少し前の話だけど、10月29日放送の「古典芸能への招待」で、能の「道成寺」をやっていた。
舞囃子「松浦佐用姫」・能「道成寺」 - 古典芸能への招待 - NHK
演じられたのは6月18日。
父から子へ秘伝の能「道成寺」…観世三郎太さんが6月に初演 | 紡ぐプロジェクト
シテにとっては本当に大変な演目なのだと思う。鐘入りは命懸けとのこと。
しかしそれはそれとして、正直可笑しいところが多くてずっと笑って観ていた。いや、間狂言以外は笑うところじゃなかったかもしれないけど、能自体ほとんど観たことがなかったので想像と違うような箇所にちょっと衝撃を受けた。
シテと小鼓による乱拍子、緊張感が張り詰めているのはありありと感じたけれど、それはそれとして、急にハッと動く時の動き方に滑稽味があって笑ってしまった。
そして乱拍子後に突如として笛の音が響き出し、大鼓小鼓が甲高い声で叫びながら複雑なリズムで鼓を打ち鳴らす場面はもはやハードロック。「いよっ」「ッハッハ!」「いよぉ~~~↑↑↑」あまりに衝撃的で呆気に取られ、やはり笑ってしまった。
間狂言は野村萬斎・裕基親子による醜い責任押し付け合戦で非常に可笑しかった。鐘の中にいるシテの着替えのためだと思うけれど、結構尺が長くてどれだけ押し付け合うのかと。大変愉快。そして「お前が行け!」という感じで放り出された方(野村萬斎)がそのまますーっと正座するなり「(鐘が)落ちてござる」と言ったのに吹き出した。落ちてござる。
あとそうそう、鐘の入退場が面白かった。準備から後片付けまで一通り観られてよかった。
この公演ではないけれど、「道成寺」のダイジェスト動画が公開されているのでご興味のある方はご覧になってみてください。
ちらっと見た感じ、乱拍子の部分は結構違うような気がする。鼓の叫び方も印象がちょっと違っているかも。能を見比べるということを全然したことがないので知らなかったけれど、思った以上に「誰がやるか」で違ってくるものなんですね。