Capacitiesを使い始めて一ヶ月が経った。
機能の紹介記事の続きを書こうとしていたもののなんとなくしっくり来なかったので、ちょっと置いておいて個人の感想を書いておくことにする。
一言で言うと、もうCapacities無しでは生きていけないというレベルで重用している。各種の情報整理のほか、ToDo管理もプロジェクト管理も過去一番スムーズにできている。
前々からこうであったらいいのになあと思っていた通りの仕組みでできているので、使い方に全く迷わない。昔から勝手を知っていたツールかのように自由に使えている。
もし十年前とかに登場していたらきっとEvernote同様に機能の目新しさに振り回されていたが、色々と経て具体的に「私はこういうツールがほしいのだ」と思い描いている状態で出会ったから、必要なことを必要な分だけやり、無意味なことはしないということを自然と判断できている。いいことを思いついたと思っても、でもそれは実用的ではないんじゃないかと判定する嗅覚がだいぶ育っている。
Capacitiesは情報を分類する手段が四段階もある。情報を入れる箱自体を分けるSpace、情報の種類で分けるObject、その中で区分を設けるCollection、Objectを横断してラベルを貼れるTagである。
Spaceは切り替えが億劫なので、余程のことがない限りSpaceは一つにした方が良い。私は普通に使う用のSpaceと、記事を書くに当たってサンプルを作る用のSpaceを作っていて、その点では分けられて便利に感じている。実際に使っているものの中にサンプルを作るのはあまり気持ちが良くないからだ。
Objectは色々と作っている。しかし作る前に必ず作るべきかどうかを書いて検討している。CollectionやTagで分けるだけで十分ではないかよく考えて、絶対必要と言い切れない場合は暫くただのPageオブジェクトのまま運用するなどして様子を見ている。昔だったらとりあえずObjectを作ってみてしっくり来なかったら解体しよう、という順番でやっていたと思うが、未熟なうちは「これは有効じゃない」という結論を下すのが難しく、ずるずると無意味に延命させて情報のごちゃつきを招いてしまう。とはいえ実際に作ってみる前に検討できるのはそういう失敗の積み重ねがあってのことかもしれない。
Collectionもよくよく考えている。こちらは逆に「作ってみてしっくり来なかったら解体」型で試行錯誤している。Objectと違ってデータの型ではなく単にラベル貼りの話なので慎重にする必要がそれほどない。しかし有効でないものを放置しているとごちゃごちゃして嫌になってくることには変わりないので、「そのCollection、本当に必要?」というのは絶えずチェックしている。
Tagについては「それCollectionの方が良くない?」という観点で点検している。ひとつのObjectの中の区分にしか使わないようならTagでやる必要があまりない。また、TagはObsidianと同様にページ単位のほか行単位で付けられるので、そのことも重要なポイントになる。
自分に何も用意がない状態でこのアプリケーションを使い始めてしまうと、一体どれで何をすればいいんだと迷ってしまうかもしれない。その意味でCapacitiesは「初心者向き」とは言えない。痒いところに手が届くのが嬉しいツールなので、逆に他のツールを渡り歩きながら痒さに苦しんでいるようじゃないとピンと来ない可能性がある。
先日の記事でも書いたが、デジタルノートツールとしては致命的な欠陥として、日本語・中国語・韓国語の全文検索がまともに働いていないということがある。いつか対応してくれるかもしれないがあまり期待はできない。その時点で使い物にならないと思う人はいるだろうし、それは当然の感想だ。
その大きな欠点があってなお私はCapacitiesが現時点で自分にとって最高のツールだと思っているし、他のツールにない良さの方が重要なので「でもこれできないんだよなあ……」という方にあまり目を向けずに済んでいる。そこそこ便利程度の評価に留まるものは欠点が気になるが、心底気に入れば多少の不便(この場合は多少とは言っていられないかもしれないが)は我慢してでも使おうという気になる。
とはいえ、全文検索ができないということに対して何も対策を講じなければ情報は埋もれて死んでしまいかねない。我慢してでも使い続けるためには工夫が必要だ。具体的には、上述した分類と、ページごとに設定できるプロパティ、そしてページリンクだ。後から芋づる式に引っ張り出したくなりそうなキーワードはページを作るかタグにするかして紐づけていく。そうしないと後から探し出せないかもしれないと思うと、何らかの取っ掛かりを作っておかなければという強い動機づけが生まれてズボラ人間でもせっせとメンテナンスできたりする(みんながそうかはわからない)。
ただそもそもの話、全ての情報をCapacitiesだけで管理しなくてはならないというルールはないのだし、全文検索に頼りたい類の情報は他のアプリケーションを使えばいいとも言える。またCapacitiesの強みは「情報をオブジェクトとして扱う」ことにあるので、自分の中でオブジェクトとして形を成している情報、つまり「あれ」と言って指せるようなものを対象にするのが使い方として自然だ。タイトルを付けがたいアイデアや「あれ」と指すには複雑で大きい塊などは本来あまりCapacities向きではないように思われる。
ちなみに、全データを各ページmdファイルとしてダウンロードできるので、なんとしても全文検索で探し出さねばならないとなったらダウンロードして中身を検索すればなんとかなる。アプリケーションの中にデータが封じ込められてそれきりということにはならないので、必要以上に恐れなくてもいいことではある。
そんな感じで、欠点がありつつもそんなことは些末と思えるほど気に入って使っている。具体的にどうしているのかはまた改めて書くかもしれない。
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