Capacitiesに自分で定義しているオブジェクトタイプの話。今回は知識系の情報に関わるオブジェクトタイプについて書いていきます。ここでの「知識系」というのは、自分と直接的な関わりがないか、あっても自分が所有しているとか実践している感覚がない類の情報を指した表現です。

 現時点で実際に作っているオブジェクトタイプは以下の4つです。

  • Item(複数形は「Catchall」と設定)

  • Person

  • Character

  • Word

 前回の「自分と関係するモノ系」と比べると簡素です。実在の人物か架空の人物か語彙かそれ以外か、というざっくりとした区別です。

 

Item(Catchall)

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 前回少し言及した「Item」は、名詞または名詞的に捉えるもの全般を扱うオブジェクトタイプです。なお「Catchall」の方が命名として重要で、単数形として設定している「Item」は別にItemでなくてもいい程度の名付けです。

 このオブジェクトタイプは、そもそも「Scrapboxのように柔軟に気楽に扱える領域が必要だ」という動機によって誕生しました。何でも入れていい箱が欲しかったのです。Capacitiesの開発者はおそらくデフォルトのPageオブジェクトがその役割を担うことを想定していると思われますが、個人的に「Page」という単語から「何でも入れていい箱」感を連想できないのと、「何でも入れていい箱」に入れるかどうかの更に前の段階にPageオブジェクトを使いたいという気持ちがあったので、わざわざ別にCatchallという場を設けています。

 Catchallは何でも入れていい箱ではありますが、この箱に入れるにあたっては「これ」と指させるようなオブジェクトらしさを持っていることを前提としています。最初に書いたように、名詞または名詞的に捉えるものであることが条件になっているということです。Wikipediaや種々の事典の項目名として扱われるようなものと表現してもいいかもしれません。例えば名言などは名詞ではありませんがここに入ります。そうではないもの、例えば「2024年10月のメモ.txtの中身」みたいなものをCapacitiesにとりあえずコピーした場合、それはCatchallの門はくぐらずPageオブジェクトに留まることになります。

 Catchallオブジェクトに作っているコレクションは実に雑多です。「Quote」「いきもの」「事件・事故」「スラング・ミーム」など色々な粒度の色々な方向性のコレクションがあります。自分以外の人間が見たら気持ち悪くなるような不揃い加減でしょうし、自分自身も「揃ってないなー」という気分になっています。ですが、このオブジェクトタイプで扱っているものというのはつまるところ「へえー」と思うもののメモに過ぎず、管理コストをかけてきちんと整理整頓するようなものではないので、思いつきでコレクションを作っていい、むしろそのくらい直感的で適当な方がいいということにしています。

 

Person/Character

 「Person」は実在の人物、「Character」は架空の人物を扱うためのオブジェクトタイプです。

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 実在の人物について、最初は「自分と関わりがある人」「歴史上の人物」「今活躍している著名人」というような形で区別して考えていましたが、そうすると境界部分は曖昧になってしまいます。どこまでが歴史上でどこからが今かも定義しがたいですし、自分と関わりがある著名人というのも普通にあり得ます。なので、卑弥呼も織田信長も隣の家の人も大学教授もYouTuberも全部まとめて扱うことにしました。自分と関わりがあるかどうかなどはコレクションで分類します。

 Personオブジェクトは色々なオブジェクトからリンクされます。本の著者として、楽曲に参加しているアーティストとして、一緒にプロジェクトに関わっている相手として……その他様々な形でページとページを繋いでいます。その人物そのものの情報をメモすることも大事ですが、その人物に関して自分が触れていたり関わっていたりするものをまとめて確認できる芋づるとしての役割が重要なので、ページは作ってあるものの中身は空のままなものがかなりあります。

 ありとあらゆる「人」をPersonオブジェクトとして扱うことになりますが、それでも「人もモノもごっちゃ」なツールよりかは「人」という範囲に絞られているだけ整理されている感があります。ScrapboxやEvernoteなどで扱う場合の様子を時々思い出して、多様な「人」情報の混在を気にする気持ちを鎮火しています。

 

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 人物に関して唯一はっきり線を引けるのが、実在か非実在かということです。いや、それにしたって伝説に登場する人物は実在かどうか判別しがたいものが少なくありませんが、とりあえず明確に創作物として作られた存在は非実在であることがはっきりしています。「Character」はそういった非実在の人物を扱うオブジェクトタイプです。神話の神々もシャーロック・ホームズも孫悟空もクラウド・ストライフもスヌーピーもここに入ります。

 Personオブジェクトと違ってCharacterオブジェクトの方はあってもなくてもいいようなものですが、Itemオブジェクトとして扱うのはなんだか違和感があったので、実在の人物と同じように専用のオブジェクトタイプを用意しようということになりました。好きなキャラクターや思い出深い登場人物の顔の画像が並んでいると嬉しいということもあります。

 なお、キャラクターや登場人物についてはその登場作品を自分が見たり読んだりしていなくても知っているということが普通にあるので、「自分と関係するモノ」としては解釈しません。また、必ずしも自分が好意的に感じている存在だけをCharacterオブジェクトとしてページにするわけでもなく、好きな存在についてはタグを使って横断的に抽出できるようにしています。

 

Word

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 「Word」は語彙を扱うオブジェクトタイプです。諺、難読語、外国語の単語などが含まれます。厳密な辞書を作りたいわけではないので必ずしも単語単位とは限らず、「○○と△△の用法の違い」のようなページもあります。

 Itemオブジェクトとは、国語辞書系の辞典に載るものか百科事典系の事典に載るものかで区別しています。自分の中ではこの二つの領域は混ざってほしくないので分けています。しかしその境界は主観なので、他の人が見たら「いやこの項目は事典側だろう」という風に感じる可能性がありますが、使うのは私だけなので客観的に見て適切な区別かはどうでもいいことです。

 PC上で調べ物をした時にはコピペして記録したいのでこのようなオブジェクトタイプを用意していますが、しかしそもそも実際的には紙のノートに書いた方が良い内容に思えます。実際、Wordオブジェクトの範疇の内容を紙のノートの方に書いていることはしばしばあります。リンクを駆使する使い方もあまり想像できませんしCapacitiesの強みを活かしているとは言えません。

 ただ、Wordオブジェクトを定義しておくことによって他のオブジェクトタイプからノイズが取り除かれてシュッとするので、その意味で存在意義があるオブジェクトタイプになっています。全部紙のノートに書いてそちらを充実させたい気持ちもありますが、書くのが面倒くさいということは当たり前にあり、デジタルにも居場所があった方が現実的と感じています。

 なお、外国語については「Deutsch ドイツ語」といった形の各言語のタグをつけています。最初はコレクションで言語を分けようと思っていましたが、他のオブジェクトタイプで言語のタグを使いたいケースがあるので、コレクションではなくタグでやることにしました。

 コレクションの使い方はまだ定まっていませんが、現時点では「諺」「故事成語」「四字熟語」「哲学」「仏教由来」「ゲームで見た」などのコレクションを作っています。

 

 知識系のオブジェクトタイプについてはこんな感じです。Characterを除き色はYellowで統一しています。Characterは前回のUniverseと揃えてLimeにしています。

 

 オブジェクトタイプを定義できるというのはとても素晴らしいシステムですが、全ての情報について然るべきオブジェクトタイプが定義されていなければならないと考え始めると途端に息苦しくなり、実用が難しくなってしまいます。

 なので、最低限ごちゃつきは解消しつつ大体何でもありなゆるい定義があると取り回しは自然になるでしょう。ただ、「ごちゃついている」と感じる状態が個々人で千差万別なので、「最低限ごちゃつきを解消する程度の区分け」というのは人それぞれです。ある人の「最低限」が他の人にとっては既に「煩雑」な可能性もあります。

 前回も書いたことですが、どこにどう線を引くかを自分の感覚に正直に決めることが肝要です。そのためには試行錯誤がそれなりに必要になるでしょうが、頑張って格闘するだけの意義はあると思います。そしてCapacitiesはその試行錯誤をナチュラルにサポートしてくれるツールだと感じています。

 

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