子どもの頃恐ろしかったもの。1994年公開の映画「マスク」もその一つだ。
「呪いのモチーフ」の話でも書いたけれど(ダンドンダンドンダンドンダンドンダーダラッ)、「身につけたものが外せない」ということが私には恐ろしかった。
その上、それに乗っ取られて自分自身が変わってしまうとなれば卒倒レベルの恐ろしさだ。
コメディ映画って言うけど、ただただ恐怖して見ていたし、怖すぎてもう詳細は全然覚えていない。一度しか見ていないけどこれからも一生見ないと思う。これで映画というコンテンツそのものがちょっと苦手になった気がする。
今冷静に考えて思ったけど、別に映画のマスクは「外せない」ものじゃなかったかもしれない。普通に所有者の意思で着け外しできたかもしれないけど、当時の私は「二度と解放されないもの」という風に感じていた。
多分それは半分くらいドラゴンクエストのせいで、既に書いた「おうごんのつめ」(ピラミッドと黄金の爪)や呪われた装備、あるいはドラゴンクエストの小説『モンスター物語』収録の「呪いのブラックメイル」で丹念に刷り込まれた印象だったのだと思う。
あとは、マスクが顔と一体になっているのがその印象を強めていた。手にした仮面と、それを身に着けた状態は明らかに違っていて、マスクが所有者の肉体に染み込んでいるような感じがした。いずれ人の部分は自我を完全に失いマスクが本体になるんだろうと思った。