少し前からCapacitiesというデジタルノートツールを使っています。

 私としては「こういうアプリケーションが欲しかった!」というもので、大いに感動しているので少し書いていこうかと思います。

 

 ただし東アジアのユーザーにとって非常に重大な問題があるのですが、2024/08/28現在われわれの文字での全文検索はほぼ機能していません(タイトル検索は可)。開発チームは随分前からこの問題を把握していますが、技術的な難易度が高いのか興味がないのか進展が極めて遅いので、果たして対処してくれるのかどうか、そしてそれがいつのことになるのかわかりません。

 また、Androidアプリを使ってみたところ、かな入力で変換すると内容がブロック単位で上書きになってしまってまともに使えなかったので、その点でも日本語ユーザーには優しくない状態です。

 重用し始めてから「使い物にならないじゃないか!」となると非常に辛いので、お試しになりたい方は予めこのことを了解してお使いください。リンク先のVote数を増やせば少しは腰を軽くしてくれるかもしれません。

 

 さて、ツールの話をしていきましょう。基本操作については親切なチュートリアルがあるので省略します。

 見た目も編集方法もNotionライクなUIなので、Notionに慣れている人はあまり戸惑わずに使えるでしょう。しかし情報の扱い方は大きく異なっているように思います。互いに「代わり」になるものではないような気がしています。

 Capacitiesの最大の特徴は、情報をオブジェクトとして扱うことにあります。と言っても、オブジェクトという言い方では多くの日本人にとってピンと来ないかもしれません。

 基本のオブジェクトタイプとして、以下のものが設定されています。

  • Page

  • Tag

  • Image

  • Weblink

  • PDF

  • Audio

  • File

  • Tweet

  • AI Chat[PRO]

  • Query[PRO]

  • Table[PRO]

画像

 Pageは普通のノートですが、他のものはデータやファイルの種類と結びついた特殊なオブジェクトになっています。例えばPageの本文の中に画像を貼ると、それがImageオブジェクトとして自動的に格納されます。URLも同様で、本文内に貼る際にWeblinkオブジェクトとしてデータを保存することができます(なおURLの場合はオブジェクト扱いしないで済ませることも可能です)

 画像やURLなどを自動でオブジェクトとして保存してくれるのは、(今までそういうものがなかったのかはわかりませんが)とても画期的な仕組みに思えます。

 一般的なツールではURLを単体で保存しようとすると普通のノートと同じ形式になってしまうでしょうが、様々記述を書いてあるページの中にURLのメモだけのためのページが混ざっている(しかも大量に)となると、個人的には違和感を覚えずにいられません。しかしURLをメモするためのページをひとつ作ってその中に列挙する形を取ると、そのうちのどれかを指したいというような時に面倒です。

 既存ツールが不十分かどうかはさておき、URLだけを一覧・管理できて諸々の操作を加えられるということはシンプルに便利だと感じています。それぞれにメモを書き加えることもできます。画像その他についても同様です。

 

 これらの基本オブジェクトの他に、Pageをベースに自分でオブジェクトタイプを定義することが可能です。プログラミングでデータ型を定義するようなものです。

 Notionのデータベース内ページがそうであるように、各ページにはプロパティが存在し、オブジェクトタイプ毎にどんなプロパティを設けるかを決めることができます。定義しておけばその情報を元にフィルターやソートを実行することができます。

 ただしあまり細かくやると管理のための管理になってしまって実用上プラスにならない可能性があるので、私はプロパティについてはこだわらないことにしています。絞り込みや並べ替えがしたいという強い気持ちがある場合に使うとよいかと思います。

 なお、テンプレートとして以下の例が用意されています。

  • Book

  • Person

  • Meeting

  • Zettel

  • Project

  • Organization

画像

 これを見て、私は「そうなんだよな!」と膝を打ちました。思いつきや学びを書く所謂ノートと、本の情報や人の情報、議事録等々は、自分の中では明確に種類が違っています。ひとつのツールで管理したいものではありますが、できれば分けて扱うことが可能であってほしいと思います。

 且つ、ビューやプロパティがそれぞれに合わせて違っていると自然です。例えば画像が前面に出てほしいものもあれば、画像を含んでいようがそれが目立ってほしくはないものもあるわけです。そういったことをCapacitiesは柔軟に設計させてくれます。単にタグ付けで区別しただけでは私の中では不十分で、相応しい見た目をしていることでやっと納得に至った感があります。

 実際にどんなオブジェクトタイプを新たに作ったかは次回以降に譲ることにしましょう。

 

 他にも痒いところに手が届く機能がたくさんあります。おいおい紹介していけたらと思います。

 

 

 はじめに、Notionとは相互に「代わり」になるものではなさそうと書きました。それは情報をどう見るかという点でUIが異なっているからです。しかしCapacitiesの思想に染まった上で、Capacitiesのようにデータを扱っているつもりでNotionを使うことはある程度可能と思います。データのつくり自体は似通っています。

 Notionでデータベースを作るといかにもデータベース然としているように感じますが、Capacitiesを踏まえればその種類のページ全体の管理画面がそうなっているだけ、と解釈することもできるでしょう。

 もちろん、Capacitiesなら自動でやってくれる処理をNotionではやってくれないということがあるわけなので、単純に「じゃあNotionでいいじゃん」ということにはなりません。Notionにはない便利機能がCapacitiesには様々あります。ただしNotionを拠点にしている人がより使い方を広げるヒントにはなると思います。

 また、冒頭で書いたように現状Capacitiesは東アジアのユーザーに対して友好的とは言い難いので、日本語話者としてはより信頼の置けるNotionその他を使っていくという選択をした方が今のところ賢明であることは確かです。

 

 ちなみに、全データはmdファイルでダウンロードすることができます。オブジェクトごとにフォルダ分けされ、コレクション(※別の機会に紹介します)ごとにcsvファイルを生成してくれます。また画像等のファイルを含めるかどうかも選択できます。

 各プロパティの情報はmdのフロントマターに記述されるので、Obsidianなど他のツールにそのまま転用することが可能です。その点ではとても親切なので、気軽に試していいかと思います。

 

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