2024/01/07放送の音楽の泉で、オーストリアの作曲家ヨーゼフ・ランナーとヨハン・シュトラウス1世による「ワルツ合戦」の話にちらと触れられた。
この二人についてちょっと調べてみるとなかなか面白いというか、まるで漫画のような人生だ。性格は正反対で、それにもかかわらずとても仲が良かったのに、人気の具合で拗れて険悪になり、そうなってからの競争でウィンナ・ワルツは劇的に発展し、やがて仲直りする(ただし元のような親しさには戻れない)。
存命の間はヨハン・シュトラウス1世の方が人気になったが(『ラデツキー行進曲』は今でも定番中の定番)、現在も演奏される曲としてはヨーゼフ・ランナーの方が多いらしい。ウィンナ・ワルツの原型を作ったのはヨーゼフ・ランナーの方。
仲良く二人三脚を続けられたとしてもウィンナ・ワルツは発展するにはしたのだろうが、こなすので精一杯になりそうな激烈な忙しさの中でも新しい風を吹き込み続けられたのは、両者の「あいつに負けてなるものか」という意地のおかげではなかろうか。この二人はどちらも超重要人物として今に至るまで名を残しているが、生きている間大人気であった割に音楽史に名前は刻まれなかった、という作曲家はおそらく数多い。
こういう競争がプラスに働く人と働かない人がいるだろうし、私はプラスには働かない方だが、これが力になった時の限界突破が世界を変えていった例というのはやはり少なくないのだろう。