今年の9月に亡くなった、コロンビアの画家。
ふくよかなモナ・リザを描いたりしていて、絵を見ると吹き出してしまう。この人の絵を見ながら怒るのはちょっと大変そう。
「ふくよかさ」が持つ迫力を実寸大で味わう。「ボテロ展 ふくよかな魔法」がBunkamura ザ・ミュージアムで開幕|美術手帖
一番印象的なのは《楽器》という絵。楽器が太っている! わははと笑ってしまった。
ボテロのぽっちゃり絵画はマンドリンから始まった〜Bunkamuraザ・ミュージアム「ボテロ展 ふくよかな魔法」|音楽っていいなぁ、を毎日に。| Webマガジン「ONTOMO」
その時、ボテロはマンドリンの「サウンドホール」を、本来の比率よりもずいぶん小さく描いた。すると、楽器全体がふくよかに見えることに気づいた。そこからボテロ固有の表現が始まったというのだ。
上に貼った美術手帖の方でももちろん言及されている。
「静物画というジャンルには、ある意味ではボテロの絵画のエッセンスがすべて詰まっています。理由のひとつには、ふくよかな絵画のスタイルは、マンダリンを描いていたときにサウンドホールを小さく書いたら楽器の大きさがふくらんで見えたという出来事がきっかけになったということがあります。楽器という静物を描くことによって、物のボリュームを強調して描くという自らの行く道筋が見つけだされた。ボテロがふくよかな画風に進もうと決心した契機になったジャンルが、静物画なのです」
女性ではなく楽器が原点というのが興味深い。ボテロのこれは女体へのこだわりではなく、あくまで「ふくよか」という概念へのこだわりなのだ。だからもちろんというかなんというか、男性のこともしっかりふくよかにしている。
楽器というのはどちらかというと硬質で、それゆえにボテロはビビッと来たのかもしれないが、もっとふくよかそうなものが入り口になっていないのは驚き。
難しいことを考えずに、ふくよかであることがもたらす「感じ」に浸るとなんとなく心が豊かになってくる気がして面白い。