アウトライナー(Dynalist)と仲良くなったという話。二つ目はノート機能について。

 

 Dynalistでは、各ノードにノートを添えることができる。普通どう使うのかよくわからないのだが、その項目についての補足情報を書く場所として想定されていることは確かだろう。

 

最初はピンと来なかった

 このノート機能のことは長らく無視していた。ノードに補足情報を添えたいタイミングがわからなかったためだ。ノートに書いてしまうとその部分はアウトライン操作ができないし、書きたいことがあるなら下位項目にすればいいじゃんと思っていた。ノート欄を使うと記述の書式が揃わなくなるのも当初は気になった。

 Dynalistではノート欄について常に表示するか1行だけか非表示(クリックで表示)かを選択できるが、それもまた微妙である。常に表示すると全部表示した状態になるので、ごちゃごちゃ書くと項目が「重くなる」感じがする。1行だけだと複数行になった時には確認するためにクリックしなければならない。非表示にすると何を書いたかが全然わからなくなってしまう。

 常に表示したいか非表示でいいかは書く内容に依るので、どっちが正解というのはない。個人的には、非表示でいいなら子項目にして畳めばいいじゃんと思ったので、ノート欄を使うなら常に表示しようとは当初から考えていた。じゃあ何を書けばいいのかというとわからない。

 

定義とロードマップ

 認識を変える転機になったのは、Tak.氏の使い方を見たことである。最近ではnoteの「アウトライナーライフ」というマガジンで公開くださっているので、そのリンクを貼っておく。

 Tak.氏の提案する「ライフ・アウトライン」というものを構成する各機能について、その機能の意味するところ(つまり定義と言ってよいだろう)を解説文としてノート欄に書いている。かなり長い文が書かれていることがポイントだ。

 また、著書の『書くためのアウトライン・プロセッシング』の中では、自分が書こうとしている文章の流れを「ロードマップ」という項目内で書き出す工程を経た上で、

タイトルを書いた項目のnote欄にロードマップを貼り付けると便利です。

 とある。「ロードマップ」下に作った下位項目を全部コピーして、そのままその文章のタイトル項目のノート欄にペーストしてしまうのである(実例では6行に及んでいた)。さらっと書いてあるのだが、そういうやり方は考えたことがなかったという人が多いのではないかと想像する。

 

結論を書く

 しかし、Tak.氏の使い方を見て衝撃を受けても、それが直ちに自分に反映されたわけではなかった。そういうインパクトがあると割とすぐ真似したくなるものだが、ずーっとDynalistを拠点としていたのではなかったため、これに限ってはあまり熱心に考えることのないままになってしまった。

 更に言うと、このノート欄が私の中で衝撃を生んだのは、初見の瞬間ではなかった。自分の中でアウトライナーへの認識が変化するにしたがって、それの何がすごいのかというようなことへの自分の鋭敏さが変わっていたということだろう。

 衝撃を感じてからは一応ずっと頭の中に「ノート欄はああいうふうに使っていい」という許しめいたものが残り、ノート欄を活かせるタイミングを探しながらDynalist(あるいは他のノート機能があるアウトライナー)を使っていた。それでもそこそこ長い間、良い着地点を見出さないままに月日が過ぎていった。

 

 で、前の記事に書いたように最近血流が良くなり、Dynalistを使っていたところふと気がついた。結論を書けばいいのではないか?

 前回書いたが、私はDynalistを「ケリがつくこと」について考えるために使うことにした。そうなると、Dynalist上で色々考えるのは「結局どうするのか」「結局どういうことなのか」を導き出すためということになる。

 結論はだいたい枝分かれした下位項目の先にそれぞれ発生するので、そのままではバラけていて把握しにくい。そこで前までは「親項目を結論として書き換える」とか「結論というノードを作ってその下にまとめ直す」ということをしていたのだが、正直やりにくさを感じていた。

 そして今更ながら、はたと「親項目のノート欄に、その下位で考えたことの結論を書けばいいじゃないか」と気がついた。例えばこんな感じ。(なお、これは実際に考える過程で使ったものではなく後から例のために作ったアウトラインである。)

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 そうすると、畳んだ時にもその親項目というのは「下位で検討が行われているノード」だというのがはっきりする。

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 冒頭で、ノート欄にあれこれ書くと「重くなる」感じがすると書いたが、この場合はむしろ重くなって良いのである。私はここで色々考え事をしているぞ、というのがノート欄の存在によって未来の自分にも伝わるのだ。なので、この例では結論は短めだが、必要があればもっと長い文になっても構わない(と私は感じている)

 

アウトライン操作が発生しようがない情報を書く

 ノート欄に書くとその記述はアウトライン操作ができない。それを最初は欠点に感じていたが、それは多分アウトライン操作というのがどのタイミングでどう行われるのかが自分でわかっていなかったからで、ただただ「操作可能性が失われる」という勿体なさを惜しく感じてしまっていた。

 実際には、アウトライン操作が発生しようがない情報とか、「ここではやらない」とはっきりさせておきたい情報というのがある。前者は例えばメタデータ的な要素だ。もし本についてのノードを作るとしたら、出版年などがアウトライン操作の発生しようがない情報となる。

 後者について詳しく書くと、例えば同じ要素を複数の場所で考えることになってしまった時に、それぞれでアウトラインを作っていってしまうとわけがわからなくなるので、そのことについてはこのノードでやるということを決めて、他の場所ではそのノードへのリンクを貼る。このリンクに対してはアウトライン操作が発生しない(させたくない)ので、ノート欄の方に書く。

 ノート欄でなくて本文部分に矢印をつけたりして書いても別に構わないが、ノート欄だとフォントが小さくて主張が弱くなるので少しスッキリすると感じる。なお、これについてはミラー機能(ライブコピー)があるアウトライナーなら要らない工夫かもしれない。

 

 そんな感じで整理がついたので、いつ使えばいいのかと思っていたノート機能を今は「便利じゃん!」と思って使っている。

 気づいてみれば当たり前のようなことなのだが、掴むまでになぜだか随分時間がかかってしまった。

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