語ると言っても単に自分の個人的な思い出話をするということだけど、それでもわざわざするということには何か意味があると思う。
普段音楽について語ることはあまりない。タイミングがないし、相手が知らないものの話をしてもしょうがないから話題として選択されない。逆に相手が知っているものについて話すには自分に造詣が足りない。
音色や曲調を基準にして曲単位で好きになるから、或るアーティストについて詳しくなるみたいなことがあんまりないし、カルチャーとしての音楽界にはそんなに興味がない。中高生の頃は人並みにヒット曲を追いかけていたし好きなアーティストっていうのがあったけど、今はそんなにそういう風には楽しまない。ヒット曲はヒットするだけあるなといつも感心はするんだけど、「追いかけたい」という熱意にならない。
こんなんだから人を相手に話す機会はないし、SNSでも言う気にはあまりならない。自分の音楽についての思い出話というのは全然大した話じゃないんだけど、でも流してしまうような「どうでもいい」ことでもないから、もうちょっと大事に喋りたい。
といっても、別に言いたいのを我慢していたわけでもない。言わなきゃ言わないでまったく問題はない。だけど、ここにちょこちょこ書いていると、自分そのものの輪郭がちょっとはっきりしてくる感じがして楽しい。
あまりにも大ヒットしたような曲について敢えて「好きだったなあ」と言ったりするのも、なんというか、みんな知っている曲について言及して意味あるんだろうかみたいなことを考えてしまったりしたんだけど(他の人が大ヒット曲について話しているのをネガティブに感じることは全然ないんだけどね)、まあ別にいいじゃんね。
確かに、相手に情報が全然増えていかない話というのは退屈だから、同じものを同じように好きだという共感を生める確信がない限りは、あんまりにも自明なことは普段の会話では取り上げにくい。
でもこの場所はそういうコミュニケーションの場じゃないし、私の「茶の間」なので、普通のことを普通に書いてもいいやと思う。