こちらの記事を読みました。
本をイメージすると目次と索引の違いは明らかなのに、デジタルツールのリンクの仕方で考えるとびっくりするほど曖昧な感じがします。曖昧であることにこの記事を読んで気がつきました。
目次の役目を果たすものについてのこの一文に膝を打ちました。
たとえばそれはEvernoteで言えばノートブック(or スタック)であり、Obsidianで言えばvaultの中にあるフォルダです。すべての情報は、必ずこの中に入っているのですから、網羅的と呼んで差し支えないでしょう。
言われてみれば半ば当たり前の話です。しかし「これは実質目次だよね」という意識を持ったことがなかったので、確かにそうだという感動がありました。
ネットワーク型の情報管理が流行る中、階層構造での管理は欠点が目立ってどこに行っても批判されているような状態ですが、しかし完全に階層構造をなくすことに私は不安感がありました。それはつまり、「目次がない」あるいは「地図がない」という心許なさだったのでしょう。
目次の役割は「順番と網羅性」、索引の役割は「重要な情報へのアクセス」。その根本的な違いゆえに、ひとつのやり方で両方を兼ねようとするとうまくいかない。その通りだなと思います。
本に目次と索引があるように、デジタルノートでもその二つは別にあっていいのです(なんなら目次はなくても構いません。Cosenseはそうなっています)。
リンク、タグ、フォルダ……そういった情報の結びつけの手段はそれぞれどういう意味を持ち、自分がそれぞれにどういう役目を持たせたいのか。そのことを考える上で、目次と索引という二つのイメージは大きな手がかりになるように思います。
記事が言わんとしていることからは離れますが、多分、「目次はなくても構いません」と思える人と、そう思えない人がこの世に存在しているように思います。私は思えない側の人間です。
ゆえに、目次となりうるものがない、そして自分で作りにくいツールとは相性が悪いのでしょう。自分が扱いたい情報の中でも「これは目次は要らない」と積極的に思える種の情報しかそういったツールでは納得できないということになります。そういう情報も一定量ありますが、全体からすると一部に過ぎません。(あくまで個人の感覚の問題です。)
で、更に混乱を招くことになるのが「分類」と「目次」の境界の曖昧さです。こうして適切な言葉を与えて並べれば明らかに異なるものですが、「なんかこう、括って並べたいんだよ」みたいな気分でフォルダ分けをしたりするとこの境界はあやふやになります。「分類」は明らかに「索引」とは異なりますが、しかし「順番と網羅性」が必須とは言い切れないことから「目次」とも違うものです。「目次」に近い「分類」も、然程近くない「分類」もあり得るでしょう。
さて、ここで最近私が重用しているCapacitiesについて考えてみます。
Capacitiesでは全ての情報がいずれかのひとつのオブジェクトタイプに属します。そのオブジェクトタイプは縦に一列に並びます。各オブジェクトタイプには更にコレクションという括りがあり、これもオブジェクトタイプの下位に順番に並びます。その状態について「目次」という言葉は想像しませんが、しかし「順番と網羅性」が示されているわけなので、倉下さんの言う「目次」の役割はこのオブジェクトタイプのリストが担っていることになります。
そしてオブジェクトタイプのリストの上にはピン留め欄があります。これはつまり特定の情報にピンポイントにアクセスするもので、「索引」の役割を果たしています。本の巻末のように大量に並べると使いづらいかもしれませんが、性質としては「索引」に類するものということになるでしょう。また、Capacitiesではタグやコレクションをピン留めすることもできるので、本の索引が一つの項目について複数の参照先を表示するのと同じような機能を持つこともできます。
ピン留めだけでなく、特定のページにリンクを貼って並べることでも「索引」を作ることはもちろん可能です。実際にそのようにしているページもあります。
このようにCapacitiesは自然と「目次」と「索引」をそれぞれ扱えるようになっているわけですが、それで万事解決というわけではありません。というのも、「目次」として並べたい括りというのは「オブジェクト」とは限らないからです。よって、オブジェクト的ではない情報で、かつ「目次」にする必要のあるものは別の適切なツールが必要ということになります。
そこで私は先日紹介したSoulLinkMapに行き着いたということになるわけですが(SoulLinkMapとの出合い)、CapacitiesにしろSoulLinkMapにしろ、未だ嘗てない納得感があるその背景にはこの「目次」と「索引」の必要性およびそれぞれの使い分けの問題があったのだなということに、この記事を読んだことで気がつくことができました。
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