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動じないために。

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面のアウトライナー

アウトライナーに平面配置の概念を取り込んだもの。
(のらてつの造語)
具体的に作ったツールがPlane Outliner

マンダラートを自分で再現しようとした結果、アウトライナーと融合し、アウトライナーのデータ構造をツリー表示ではなく3×3マスの面表示にするという発想に至った。
アウトライナーはひたすら縦に行が並ぶという表示の都合上、全体像の視覚的な俯瞰は難しい(畳んで表示行を減らすことで論理的な俯瞰はできる)。升目を使うことによってその課題を解消している。
マスは放射状に展開していくためマインドマップと近い使い方もできる。

「面のアウトライナー」に対して、通常のアウトライナーは「線のアウトライナー」としている。

  • 線のアウトライナーが向いていそうなこと
    • 文章のアウトライン作り
    • タスク管理
    • その他「順番」が重要なもの
  • 面のアウトライナーが向いていそうなこと
    • 日記
    • 読書メモ
    • 発散的思考

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なおアウトラインを平面配置する方法としては他にアウトラインのマップ表示(仮)を考えた。

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2022/04/22

座標のない平面

 Twitterの知的好奇心向上委員会というコミュニティでやり取りする間に気づいたことのメモ。お話してくれた方々ありがとうございます!


 前回ツール製作日誌:「面のアウトライナー」、マンダラート風ツールを作っていったら「面のアウトライナー」ができたという話をした。これを使って読書メモを取ってみたところ、通常のアウトライナーとはちょっと違う感触があった。
 通常のアウトライナーでは、インデントで構造化できるにしても位置関係としては項目を上から下の一方向に並べることになる。このことによって、項目をアウトライナーに加えていく時、時系列がある内容なら時系列順、何かの記載からの転記なら記載の登場順に並べる、というのを私は当たり前にしたくなってしまう。その順序を崩すには「既存の順序ではなく自分の基準で並べ直すぞ」という気合を必要とする。
 しかし「面のアウトライナー」、つまり3×3のマスの中で中心テーマから八方向に伸びる形式でメモを取ると、その順序に囚われにくくなる感じがする。

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 これは例とも言い難い適当なイメージだが、とりあえず「上から順」という形式から解放されることで、記載順に並べていきたい気持ちが随分薄れる。最大八個のこの項目たちは何らかのテーマでまとめられているわけだが(この例では章立て)、テーマに即して収まっているその中ならどこに位置づけても構わない感じがする。マインドマップや、何かの紙に書いた"几帳面でない"感じのメモと似た自由さがある。
 ボトムアップで構造の練り直しをしよう、というふうに意気込まなくても、敢えてルールを決めて左上から並べようとかしなければ、直感的に右とか左下とかに記述することにそれほど気力を使わない。あるべき序列的なものに逆らっている感じが無いのである。

 このような感触について呟いたところ、自分はアウトライナーに「上から順番」という印象をあまり抱かず、むしろ平面より自由を感じる、という旨のお話をいただいた。私からするとアウトライナーに余計な縛りを感じないことが大変羨ましく、感覚の差異がとても興味深い。
 あれこれ考えた結果、平面に対する感覚の分け目として、平面に固定的な「座標」をイメージするか否かの違いがありそうだという結論にひとまず達した。個人の推測だが、数学的イメージに馴染みが深いと「面」や「空間」に座標をイメージしやすく、数学的イメージと縁遠いとイメージしにくいのかもしれないと思う。私の中では、「面」や「空間」は要素が相対的な位置関係を持って漂う場としてイメージされ、明らかに「配置」や「貼り付け」のような操作をするのでない限りは絶対的な位置のイメージを持たない。
 アウトライナーやプレーンテキストのように行が並んでいくことを「位置づけの概念が薄いので要素をフラットに認識できる」と感じる場合、「面のアウトライナー」はそこに「位置づけ」を足してしまうので「座標」感が入り込んできてしまう。
 逆に行が上から下に並んでいくことを「自由に配置したいものをやむなく上下に整列させている」と感じる場合、「面のアウトライナー」は「上下」の概念から解放させてくれるので「座標」感はむしろ減るだろう(ゼロにはならないとしても)
 ということで、「線のアウトライナー」と「面のアウトライナー」との間で「自由」の感覚がどう変化するかは個々人で差が出るところだろうと感じている。「面のアウトライナー」について前回「万人に必要かはわからないが」と断ったわけだが、やはりそこには人それぞれの違いがあるのだろうと思う。

 このようにマンダラート風の「面のアウトライナー」は「座標」をイメージするかどうかの境界上にあるが、一方で「付箋ツール」や「マインドマップ」については明らかに「座標」のあるツールだと言えるだろう。
 それぞれの要素には厳密に「位置」があり、要素間の距離や方向に意味を感じないわけにいかない。近ければ関連度が高く遠ければ関係性は薄いのが基本的には自然だろうし、上にあるか下にあるか、左にあるか右にあるか、前面にあるか背面にあるか、それぞれに何らかのイメージを伴う。「今は位置関係に意味を持たせない」と決めて扱うことは可能だが、そう意識しなければ自然とイメージに基づいて要素の配置を決めていくことになるだろう。
 配置にイメージを感じ取って意味づけしていくのは、共通点と相違点の濃淡を見極めたり連想を膨らませたりすることに貢献するし、全体を絵として見ると視覚的にも覚えやすい。とりわけ手書きのマインドマップは愛着も湧くだろう。
 逆に、これらは要素の配置が常にイメージを持ってしまうとも言える。いちいち悩んでいるつもりはなくとも、どの方向にどの程度の距離で位置づけるかは考えなくてはならないし、「この要素よりこっちの要素が近くにあった方がしっくりくる」といったことで微調整をしたくなるかもしれない。要素をひとつ動かすと連動して他のものをずらしたくなったりもする。

 一瞬「面のアウトライナー」の話に戻るが、81マスの俯瞰モードにした時、9個ある3×3のそれぞれの中では八方向のどの位置に何があるかに意味がある可能性があるが、例えば左上の3×3の右上マスとその隣の3×3の左上マスが隣り合っていることにはほとんど意味を見出さない。(言わんとしているのはスクリーンショット上部やや左の2マスのことである)

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 よく考えるとこれは少し不思議な感じがする。近い位置にあるのは確かなのに、近いということを認識しない。端から別の箱に入った別の領域のものと思って見ているから物理的な近さを気に留めないのだろう。
 他方、付箋ツール的なものでグループを作っていったとして、グループAとグループBが隣り合っていた場合、グループAの中でグループB寄りの位置に置いてあるものは、グループAの要素の中で最もグループBと関連性のあるものにしたくなる。すぐ隣だけど違う箱だし、とはあまりならない。気にしないと決めれば別だが、そうでないなら「せっかく近いんだし、どうせなら近い感じのものを近づけて置いておこう」となる。
 やはり「座標」の概念の有無は良くも悪くも大きな影響力を持っており、一口に「面」のツールと言っても「座標」の概念がどう扱われるかで情報の認識は随分変わる。前述のように「座標」があるツールは既に存在しており、少し前に自分でも付箋ツールを作った。それでもまだ手が届いていなかった領域が、「座標の影響力が限りなく小さい平面」だったのだろうと思う。

 ふと思い出したが、Frieve EditorというWindows用のアイデアプロセッサーがある。非常に斬新な発想の素晴らしいツールで、少し前まで時折活用していた。
 このツールは要素間にリンクを設定でき、リンクが繋がった状態で要素の配置をアニメーションで動かすことができる。見た目としてはふわふわ浮いているような状態で、どれかをドラッグするとその位置に応じて項目が動く。今考えると、こうすることで「座標」によらない「関係」だけを可視化していたと言える。
 ただ、その都度位置を動かれると把握に認知資源を消費してしまい、基本的に配置を固定して使っていた。マインドマップとして見ていたこともあって、アニメーションを使うと自分のイメージ通りに配置できないことに不自由さを感じてしまい、結局手動で配置することも多かった。それではツールの真価を発揮させられていなかったのかもしれないと今なら思う。
 

2022/04/19

ツール製作日誌:「面のアウトライナー」

 ここのところ、HTML+CSS+JavaScriptでマンダラート的ツールの自作に取り組んでいた。
 現時点で搭載したい機能は全部搭載完了したので、この辺でブログに書いておきたいと思う。
 なお、後述するが今のところ公開は予定していない。いつかするかもしれないが、少なくとも今すぐにはできそうにない。


 さて画面はこんな感じ。メインの3x3とその下のノート欄で内容を編集できる。項目は右のアウトラインでも確認できる。

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 マンダラートっぽい俯瞰モードもある。
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 特定の項目以下の範囲で検索かけられたり(項目は複数指定可)
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 他にもノート欄に他の項目へのリンクを貼れたりバックリンクを確認できたりハッシュタグ機能があったり、自分が欲しいものは頑張って全部搭載した。一方で余計な機能をつけると、できることが増えただけにもかかわらず、何故かそれまでやれていたことが逆にやりにくくなってしまったりするので、例えば画像を貼るなどといった機能は付けていない。

 このツールを作り始めたのは、先日うちあわせCastでマンダラートの話をされていたのを聞いて、「そういえばやろうとしていたことがあったな」と思い出したからである。
 その当時はあっさり挫折したのだが、それはマンダラートというメソッドが合わなかったとかではなく、道具として継続的に使いたくなるものがなかったからである。紙に書くとなると綺麗に作るのが結構難しいし、個人的な好みの問題としてマスの中に手書きした時の見た目がなんだかあまり好きじゃなかった。一方Excelを使うとなると、それもそれでその当時は如何にもExcel感漂う見た目のものしか作れず、いまいち愛着が湧かなかった。
 そこで、プログラミングのスキルを少し得た今マンダラートというものを考えた時、自分で専用のツールを作れるのではないかと思ったのである。アウトラインと組み合わせること、上階層表示や任意の項目のプレビュー(マウスオーバーで表示)を用意することを思いついて、よし作ってみようと思い立った。

 そんな感じだったので作り始めた時点では「マンダラートのツール」を作るつもりでいたのだが(そしてつい一昨日まで「マンダラートツール」と呼んでいたのだが)、実のところ、自分の中ではそういうものではないなという感じがする。
 如何にもマンダラートな見た目であり、子項目を展開した81マスの俯瞰もできるわけで、もちろんマンダラートのメソッドを実践することは可能である。中心にテーマを置き、掘り下げるべきことを8項目設定し、それぞれについて発想を膨らませたり詳細に検討したりして全体像を作るということは、当然ながら普通にできる。
 ただ、自分がこれを使っていて思うのは、マスを埋める力によって前に進んでいけるということよりも、「上から下に並べなくて良い」ことが私の中で大きいということだ。つまり、アウトライナーの変形としてのこの形という認識がある。
 それを強く感じたのが、日記を書いてみた時である。
 具体的な中身は見せられないので空欄の状態だが、一週間の俯瞰モードのイメージはこうなる。

画像

 各日に起きたことや注目すべきことが8個を超えることはあまりないので、基本的にはこれで全部を俯瞰できる。8個を超えたとしても、別に1項目に1つのことしか書いてはならないというルールはないし、粒度の小さなものについては「○○/××」みたいな形で詰め込んでしまえば俯瞰は可能だ。
 Kakauのような特別なものを除き、通常のアウトライナーだと一列に縦に並ぶので、81行を一画面で俯瞰することは難しい。何らかの手段で2列表示できるようにするか、表示サイズをかなり縮小するかという手はあるが、手段としてちょっと強引であまり現実的には思えない。しかしマスにしてタイル状に並べてしまえば可読性を保ったまま81項目(重複部分を除けば73項目)を一覧することができる。
 81マスを一度に確認できるとなると、それまで必要を感じていた「一週間の俯瞰のためのまとめ直し」が全く不要になるので、全体像の把握が随分楽になる。なお、まとめ直しではなく「一週間の振り返り」については、週の8マス目が空いているので、そこに書くことにする。
 また、空欄が多い日は「普通に特別なこともなく滞りなく進んだ」というのがわかるし(あるいは「忙しすぎて何ひとつ書けなかった」という可能性もある)、みっちり詰まっていれば「たまたま色々なことがあった」「てんてこ舞いだった」というようなことがわかる。この場合はひねり出して8マス埋めようとしない方がその後情報として意味を持つわけである。

 アウトライナーを使っていて、アウトライナーの持つ構造や操作性は情報(特に文章)を扱う上でとても良いものと感じているが、個人的には縦に全部並ぶ見た目に馴染めないところがあった。スクロールを繰り返してうろうろするのにはどこか「頑張って使っている」という感がある。それは眺めながら把握するためにやることなので、じゃあ検索でジャンプすればいいじゃんという話にはならない。
 おそらく根本的な問題(?)として、「文章を書くために使っているわけではない」ということがあるだろう。もしも文章ならば、完成形がリニアなので、そこに至るまでのアウトラインがリニアに表示されることには何も違和感がない。私も執筆作業にマンダラート風の見た目を取り入れたいとはあまり思わない。本を読んでメモするにあたってはマス目を埋めて俯瞰するとわかりやすいと感じているが、自分が書くという時は少し話が違ってくるのである。現にこの記事を書くためのメモはMarkdownで箇条書きして作った。
 ゆえに、「線のアウトライナー」と「面のアウトライナー」の二つが必要なのではないか、と思うのである。万人に必要かはわからないが、とりあえず私には必要だったように思う。そしてマンダラートというアウトライナーとは一応別物として存在しているメソッドの形態が、アウトライン表示の追加やドラッグアンドドロップ操作の実装などにより、結果として「面のアウトライナー」と呼べそうなものになった。なので、最初は自分が作っているものを「マンダラートツール」と呼んでいたが、最終的に「Plane Outliner(平面のアウトライナー)」と名付けることにした。
 「面」の形にすることで発生する制限としては、各項目に子項目が8項目までに限られるということが大きい。ただ、個人的な体感としては、十や二十の項目がずらっと並ぶ状態は構造の粒度がうまくないことが多い。あるいは、「ツリー状に列挙できる」ということによってのみアウトライナーを使っている状態で、アウトラインをプロセスする的な扱いの必要のない情報の場合である。それはそもそも「面」の形にする必要がなく、通常のアウトライナーやEvernoteやScrapboxなど他の数多の情報管理ツールから選択すれば良い。
 ただ、本を読んだメモをこのツール上で取りたいと思っており、その場合には何かしらの基準で8冊ずつに区切って格納することが必要になる。ジャンルや年月日で区切っていくことになるだろう。そうすると階層が形式的にどんどん深くなってしまう可能性があるが、「Plane Outliner」に於いては、リンクやピン機能ですぐアクセスできるようにすることは可能だし、検索機能もあるので辿り着くのに苦労するということを避ける手立ては一応ある。

 「面のアウトライナー」では、情報はツリー状かつ放射状に伸びていくので、マインドマップと似たような構造になる。マインドマップ的な使い方をすることも可能であろう。
 ただマインドマップとは異なり、紙面の制約に悩まされることはない。各項目が数十字の文章になっていても(それが適切な粒度かは別途検討が必要として)、場所を取りすぎてマップを作る邪魔になるということにはならない。
 もちろんマインドマップでしかできないこともあり、それは例えば二段階以上先まで含めた俯瞰である。とりあえず現時点での「Plane Outliner」では、マンダラートらしい81マスの俯瞰まではできるが、それより更に潜った先を含めて一望することはできない。もしその先の内容まで含めたいならば、各項目をその下位にある内容を含めた要約的な内容にすることによって、その先を一覧できなくても把握できるようにするというような工夫が多少必要になってくる。とはいえ、全ての項目についてその項目を中心として81マス俯瞰ができるので、無理して一度に全体を見ようと思わなければ支障はない。
 マインドマップにそれほど思いを巡らせたことがないのでマインドマップとの類似点と相違点を詳しく語ることはできないが、ある程度共通したことができるということは確かである。マインドマップで考えたことを「面のアウトライナー」でまとめ直しても良いかもしれないし、そうすると更に通常のアウトライナーにも取り込みやすいかもしれない。

 今までいくつかツールを作った時にはできなかったことで、今回から導入に成功したことが、「OPMLでの保存・出力」である。OPMLとはざっくり言うとアウトライン構造の共通規格だが(多分)、これを生成できるようにすればOPMLのインポートに対応しているアウトライナーにそのままデータを取り込める。例えばDynalistに取り込めることを確認した。
 取り込み先で使っていないメタデータは削除されてしまうと思われるので、(メタデータが全て保存されるDrummerを除いては)データを行ったり来たりさせるのは現実的でないが、いざとなれば他のものに移せるという互換性を持たせられたことは自分仕様のツールを製作する上で大きな一歩になったことは間違いない。
 また今回の場合には、「面のアウトライナー」の形式で文章について考え始めたものの、これ以上は通常の「線のアウトライナー」でやったほうがいいな、となった時に移すという使い方も考えられる。アウトライン表示は実装してあるが、操作の感覚が通常のアウトライナーとは違っているので、ビューより操作性の問題でツール自体を変えた方が良い場合もあるだろう。

 ということで、マンダラート用ツールを作ってみたら結果的に「面」のビューを持ったアウトライナーとして新しい道が拓けたという話をした。

 ここまで語っておいて公開はしないのかという話だが、以下の理由により現時点では難しい。

  • 微妙に解消されていないバグがある(コピペ周りが地味に厄介)
  • まだ自分で使っている期間が短く検証が足りないので品質が保証できない。
  • 動くコードは書けているがツール開発の勝手が全くわかっていないので、ツールの公開についての常識がわからない。

 諸々解決したらそのうち公開するかもしれない。
 

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