Notionという、ブラウザやアプリで動かせる情報管理ツールがあります。noteでも紹介記事を書かれている方がかなりたくさんいらっしゃるので、ご存知の方も多いかもしれません。

 ひとことで言うと、Evernote+Trello+スプレッドシート+……といった「情報を扱う」分野の数多くの機能を極めて自由自在に使える、衝撃的なレベルで便利で快適なツールです。痒いところの95%くらいに手が届く。(長文テキストの扱いには不向き、検索機能が若干貧弱、というところが残り5%です)

 このサービスを恥ずかしながら最近使い始めて色々触ってみたのですが、ツールとしての破格の利便性も然ることながら、データベースというものの意味合いについての学びが私の中で巨大だったので、今回はそのことについて書こうと思います。

(Notionの使い方ではなく、情報はどういう観点で管理すべきかという話です。)

 

 NotionのDatabase機能は、Viewを切り替えることによってひとつのデータベースを様々な観点で整理して見ることができるようになっています。Viewの形態は以下の5つです。

 

①Table(所謂データベース)

②Board(Trelloのようなカンバン形式)

③Calendar(マンスリーカレンダー)

④List(罫線のないシンプルな一覧表示)

⑤Gallery(カード形式)

 

 これらの形態はそれぞれに特化したアプリというのがあるのでどれも扱ったことがありましたが、これら全部をひとつのデータベースから作るということを初めてやってみたことで、自分の中で情報というものの考え方に大きな変化がありました。使い分けのポイントをようやく理解したという感じです。

 アプリ開発などをしているわけでもなく、データというものの扱いに真剣に向き合ったことがなかったんですよね。長きにわたり情報管理に失敗し続けてきました。やっとその不毛さからスッキリ脱出できそうです。

 以下、ひとつひとつ取り上げて気づきを整理していきます。挙げている例はNotion上でそのViewで管理するという意味ではなく、他のツールやアナログ管理も含めてのことです。

 

Table

 Notion内では「あらゆる構造のデータを扱えるテーブルです」とあります。

 データを扱うということの基本の形ですが、そのままテーブルの状態で見るのが最善なのは、

  • データの数が大量であること

  • データが持つ要素でフィルターをかけてピックアップすること

 が必要となるタイプの情報だと思います。

 生活上のもので言えば、例えば蔵書管理、家計簿、読んだ記事のログなど。

 

Board

 Notion内では「プロジェクト管理やバグ管理に向いたカンバン形式です」とあります。

 私はカンバンに加えてマトリクスやマインドマップも合わせて「配置」形式と捉えて認識しています。

 縦横のある二次元の「面」に要素を配置し、動かしたり並べ替えたりすることで属性を見出して整理することができる形です。

 例えば、タスクボード(ステータスの変化を管理する必要があるタイプのタスク)、小説のプロット、自己分析、ブレスト全般など。

 

Calendar

 Notion内では「イベント計画やスケジュールのためのマンスリー表示です」とあります。

 言うまでもなく「時間」に紐付けし、自分の行動と直結する情報を管理するのに有用です。ガントチャートも私の中では同じカテゴリです。曜日の概念が強いならマンスリーカレンダー、曜日があまり関係ないならガントチャート、というふうに普段使い分けています。

 これらが得意とするのは、例えばスケジュール管理、プロジェクトの進捗管理、家事ログ、体調の記録など。

 

List

 Notion内では「ブックマークやノートを一覧するのに向いたシンプルなリストです」とあります。

 Notion以外でリストを管理するならスプレッドシートを使うことが多く、使うツールとしてはTableとだいたい重なります。あとは紙のノートに列挙していくとか。

 データを見るという上でテーブルと違うのは、リストは検索性より一覧性が求められるものに向いているという点でしょうか。

 常日頃、目的に応じて様々なサイズのリストを作って頭を整理するということを誰しもしていると思いますが、つまりデータが持つ要素を全部書き出す必要はなく、「要するに何があるか」がわかることが第一です。

 例えば、今日やることリスト、やりたいことリスト、ノートのインデックスページなど。noteの投稿計画や投稿ログなどもリストの範疇でしょう。

 

Gallery

 Notion内では「ムードボードや情報カード、レシピに使うカード形式です」とあります。

 ムードボードとは、デザイナーなどが言語化しがたいイメージの共有のためにやりとりするイメージ画像、というような意味合いのようですが、つまりギャラリーは「視覚」を使った情報管理方式ということですね。

 言語を使わずに情報を判別する、ということに加えて、その情報から視覚的な影響を受けるということもあります。眺めることが自分の気分を良くしたり襟を正したりするというタイプの情報です。

 ほぼ日手帳やモレスキンやバレットジャーナルの用例を眺めていると、そういう視覚要素の活用によって自分をコントロールしているのだなあと感嘆することがよくあります。

 ということで、例えば思い出の記録、目標となる言葉・イメージ、名言、好きな絵などがこのタイプのデータです。

 

 まとめると、

 

①Table データが持つ「要素」で抽出

②Board データを「配置」して整理

③Calendar データを「時間」に関連付けて行動とリンク

④List 何のデータがあるかを「一覧」で把握

⑤Gallery データの「視覚」要素で把握・活用

 

 という感じです。

 今のところ、理論的に構築すること、つまり階層構造を要する情報以外は、だいたいこの5種類のどれかでスッキリ扱えるのではないかと感じています。

 管理したい情報を見つめて、それを活用するには何が必要なのかをきちんと考えれば、どの形が最適なのかすんなり分かってツールの選択で混乱することもなくなるように思います。

 私は更に、それぞれ「変わるかもしれない情報」と「もう変わらない情報」の区分をして10形態で捉えていますが、それについてはまた別の機会に。

 

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