年始の記事で俳句について書いた(俳句の世界への一歩)。
『鳥獣虫魚歳時記 秋・冬の巻』を読んでいたわけだが、最初は「ふーん」と思いながらぱらぱら見ていた。しかし椋鳥の項を見て「いやこれはちゃんと書き留めなくては」と思い直し、気に入った句をノートに取り始めた。
あれ程の椋鳥をさまりし一樹かな 松根東洋城
この歳時記での最初の感動はこの一句。「あれ程の」が面白い。いやほんとそうですよねという感じ。今風に言えば「それな!」である。
そして同じく椋鳥の項に載っていたのがこの句。なおどちらも「椋鳥」は「むく」と読んでいる。
椋鳥の群去りし一樹の痩せにけり 山田弘子
あれ程の数が収まり、そしてそれ程の数が飛び去って樹は痩せてしまった。松根東洋城の句を踏まえて山田弘子が詠んだということになるのかどうか経緯はわからないが、この二句が私の中ではセットになり大変愉快な気持ちになった。
前に松根東洋城と高濱虚子一門が好みのようだと書いたが(特に稲畑汀子)、調べたところ山田弘子は高濱年尾・稲畑汀子に師事した人とのこと。やはり。