大英博物館にある古代ローマの壺。ガラス製で、パッと見は黒だけど実際は暗い青色をしている。
from: File:Portland Vase BM Gem4036 n5.jpg - Wikimedia Commons
1845年に泥酔した来館者によってばらばらに破壊され(破片は200以上)、完全修復に至ったのはおよそ140年後のこと。140年! 組み合わせてみてもパーツが余ったり形が歪んだりしたようで、随分難易度の高いパズルだったようだ。
修復にはジョサイア・ウェッジウッドが作っていた陶器(ジャスパーウェア)の模造品が役に立ったとか。ノートルダム大聖堂の修復にゲーム「アサシンクリード」のデータが生かせるかも?という話が火災当時に話題になったのをちょっと思い出した。(そっちは実際に役に立つのかどうかわからないけど。)
ウェッジウッドのジャスパーウェアは身近にあったので知っていたけれど、それのある種元ネタと言ってもいいようなこの壺のことは最近まで知らなかった。ジャスパーウェアというのは、多くはペールブルーの地に白のレリーフが施された、素焼きの鉢に似た質感の陶磁器。ツルツルピカピカではないやつ。ウェッジウッドの代表的なパターンのひとつだ。
Jasperware: Care Guidance, History & The Making - Wedgwood
マットな質感が目に優しい。使えば使うほどツヤが出てくるという話だけど、実用はなんとなくちょっと勇気が要る。普通に使っていいみたいだけどね。ちなみに素焼きの鉢に似たと書いたけれど、それはあくまで表面の質感の話で、性質は多分全然違うやつ(素焼きと違って透水性はない)。