最近、Dynalistでノードのリンクを活用するようになった。
Dynalistでは全てのノードにURLが存在し、別のノードにそのURLを貼るとノード間で紐づけられバックリンクも表示してくれる。貼り方はURLだけでもいいしMarkdown形式でもいい。URLのみ貼った場合は自動的にリンク先のノードの本文が表示されるようになっている。
また、行頭または半角スペースの後でダブルブラケットを入力するとリンクのサジェストが表示される。文字を打っていくと候補が絞られていく。範囲はアーカイブしていない全ファイルで、編集中のファイル内のノードが優先されるが他のファイルのノードも候補に並ぶ。 候補のノードがどこに存在するものかというのは、パンくずリストも一緒に表示されるので判別できる。
なお、サジェストの絞り込みに反映されるのは本文部分のみで、ノート欄の内容は候補のピックアップに関係しない。
サジェストとバックリンク表示機能があるわけなので、Dynalistをネットワーク型のツールとして扱うことも機能的には可能である。しかしながら、推測するにノードリンクを多用している人はそういないような気がしている。なぜなら、普通に使っていたらノードのリンクをあちこち張り巡らしたくなるような使い方にはおそらくならないからだ。
今Dynalistを使っている人は実際にダブルブラケットと何か文字を入力してみてほしい。そうでない人もちょっと想像しただけでわかると思うが、存在している全てのノードが対象になってしまうとなると、サジェストはおそろしく雑然としたものになるだろう。ノードごとに粒度はばらばらだし、そもそもアウトライナーというのは文脈の可視化やコントロールのためのエディタ、つまり文脈エディタとでも言うべきものであり、周辺のノードがわからなければそのノードの意味は見えてこない場合が多い。
ノードのリンクを貼りたい、つまり「あのノード」と指し示したいと思うようなノードというのはそう多くはない。自分の中でそういう重さのノードかもっと軽いノードかというイメージを持っていても、ツールの側はそれを察してくれはしないので、気を使わなければサジェスト候補は各々の文脈でしか意味を持たない細かいノードで埋め尽くされ、まともに機能しない。
じゃあどうするか。気を使って利用すればいいのである。ノードリンクを活用することを前提としたアウトラインづくりを考えてみる。
まずは普通に自由に書いていく。例えばこんなアウトラインができたとしよう。(例は昔Scrapboxに書いた内容を一部変えたもの。)
考えの整理という点ではこれで構わないのだが、このままだとどのノードもリンクを貼りたくはならない。各々のノードが話題のひとかたまりを示しているわけではないからだ。
このように細かくノードが分かれていることによって更に思考が発展する可能性が十分にある場合は、もちろんそのままにしておいた方がいい。ノードリンクを活用すると言っても、それよりも自分の頭が自由に働くほうが優先されるということは忘れてはいけない。
とはいえ、このように細かいノードを林立させている状態というのは、深く考えずにとりあえずブレストしていった結果というだけのことも多い。その場合そのまま残しておくことに大した必然性がない。
アウトラインを作る中での一連の思考から得られた結果を、ひとつひとつ文にまとめてみると例えばこうなる。
どんな話題にどんな結論が出たのかを明快にすると同時に、それぞれのノードでひとつの内容を完結させている。こうすると、「あの話」と言って特定のノードを指し示すことも可能になる。
この一連は「自分語り」をテーマとしたものだが、全てのノードに「自分語り」の四文字を入れることで、後から「自分語り」で探した時にそれぞれ引っかかり、周辺ノードが作る文脈に頼らずに個々のノードを活用することができる。
ちなみに先日思いついて始めた工夫だが、一行目の最後につけている「:」は「このことについて子ノードで考えを展開しています」ということを示している。サジェストでこのノードを見た時に位置づけが一目瞭然になる。「:」をつけていない場合には、例えば何かの考え事をした結果「~について考えよう」という結論に至った、ということを意味する可能性がある。
考える過程で発生したものの最終的に要らなくなったような内容については、それをずばり指し示したい瞬間はおそらくないので、ノードとして存在している必要がないということになる。それでも残しておきたいという場合はノート欄に移しておく。ノート欄はサジェストには関わらないが検索すればちゃんと出てくるので、後から探すのに支障はない。
ノードリンクのサジェストがどうなってほしいかを念頭にこのように整理する癖をつけると、アウトラインの各ノードはそれ単体で明瞭な意味を示した、謂わばアトミックなものになる。そうすると結局今まで何を考えてどんな結論を出したのかもわかりやすい。ノードひとつひとつが財産になっていく。
考えた結果はちゃんとまとめよう、という心がけを持とうとしても、どういう状態になっていればOKなのかがはっきりしていなければ努め続けるのは難しい。しかし「サジェストに出てきた時に納得できる粒度」という尺度があれば、それを満たしていればまとめは完了したと言えるし、そうなっていないものにはもやもやと不快感を覚えるのでもうちょっとどうにかしようと思うことができる。心がけの力ではなく、収まりの悪さへの苛立ちによって整理を進めていくわけである。
なお、冒頭に書いたようにサジェストの範囲はアーカイブしていないファイルに限られる。アウトライナーを使って扱いたい全ての内容についてこのような整理を目指す必要は全くなく、ノードリンクを使いたい領域以外はアーカイブしてしまえばいい。アーカイブ設定は全体検索にも影響が出ることには注意が必要だが、個人的には全体を横断して検索したいことはほとんどないのでアーカイブ設定で支障を感じたことはない。設定のオンオフは簡単なので必要が生じたら解除すればいいだろう。
リンクの貼り方にはURLそのままとMarkdown形式とがあると最初に書いた。URLだけを貼った場合には、リンク先の内容を変更した場合にそれが常に表示に反映されるという利点がある。そして同じ文面をあちこちに書くことにならないので、検索やサジェストのノイズにもならない。
となれば、Markdown形式は表示を意図的に変更したい場合に使えばよいと言える。リンク元が何十字かの文になっていたとしても、それを数文字で示して文中に組み込むということもできる。その都度エイリアスを生み出せるようなものだ。
ネットワーク型ツールではリンク元のタイトルそのままでしか扱えないことも多く、その場合文中に馴染ませるためにタイトル付けに工夫が必要になったりするが、その都度適当に言い表せばいいとなればタイトル付けに悩むこともない。アウトラインの各ノードにタイトルは不要である。
ただしこの場合、どのノードを指してその表現にしているのかが自分でわからなくなることもある。リンクをクリックすれば確認できるが、いちいち飛ばなくてもわかったほうが便利ではある。この課題について、私はChrome拡張機能を作りスクリプトを走らせてマウスオーバーでリンク元の本文とパンくずリストを表示できるようにしているのだが、その話は別の機会にするかもしれない(しないかもしれない)。
ノードリンクは便利な機能だが、ひとつ問題を挙げるならば、デフォルトの状態だとノードリンクはちょっと見づらいということがある。
本文に溶け込んでいないし、画面の端で内容が省略されてしまう。なのでChrome拡張機能(例えばMagic CSS)でCSSを上書きしてこのようにしてみた。
.node-inline-item:not(.node-inline-image) {
display: inline;
border: unset;
background-color: unset;
color: #384d98;
font-size: inherit !important;
text-overflow: unset !important;
white-space: normal !important;
text-decoration: underline dotted;
&:before {
display: none;
}
}
こうすると本文中に混ざっていても違和感はない。既出の概念についてはリンクになっていた方が嬉しいという感覚も生まれ、一層リンクを活用したくなる。
CSS書き換えはDynalist自体に備わっている機能ではなく裏技的なものである。Webブラウザでしか実行できないという難点もあるが、見た目を変えるだけで使用感が劇的に向上するということはよくあるので、ツールの機能をフル活用するために試してみる価値はある。(書き方を細かく解説するのはちょっと手間がかかりすぎるので割愛する。)
最後に。重大な注意点として、ノードを別のファイルにMove to...で移動してしまうとそこでリンクが切れるということがある。ファイル一覧にドラッグして移動した場合には更新されるようだが、ありとあらゆるパターンを試して確認してはいない。動かし方によってリンクの追跡がされたりされなかったりということになるので、ファイルの構成に迷っている間はあまり多用しない方がよいかもしれない。
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