年始にやっていた松本清張原作のドラマ『顔』を見た。録画したままになっていたのを消化ということで。
テレビ朝日開局65周年記念 松本清張 二夜連続ドラマプレミアム 第一夜『顔』|テレビ朝日
原作は読んでいないけど、確認するまでもなく大胆にアレンジされている。深刻な現実が畳み掛けられて見ていてかなりしんどかった。本当にしんどかった。何がどうとは言わないが、明らかにリスクが非対称である現実。これ一月三日放送だけど正月三が日に見るものではない…。
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後半の聖良(武井咲)と弓子(後藤久美子)がデスクチェアで遊んで笑い転げるシーン、現実は何も「良く」なってはいないけど極限状態からの少しの解放が二人をどれほど自由にしたかを表していて印象的だった。二人が笑えば笑うほど、展開上その後に必ず訪れる断罪の瞬間を思って苦しくなった。
半分あたりの時点で、これこのまま進んで最後はどれほど陰鬱な終わり方になるのかと思ったけど、ラストは良い引き方だったと思う。二人の戦いは続いていくし、ちゃんと二人は戦っていくのだという希望が見えた。その後作中世界でネットがどんだけとんでもないことになったかを想像せずにはいられないけど、そこまで描いていたら「どうしてこんな不愉快な思いをしてまで物語を見なきゃいけないのか」という気分になって終わったに違いないので、最後の幕がスッと閉じられたのはとても良かった。全部言わなくても、現実を嫌というほど知っているのだから十分だ。
武井咲のリアリティがすごかったなあ。容姿も声もぴったりで、武井咲が演じたのを見てしまうと他の如何なる俳優もこの役はできないのではと思ってしまう(実際どうかは置いておいて、気分として)。後藤久美子はめっちゃくちゃ久々に見て「こんな感じだったっけ!?」と驚いた。正直声の演技がもう一歩で惜しかったなと思ったけど、なんというか、見れて嬉しかったので良いです。さすがに存在感は抜群だと思う。
そういえば、「後藤と武井が火花を散らす、女同士の極上のバトル」とか書いてあったけど、全然そういう話じゃないです。一瞬だけ弱み握って(というか恩で)取引みたいなやり取りはあったけど別にバトルはしてないのよね。というかむしろ…という感じ。すーぐそうやって女同士のバトルとか言うからそういうさあそういうあれがさあゴニョゴニョ…。
まあそういう謳い文句で釣ってこの物語を突きつけて視聴者を煩悶させる作戦だったのかもしれないけど。