なファイル一覧というのは、普通に編集するアウトラインの外に更にアウトラインを作るものと言える。Dynalistのメイン画面はプロセス型アウトライナーだが、ファイルとフォルダの部分もアウトラインとして考えると、プロダクト型アウトライナーにもなるわけである*2。
この柔軟性の高さは長所でもあり、また使い方に必然性が生まれず混乱の元にもなるポイントだ。良くも悪くも自由で、それが「良く」働くのか「悪く」働くのかはユーザーの使い方にかかっている。
Dynalistはいつ使うか
ファイルとフォルダの使い方の話に入る前に、まずそもそもDynalistをどういうタイミングで使うのかということを整理しておきたい。
情報のすべてをDynalist上で扱うわけではないし(そもそも最近は一時的なメモにしか使っていなかった)、デイリーページ的なものもここには作らない。いくつかのアプリケーションによって成り立っている情報管理の「系」の、その一部を担うものとしてDynalistがある。
今月からDynalistに担わせることにした領域は、一言で表すと「ケリがつくこと」。何かのプランを練る、問題の解決を図る、文章を書く、ToDoをまとめておく、…といったことだ。
逆に、「担わせてはならない」と固く決めている領域が「蓄積させるもの」「永久保存版にしたいもの」である。別にアウトライナーはそういうものに合っていないとか言いたいのではなく、個人的に失敗が続いているのでやめておくことにしているだけのことだ。具体的には、日記*3、アイデア、引用集、自分にとっての○○ランキング的なリスト、…といったものである。
ファイルの粒度
さて、「プランを練る」「問題解決を図る」「文章を書く」といったことに使うとして、ファイルはどうすればよいか。やり方は色々あり得るだろう。
あれこれ開くのは煩わしいから一つのファイルに全部入れる
月単位や週単位などでファイルを作ってその中にその期間の分をまとめる
「プラン」「問題解決」「文章執筆」といったファイルをそれぞれ作る
Dynalistとの付き合いは結構長くなるのだが、「やっぱりDynalistを使おう」と思い直す度に、それ以前とやり方を変えつつこれらの形を試してきた。
で、試行錯誤の結果はというと、結局Dynalistを使うのをやめるということを繰り返してきたので、どれも自分にとってはいまひとつだったことになる。
最近気づいたことがある。それはファイルの粒度のサイズ感についての囚われである。
ファイルもフォルダも数や階層に制限がないのだから、全く自由に使って良いのだが、なんとなく、ファイルひとつはそれなりの規模になることを前提として考えていた。例えば項目が3つしかなくてもいいはずなのだが、そんなに小さい規模の話ならもっと大きい括りの中の一部にすべきだ、という感覚があった。「すべき」というほどの強さを自覚していたわけではなかったが、しかし粒度の小さいファイルを作ることを当たり前に却下していたので、強さで言えばかなり強い縛りになっていたと思う。
そうなるとファイルはそれぞれそれなりに大きいサイズのものになるわけだが、するとフォルダを使うタイミングがよくわからなくなってくる。今までは「Archives」みたいなフォルダを作って過去のものをまとめて放り込むというような感じでしか使えていなかった。あとは別に括らなくていい分類のためにわざわざフォルダを作ってまとめることが多かった。フォルダ機能があるのだから共通項でまとめてみるか、みたいな感覚である。
フォルダ機能があるということは、ファイルが大量になってもいい感じにまとめておけるということだ。そしてファイルが大量になるということは、基本的には粒度を小さく使うということになるだろう。粒度が小さくても大丈夫だよというメッセージをきっとDynalistは発してくれているのに、私はそれを全然キャッチしていなかった。
自分は何が欲しいのか
ということで、結局どうするのか。ファイル一覧部分のスクリーンショットを貼ってみることにする。左が本来の見た目で、右は自分でCSSを適用した状態の見た目である。
まだ活用し始めたばかりなのでファイルの数は多くない。日を追うごとにどんどん増えていくだろうし、用が済んだものは年単位とか月単位でアーカイブ用のフォルダを作って入れていくことになると思う。
ポイントは、「継続的な課題」「イベント(計画)」「トラブルシューティング」をフォルダとして、その下に個々の案件をファイルにして配置していることだ。Dynalistを開くと常にこれらが全部見えていることになる。
前回の記事で、ファイルとフォルダのことを「自分に必要なことの発見」に分類し、それをつまりは「自分は何が欲しいのか」だと書いた。
自分は何を欲しかったのかと考えると、アウトライナーでやりたかったことはいつでも「自分の意識を占めているものを可視化したい」ということだった。それだけではないが、それがいつも核にあった。「思い出し直す」ということが大きなロスに思えて、それがなくなるようにしたかった。
アウトライナーは可視化に貢献するツールであって、特定のファイル内のアウトラインで整理しても良いような感じがするが、私はどのくらい可視化を欲しているのかというと、「リストが入ったアウトラインを開く」というステップもなくしたかった。常時見えていてほしいのだ。1案件1ファイルにすることで、「My files」の欄に全て並べておけるようになった。
一応これと同じことはObsidianやLogSeqでも可能だ。それらだと自分でリンクを書く必要があり、またその際に取捨選択できてしまうのが良いところでもあり微妙なところでもあるが、ともあれDynalistに限られた使い方ではない。RemNoteでもドキュメントを並べておける(こちらも良くも悪くも取捨選択の余地がある)。
そういった他のツールだと比較的当たり前にやれることが、「ファイル」というものに対する余計な囚われのせいでDynalistではなかなかできないでいたとも言える。最近やっとその囚われを解除できて、気づいてみればなんということのない普通の使い方がようやくできるようになった、ということだ。
ところで、スクリーンショットを撮るために本来のスタイルで表示してみて気がついたが、普通に表示したらファイルの各行が高さを取りすぎていて表示できる数が随分少ない。ファイルの粒度を小さくして一覧できるようにするというやり方は、CSSを書き換えないとひょっとするとあんまり有効でないかもしれない。
関連
*1: Dynalist上では「file」と書かれたり「doc」や「document」と書かれたりしており、一覧部分は「My files」となっている。
*2: プロセス型アウトライナーとプロダクト型アウトライナー
*3: 前にDynalistで日記を書くことについて書いたことがあるが(デジタル日記の試み④~Dynalistに日記と日誌のファイルを作る~)、一瞬は良かったものの、やっぱりやめてしまった。