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デジタル日記の試み

デジタルツールで日記をつける試みの変遷をまとめたシリーズ記事。

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2021/11/22

デジタル日記の試み④~Dynalistに日記と日誌のファイルを作る~

 デジタル日記の試み語り第四回。今回で現時点の試行錯誤の報告としては最後になる。

 迷走時代→Scrapbox→Notion+Word、と来て、結局今どうしているのかという話をしていく。


 

 Notionで日誌、Wordで日記というスタイルは一ヶ月半くらい続けていたが、今現在は日誌も日記も併せてDynalistをメインにしている。前回までの力説はなんだったのかと言われそうだが、ここまでの試行に何らかの手落ちがあったというのではなく、それはそれで良くて、今現在の自分により合うものを模索したらDynalistに辿り着いたということである。
 Dynalistとの付き合いはそれなりに長く、苦闘の日々は以前「アウトライナーの使い方ド下手問題」として記したのだが、最近になってガラッと使用感が変わった。というのは、ブラウザの拡張機能によってCSSを上書きして表示を変えてみるということを試したことで、Dynalistが元々備えていた機能に対する「使いたさ」が変わったからである。具体的に見た目をどうしているかは今回の趣旨から外れるので語らないが(Dynalist自体が提供している機能ではないのでそもそもこれ以上語らないかもしれないが)、ともかくそういう経緯によってDynalistをもっと使いたくなり、日記・日誌の場所をDynalistに移すに至った。その結果今になって利点を理解した機能もある。私はDynalistのことを全然わかっていなかったのだ……。

 CSSをあちこち変えているので普段実際に見ている景色とはかなり違うのだが、一応Dynalist上で日記や日誌をどう記述しているかという画像を貼っておく。まず日記はこちら。

画像

 前回のWord同様なんてことのない光景である。
 ひとつポイントがあるとすれば日付タグだ。Dynalistではタグとして「@」から始まるものと「#」から始まるものの二種類を設定することができ、私はDynalist内全体で「@」を日付専用にすることにした。タグをクリックすればその日に関わる記述を探すことができるが、「@2021」で検索すれば2021年の記述が、「@2021-11」なら2021年11月の記述が、「@2021-11-2」なら2021年11月下旬の記述が抽出される。Diaryファイル内で日付を検索することはないが(順番に並んでいるので見ればわかる)、他のファイルにフォーカスしていて横断検索をした場合に日記も引っ掛けることができるのは安心感がある。なお、必ず同じ書式で書くならタグにしなくても構わないのではあるが、アイデアを書く時などに「日付を書いたぞ」というのを明示したいということがあり、日付はタグにすることで統一している。
 ここで補足しておくと、Dynalistには日付を入力する機能があり、「!」と打てば日付選択のカレンダーが出てくるのだが、個人的には@タグの方がシンプルでやりやすいのでタグを使っている。
 日記の書き方は適当で、別に敢えて「残したい」とは思わないようなものでも構わず書く。消したくなったら消せば良い。アウトラインを閉じてしまえばしょうもない記述の圧迫感などは霧散するので、残っていて不都合を感じることはほぼない。とはいえもし悪口や憤りを書いたりした場合には、隠していても負のオーラが放たれる気がするので適当なタイミングで消してしまったほうが良いかもしれない。
 日記は巻物状であってほしいということを二回にわたって強調してきたが、Dynalistはどうかというとこれも下位項目を全部開いてしまえば普通のテキストファイルと同じく巻物状である。PCからの操作に限ってしまうが、ショートカットキーによって一段階だけ開く(それ以下はその時点での状態による)こともできるし(Ctrl+.)、全部バッと開いてガッと畳むこともできる(Ctrl+Shift+.)。むしろ好きな粒度で「巻く」ことのできる柔軟なデジタル巻物と言えるかもしれない。アウトライナーの折り畳みはパタッと折り込むあるいはグシャッと潰す(collapse)イメージを持っていたが、模造紙にそうするようにくるくる巻いたり広げたりするイメージを当てはめることも可能だろう。
 横断検索で日記を引っ掛けられるのは安心だと書いたが、状況によってはArchive設定にして検索に掛からないようにすることもあり得る。とはいえ、ファイル自体の位置が下の方なら横断検索での検索結果も下の方に表示されるので、ファイルの位置を気をつければ基本的には検索に掛かっても気にならないし、Archive設定にすることはあまりなさそうである。

 次に日誌はこんな感じ。内容はサンプル用の架空のもの。

画像

 日記とはファイルを分けており、こちらは記録用であって事実だけを書いている。日記は日付の子項目にメモを並べているが、日誌の方は日毎の階層を作らず項目にいちいち日付タグをつけている。そして#タグでおおよその種類を区別していて「前回どうだったっけ」といったこともすぐに見つけ出せるようにしている。日常生活での出来事は大抵一行で済ませるが、必要があれば子項目を作る。
 また、プロジェクトなどは別のファイルにそのプロジェクトについて説明する欄を作っておき、日誌ファイルではプロジェクト名へのリンクを貼る。そうするとリンクをクリックしてプロジェクトの項目を開いた時、下部のバックリンク欄に経過が全て並ぶので便利である。よってタグは一般的な括りに留めておき、固有名詞は行リンクを使うことにしている。
 日記と日誌とで重なる要素があると思うと、タイトルのつけ方などでなんとかして工夫して一箇所にまとめたくなってしまったりするのだが、我慢して二つの場所を明確に分けることで見返しやすさを高めている。相互にリンクさせたい場合は行リンクを貼ればいいだけなので、場所を分けることに今のところデメリットは感じない。

 具体的なやり方は以上だが、NotionとWordの組み合わせに不満はなかったのにどうしてDynalistに移ることにしたのか。
 端的に言うと、Notionで日誌をつけるということが今の自分の生活に対してちょっと仰々しすぎるように感じたためである。僅かに手間もかかるし、また実際の手間以上に「手間をかけている感」が大袈裟で気疲れしてしまう。良いやり方だとは思うのだが、そこまでしなくていい。Notionで便利に感じた要素を踏まえて、もう少し身の丈に合った方法に縮小させたくなった。結果として、Notionでのプロパティで得た感覚をタグと行リンクの使い方に応用してDynalistに移行するに至った。なお、日誌以外の用途(例えば本の情報管理など)ではNotionの活用を継続している。
 こうして日誌要素をDynalistに移し、また見た目を自分好みに整えたことにより、Dynalistを使う頻度や時間が増した。そうすると日記要素もとりあえずDynalist内に書いておきたくなる。元々、スマートフォンからメモをする時には簡単にPCと同期できるメモ置き場としてDynalistを選択しており、結局どこからでも一度Dynalistに書き込まれることになった。Wordを使っている間はスマートフォンからのメモをわざわざWordにコピペしていたのだが、PCでもまずDynalistに書くとなるとWordに移す手間に疑問を感じざるを得ない。前回、Officeソフトについて画像の取り回しの自由さを讃えたばかりだが、日記の大半は画像を伴わない記述である。また、素朴な「なんてことのない」記述は「移す」という行為と合ってないようにも思う。やはりここでも仰々しさへの違和感を覚えたと言えるかもしれない。
 とはいえ、日記として書きたいものが全てアウトライナーの形式に合っているわけでもない。そういう感じじゃない、ということが発生するし、もう少し修飾したいこともある。ということで、Wordの日記は内容を限定して継続することにした。紙の手帳に綴るようにレイアウトやデザインを気にしたいような大事な内容はWordの機能を遺憾なく発揮して記すことにして、単に「なんかこんな気分だなあ」というようなものはDynalist内に書く。上記の日記サンプルにも記述してあるが、Dynalist内にWordのファイル名を書いたノードを用意し(使用ツールの一覧みたいなものを作ってある)、Wordに書いた時にはDynalistの日記ファイルにそのノードへのリンクを貼って「このことについて○○.docxに書いた」という旨を記載しておく。そうすれば情報の分散に後から振り回されることもないだろう。

 このような形で、最近はDynalistに日記・日誌をつけることで納得している。いい加減どこかに落ち着きたいのでここがゴールであってほしい。「デジタル日記の試み」と題した記事が延々続かないことを祈って、まずは全四回ということで終わりにしたいと思う。
 

2021/11/20

デジタル日記の試み③~Wordで日記らしい日記を書いてみる~

 デジタル日記の試み語り第三回。

 前回は「日誌」をNotionにつける試みについて書いたが、今回はその間「日記」をどのように書いていたかという話を書いていきたい。


 

 前回の最後に以下のように書いた。

 私の理想としては日記は巻物のようであってほしく、時系列順にずーっと続いた形で表示されてほしいのだ。実物の巻物は後から加筆するのが難しいのでアナログ巻物を日記とするわけにはいかないが、頭の中にあるイメージとしては巻物に見立てられることを前提としている。
 これを踏まえて、適切なツールを考えてみると、まず浮かぶのはプレーンテキストである。メモ帳を開いてただ書いていってもいいし、階層付きテキストを扱えるソフトを使ってもいいし、Markdown形式で適宜見出しを付けながら書いてもいい。テキストだけなら余程の量を書かない限りは動作に支障が出ることもなく、管理上分割する必要があるというのでなければたったひとつのファイルに丸一年分くらいは書けそうである。見た目にあまりこだわらないのならプレーンテキストで十分であろう。
 ただ、個人的には自由に修飾を加えたいし、且つプレビュー画面がエディタ画面と分かれていないWYSIWYGのツールを使いたい。

 その結果思い至ったのが、Microsoft Wordの活用である。
 なおOfficeソフトとの付き合いや思い入れについては、先日Office日誌:思想を自分の手に取り戻そうにまとめた。また、ファイルやツールの見た目を自分の感性に合うように整えて使うということをOffice日誌:フォントと背景で「自分の場」感を演出するで書いた。Officeソフトに対する私の基本姿勢について書いているので、よかったらそちらもどうぞ。
 さてWordで書く日記が具体的にどのような形式かというと、以下のような形である。(内容はサンプル用)

画像

 実に「どうということもない」という感じの、普通の見た目をしている。
 日付は見出しレベル1、下線の引かれた部分が見出しレベル2で、必要に応じてレベル3、レベル4まで用いている(基本的にはなるべく階層を浅く保っている)。Wordは左ペインにナビゲーションウィンドウを表示することで常時アウトラインを俯瞰できるので、見出しを活用すれば記述が増えても全体を把握できなくなるおそれはない。
 見出しの書式は自分でスタイルに手を加えて自分好みになるように設定した。印刷するものでも発表するものでもないので、シンプル且つ一目でレベルが判るような見た目にしている。
 Webレイアウトにすれば改ページを気にする必要はないが、私は紙のノート感を若干感じたいので、A4横で余白やや狭めの二段組に設定して印刷レイアウトで表示している。だいたい日単位で改ページしているが、一日の記述が紙面の半分にも満たない日が続いた時は改ページしないこともある。気分で適当にやっている。
 更に、Officeソフトはファイル内の要素にジャンプするハイパーリンクも設定でき、Wordでは見出しに設定されている要素と自分でブックマークを設定した部分にリンクすることができる。よって過去の特定の記述にジャンプするリンクを貼ることも可能である。

 あと忘れてはならないのは画像の取り回しである。今改めてOfficeソフトと向き合ってみると今更に驚いてしまうのだが、画像の加工や表示方法の豊かさは一般的な情報整理ツールでは到底得難い。
 単に画像を表示できればいいのなら画像をそのままベタッと貼れればそれで十分だろうが、例えば日記のように自分の気分が良くなるように色々と調整したい場合には、ただそのまま貼り付けただけでは味気ないし気分が乗らない。縁を付けたり影を添えたり斜めに傾けたりトリミングしたり色を変えたりと多様な手段によって自分好みに加工し、また前面でも背面でも文中でも自由に配置することができるのは、仕事用以上に自分用のファイルでこそ威力を発揮する機能なのではなかろうか。(Officeソフトでできること以上の細かいこだわりがある場合には別途専用の画像編集ソフトを使う必要があるだろうが、ある程度見た目を整える程度なら十分である。)
 腐れ縁の気分で「Wordの機能」として見てしまうともしかするとどれもダサいかのような気がするかもしれないが、ダサいかどうかは使い方の問題であり、Wordでできる加工自体が全部ダサいわけではないように思う。用いる効果と色味の組み合わせ次第である。

 また、肝心の内容は前々回で書いた通りだが(要するに何でも良い)、とにかく「フォーマットを作らない」ということを決めて死守している。夏休みの絵日記の宿題ではないのだし天気も書いたり書かなかったりで、どの要素についても書きたければ書けばいいし書く気が起きなければ書かなくていい。日記と言っているが書かない日もあるし、書くことがないと自分が思ったならそれで良いことにしている。
 必ず書くと決めることによって生み出される成果ももちろんあると思うが、私の場合はそういう自分ルールは己を雁字搦めにするデメリットがメリットを遥かに上回ってしまうので、「とにかく書く」より「とにかく書きにくくしない」ということを重視することにした。

 Wordに書くことによって、巻物のように時系列に並び続け、アウトラインを俯瞰でき、ファイル内リンクも設定可能で、画像は様々に加工し得て、またフォントや背景に各種スタイルなど全体のテーマも好みの形にでき、手書きの日記に近い自由度とデジタルならではの処理をどちらも獲得できることに気がついた。
 もしもっと明確な(あるいは対外的な)目的がある用途で用いるならば各機能に力不足感を覚えるかもしれないが、日記というごく個人的でライトな用途で使う上では「色々なことがおおよそできる」というOfficeソフトのバランスに助けられる。

 そしてもうひとつ個人的に大きな変化があったのだが、それは「スマホでも扱えるということにこだわらない」という感覚を取り戻したことである。
 Office日誌:思想を自分の手に取り戻そうでも書いたが、環境の都合によって一度スマートフォンをデジタルの拠点にした時期があったために、PCの比重が増してからも「スマホでも見れる・編集できる」ということに固執するようになってしまった。スマートフォンから見ることができない情報にどことなく不安を覚えるのである。
 しかし、日記なんて別に四六時中アクセス可能性が保証されていなくても構わない。確認したくなることがあるとすれば「いつ、何をやったか」という事実の情報で、それは前回書いたようにNotionに書き出していた。そのように日記と日誌を分けることによって、全部一箇所に、そしていつどこからでも見れる形にしなければ、というこだわりを手放すことができた。不安に対して視覚的な楽しさの方が勝ったから上手くいったのだろう。
 日記を通じてその感覚を得たことにより、日記以外のことでも冷静にスマートフォンからのアクセスの必要性について検討することができるようになりつつある。この点でも、情報整理ツールの群雄割拠時代に敢えてWordに立ち戻る選択をした甲斐があったと感じている。

 次回は、今回までのことを踏まえて結局今現在やっていることについてまとめることにする。
 

2021/11/17

デジタル日記の試み②~Notionに日誌用データベースを作ってみる~

 デジタル日記の試み語り第二回。

 今回は日記というより日誌だが、それにNotionを使ってみたパターンについて書いていきたいと思う。


 

 まず見てもらった方が早いと思うので、イメージのスクリーンショットはこちら。

画像

 例の内容がなんとなく貧弱だが、やっていることとしては、日常で発生する出来事のうち後から探し出したいと思う可能性のあるものを全部ひとつのデータベースに記録していくということだ。粒度は前回Scrapboxについて書いたのと同じで、多ければ一日に何項目も書くことになるし、何もなければ何も書かない日もある。なおルーティンのチェックにも使えるとは思うが、私個人としては毎日やることについて書き込むというのが難しかったので、トラッカー的な使い方はしていない。
 実際にはプロパティ(列)はもう少し色々と作ってあるのだが、基本的な要素は例のように日付、イベント、種類、カテゴリ(分野)、場所、支出の6つであろう。このうちカテゴリについてはリレーション機能を使っており、下記の記事をご参照いただくと意味するところが解るかと思う。

 自分の行動を分類するとき、自分の行動としての種類、つまり「仕事としてやったこと」「趣味としてやったこと」「スキルアップとしてやったこと」といった区分けと、その対象の分野、つまり「絵を描いた」「プログラムのコードを書いた」「映画を観た」などといった区分けがあり、それらを別のプロパティで整理している。前者は日記のデータベース内のみで使うのでマルチセレクト、後者は他のデータベース(書籍情報やweb記事のクリップ、動画の視聴ログなど)と共通して使っておりリレーションを設定している。とはいえ使用感としては両者の間に然程の違いはない。当てはまるものを0個以上選択するだけのことである。
 また、仮に特定の種類の記述が偏って多くなったりしたとしても、フィルターをかけた状態のビューを用意すれば条件を満たすものだけ表示したり非表示にしたりということが可能なので、記録するにあたって「見た感じのバランス」に囚われる必要もない。とりあえず全部突っ込んで、見たいものをフィルターとソートによって取り出せば良い。
 こうすると、自分に必要な観点によって抽出できるようになり、あれは何日にやったっけとか、この時期はだいたいどういう過ごし方だったっけとかいうことを簡単に振り返ることができる。プロパティを工夫すればいくらでも自分好みの管理が可能だが、しかし継続できる範囲に収まるように重々気をつける必要がある。検索すれば出してこれるものまでもをいちいちプロパティで管理すると入力は二度手間ということになるし、シンプルに検索で探すという習慣自体を失いかねない。データベースの形をしていようとあくまで自分のための「メモ」であるという意識を持ち、管理できている感に乗っ取られないように注意が必要である。

 冒頭で「日記というより日誌」と断ったが、私は日記的なメモは基本的にNotionの中には書かないでいた。
 と言ってもそれは単に「Notionで日記は向かない」という話ではない。各項目には自由にプロパティを設定できると同時にノート欄に自由に記述を加えることができるので、もちろんNotion内に詳しく日記要素を記しても良いだろうと思う。画像も貼り付けられるし、画像があればギャラリーモードで一覧できて楽しい。イベントとして切り分けられないことも、必要があれば例えば「日記」というタイトルの項目を作って書いてしまえば良いことで、自分の思い込みに邪魔されない限りはデータベースという形式によって記入が妨げられることはない。Notionに全情報を収録することに納得できればそれで良いのである。
 個人的な話として、私の場合はNotionに自分の気持ちや考えなどを書き込むのはいまいちしっくり来なかったのでやらなかった。というのは、記述部分をTwitterのタイムラインのように並べて流し読むということができないからである。私の理想としては日記は巻物のようであってほしく、時系列順にずーっと続いた形で表示されてほしいのだ。実物の巻物は後から加筆するのが難しいのでアナログ巻物を日記とするわけにはいかないが、頭の中にあるイメージとしては巻物に見立てられることを前提としている。
 それではNotionに日誌をつけている間、日記は何にどう記していたのか。それを第三回の内容にしたいと思う。
 

2021/11/14

デジタル日記の試み①~Scrapboxに日記用プロジェクトを作ってみる~

 日々繰り返している試行錯誤について、ちゃんと記録してもっと記事にしていこうと思ったので早速着手することにした。
 私はデジタルツールで日記をつけるということにずっと悪戦苦闘しており、最近もあれこれ試しているのでひとつずつ書いてみる。


 

 気持ちとしては例によって「日記のつけ方ド下手問題」と題したいところだが、今回の場合は自分との対話というより単に試したことをさらっと書いていきたいので、簡単に「デジタル日記の試み」とした。

 日記というものについてはまず紙に書くかデジタルツールに書くかという選択があるわけだが、日記や手帳の特集でしばしば見かける「毎日ぴしっと日記帳に書いてそれが五年十年と経って宝物になっている」という光景にそれはもう大変な憧れがある。しかし残念ながら、私の人生に於いて日記帳の一年以内の挫折率は今のところ100%であり、どうやら手で紙に書き続けるというのは私には無謀な挑戦らしい。
 媒体の種類以前に、「日記を書くこと」の習慣化自体にもハードルがあるようだ。日記帳や手帳に毎日同じような心持ちで向かうことができないために、「日記の時間」の確保がどうも有効に働かない。隙間時間に「今これやった」「今こう考えた」を打ち込んでおいて、気が向いた時にそれなりの形に整えるのがせいぜいだ。
 編集できない文章をいきなり紙に書いてしまうことにも心理的に大きな抵抗がある。後から「この表現微妙だな」と思うと気になってしょうがない。デジタルなら見つけ次第いちいち修正するのかというとそうでもないのだが、微妙な表現が放置されていることそのものより「書き直せない」という制限を感じるのがストレスになる。それを回避するには下書きでもして納得のいく表現を用意してから書くしかないが、しかし日記というのはわざわざ練って書くようなものではないだろう。そんな暇はないのである。(作品として発表するつもりなら話は別だが)

 ということで、憧れは諦めて自由に編集可能なデジタルツールに書くことにしたはいいが、長い間ひとところに定められずDynalistとScrapboxとその他のサービスやフリーウェアの間で彷徨っている。結局のところ紙にしてもパソコンにしても、何でもいいからどれかひとつの形式を決めてそこに淡々と書き続ければいいだけの話であるにもかかわらず、私の気質に問題があるのかそれがなんとしてもできないのである。大学ノートに書き始めていつの間にか何十冊に、みたいな話を聞くたびに私もそうでありたかったと溜息をついてしまう。
 私がどういう問題を抱えていることによってあちこち転々とする羽目になっているのかは今回は考えないが、最近試したいくつかのやり方はそれ以前と比べて不満が少なく、見当違いの努力で迷走している感はなくなってきたので、どうやらある程度気分の振幅が抑えられるようになったらしい。

 今年の6月から9月いっぱいまでやっていたのが、Scrapboxに日記用のプロジェクトを用意して書くというやり方である。
 全てのページを「yyyymmdd 出来事」の形にして、発生したイベントや視聴した番組のメモ、耳に入ったニュース、考え事などを書いていく。認識としては日記だが、1ページに1日全体をまとめるのではなく、1ページには1イベントだけ記す格好だ。例えばこんな感じ。

画像

 記述は十行以上になることもあるし、タイトルだけで本文は一行も書かないこともある。(ちなみに実際にはケーキを買ったりはしていないし最寄りの駅前にイタトマはないのだが、サンプルのために適当に書いたら食べたくなってしまった。しばらくケーキ食べてないなあ。)
 出来事と書いたがいわゆる出来事の範疇に留まらず、Web記事やYouTubeで見た動画、漫画の感想などもこの形で書いていった。フォーマットはなく、検索で出てくれば良いということにしてリンクも気分次第で、とにかくゆるくやることを意識した。一日に10ページ作る日もあれば1ページもない日もある。また、例のように日付のリンクも張っていない。張ってもいいと思うが、張らなくてもよかったので張らなかった。
 ひとつ心掛けていたのは、ページ一覧画面でサムネイルによって内容を視覚的に判別できるようにすることで、フリー画像を使ったり写真をアップロードしたりロゴ画像を借りたり、なるべく何かしらの画像をつけるようにしていた。ページ一覧画面にサムネイル画像が並んでいるとポップな感じがしてとても気分が良い。
 なお、個人用のプロジェクトをひとつにまとめたい人は他の用途と兼ねても良いだろうし、そうすることに堪えるのがScrapboxだと思うが、個人的には混ざってしまうとどちらの用途から見ても互いにノイズになっているように感じてしまうので日記専用のプロジェクトを作った。今ならUserCSSで特定の文字列から始まるページをフィルタリングして一覧から除くといったこともできるので、ノイズ感を低減する工夫の余地はあるだろう(私がこのプロジェクトを作った当時は、特定のページを非表示にはできても空間を詰められず虫食い状態が避けられなかった)

 数百ページ作ったところで結局このやり方もやめてはしまったのだが、特に不満や違和感があったというわけではなく、まあこれはこれで悪くないよなと今も思っている。何より日記の粒度についての学びが大きく、また視覚的な気分の良さを重視すべきだという意識も培われた。この先に試したことでもその感覚は大いに活かされている。
 Scrapboxでなければならない理由がないがゆえに、他の可能性を試したくなりフェードアウトしたが、またそのうち戻ってくるかもしれない。
 

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