デジタル日記の試み語り第四回。今回で現時点の試行錯誤の報告としては最後になる。

 迷走時代→Scrapbox→Notion+Word、と来て、結局今どうしているのかという話をしていく。

 

 Notionで日誌、Wordで日記というスタイルは一ヶ月半くらい続けていたが、今現在は日誌も日記も併せてDynalistをメインにしている。前回までの力説はなんだったのかと言われそうだが、ここまでの試行に何らかの手落ちがあったというのではなく、それはそれで良くて、今現在の自分により合うものを模索したらDynalistに辿り着いたということである。

 Dynalistとの付き合いはそれなりに長く、苦闘の日々は以前「アウトライナーの使い方ド下手問題」として記したのだが、最近になってガラッと使用感が変わった。というのは、ブラウザの拡張機能によってCSSを上書きして表示を変えてみるということを試したことで、Dynalistが元々備えていた機能に対する「使いたさ」が変わったからである。具体的に見た目をどうしているかは今回の趣旨から外れるので語らないが(Dynalist自体が提供している機能ではないのでそもそもこれ以上語らないかもしれないが)、ともかくそういう経緯によってDynalistをもっと使いたくなり、日記・日誌の場所をDynalistに移すに至った。その結果今になって利点を理解した機能もある。私はDynalistのことを全然わかっていなかったのだ……。

 

 CSSをあちこち変えているので普段実際に見ている景色とはかなり違うのだが、一応Dynalist上で日記や日誌をどう記述しているかという画像を貼っておく。まず日記はこちら。

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 前回のWord同様なんてことのない光景である。

 ひとつポイントがあるとすれば日付タグだ。Dynalistではタグとして「@」から始まるものと「#」から始まるものの二種類を設定することができ、私はDynalist内全体で「@」を日付専用にすることにした。タグをクリックすればその日に関わる記述を探すことができるが、「@2021」で検索すれば2021年の記述が、「@2021-11」なら2021年11月の記述が、「@2021-11-2」なら2021年11月下旬の記述が抽出される。Diaryファイル内で日付を検索することはないが(順番に並んでいるので見ればわかる)、他のファイルにフォーカスしていて横断検索をした場合に日記も引っ掛けることができるのは安心感がある。なお、必ず同じ書式で書くならタグにしなくても構わないのではあるが、アイデアを書く時などに「日付を書いたぞ」というのを明示したいということがあり、日付はタグにすることで統一している。

 ここで補足しておくと、Dynalistには日付を入力する機能があり、「!」と打てば日付選択のカレンダーが出てくるのだが、個人的には@タグの方がシンプルでやりやすいのでタグを使っている。

 日記の書き方は適当で、別に敢えて「残したい」とは思わないようなものでも構わず書く。消したくなったら消せば良い。アウトラインを閉じてしまえばしょうもない記述の圧迫感などは霧散するので、残っていて不都合を感じることはほぼない。とはいえもし悪口や憤りを書いたりした場合には、隠していても負のオーラが放たれる気がするので適当なタイミングで消してしまったほうが良いかもしれない。

 日記は巻物状であってほしいということを二回にわたって強調してきたが、Dynalistはどうかというとこれも下位項目を全部開いてしまえば普通のテキストファイルと同じく巻物状である。PCからの操作に限ってしまうが、ショートカットキーによって一段階だけ開く(それ以下はその時点での状態による)こともできるし(Ctrl+.)、全部バッと開いてガッと畳むこともできる(Ctrl+Shift+.)。むしろ好きな粒度で「巻く」ことのできる柔軟なデジタル巻物と言えるかもしれない。アウトライナーの折り畳みはパタッと折り込むあるいはグシャッと潰す(collapse)イメージを持っていたが、模造紙にそうするようにくるくる巻いたり広げたりするイメージを当てはめることも可能だろう。

 横断検索で日記を引っ掛けられるのは安心だと書いたが、状況によってはArchive設定にして検索に掛からないようにすることもあり得る。とはいえ、ファイル自体の位置が下の方なら横断検索での検索結果も下の方に表示されるので、ファイルの位置を気をつければ基本的には検索に掛かっても気にならないし、Archive設定にすることはあまりなさそうである。

 

 次に日誌はこんな感じ。内容はサンプル用の架空のもの。

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 日記とはファイルを分けており、こちらは記録用であって事実だけを書いている。日記は日付の子項目にメモを並べているが、日誌の方は日毎の階層を作らず項目にいちいち日付タグをつけている。そして#タグでおおよその種類を区別していて「前回どうだったっけ」といったこともすぐに見つけ出せるようにしている。日常生活での出来事は大抵一行で済ませるが、必要があれば子項目を作る。

 また、プロジェクトなどは別のファイルにそのプロジェクトについて説明する欄を作っておき、日誌ファイルではプロジェクト名へのリンクを貼る。そうするとリンクをクリックしてプロジェクトの項目を開いた時、下部のバックリンク欄に経過が全て並ぶので便利である。よってタグは一般的な括りに留めておき、固有名詞は行リンクを使うことにしている。

 日記と日誌とで重なる要素があると思うと、タイトルのつけ方などでなんとかして工夫して一箇所にまとめたくなってしまったりするのだが、我慢して二つの場所を明確に分けることで見返しやすさを高めている。相互にリンクさせたい場合は行リンクを貼ればいいだけなので、場所を分けることに今のところデメリットは感じない。

 

 具体的なやり方は以上だが、NotionとWordの組み合わせに不満はなかったのにどうしてDynalistに移ることにしたのか。

 端的に言うと、Notionで日誌をつけるということが今の自分の生活に対してちょっと仰々しすぎるように感じたためである。僅かに手間もかかるし、また実際の手間以上に「手間をかけている感」が大袈裟で気疲れしてしまう。良いやり方だとは思うのだが、そこまでしなくていい。Notionで便利に感じた要素を踏まえて、もう少し身の丈に合った方法に縮小させたくなった。結果として、Notionでのプロパティで得た感覚をタグと行リンクの使い方に応用してDynalistに移行するに至った。なお、日誌以外の用途(例えば本の情報管理など)ではNotionの活用を継続している。

 こうして日誌要素をDynalistに移し、また見た目を自分好みに整えたことにより、Dynalistを使う頻度や時間が増した。そうすると日記要素もとりあえずDynalist内に書いておきたくなる。元々、スマートフォンからメモをする時には簡単にPCと同期できるメモ置き場としてDynalistを選択しており、結局どこからでも一度Dynalistに書き込まれることになった。Wordを使っている間はスマートフォンからのメモをわざわざWordにコピペしていたのだが、PCでもまずDynalistに書くとなるとWordに移す手間に疑問を感じざるを得ない。前回、Officeソフトについて画像の取り回しの自由さを讃えたばかりだが、日記の大半は画像を伴わない記述である。また、素朴な「なんてことのない」記述は「移す」という行為と合ってないようにも思う。やはりここでも仰々しさへの違和感を覚えたと言えるかもしれない。

 とはいえ、日記として書きたいものが全てアウトライナーの形式に合っているわけでもない。そういう感じじゃない、ということが発生するし、もう少し修飾したいこともある。ということで、Wordの日記は内容を限定して継続することにした。紙の手帳に綴るようにレイアウトやデザインを気にしたいような大事な内容はWordの機能を遺憾なく発揮して記すことにして、単に「なんかこんな気分だなあ」というようなものはDynalist内に書く。上記の日記サンプルにも記述してあるが、Dynalist内にWordのファイル名を書いたノードを用意し(使用ツールの一覧みたいなものを作ってある)、Wordに書いた時にはDynalistの日記ファイルにそのノードへのリンクを貼って「このことについて○○.docxに書いた」という旨を記載しておく。そうすれば情報の分散に後から振り回されることもないだろう。

 

 このような形で、最近はDynalistに日記・日誌をつけることで納得している。いい加減どこかに落ち着きたいのでここがゴールであってほしい。「デジタル日記の試み」と題した記事が延々続かないことを祈って、まずは全四回ということで終わりにしたいと思う。

 

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