投稿先: https://noratetsu.blogspot.com/2021/10/office02.html
Office日誌:フォントと背景で「自分の場」感を演出する
前回、Officeソフトをまた積極的に使い始めたという話をした。
今回はOfficeソフトの見た目を自分仕様にするということについて。(文中でもしつこく繰り返しますが、正解は各人の胸の内にあるので、私の仕様を推そうとして語るわけではありません)
Officeソフトを使うにあたり私が気になったのは、如何にも「仕事に使うソフトです」という感が漂っている点である。真っ白の背景にデフォルトのフォントだとなんとも無個性で、他でもない私が文字をここに打ち込んでいるのだという気分はさっぱり得られない。自分らしさが何もない。それはあまり楽しくない。
Wordについてはまず余白からして気に入らない。綺麗に印刷するための設定値なのだからそれは当然の話で、そもそも「ただ書き込むだけ」というのは初期設定のレイアウトでは想定されていないだろう。なので「ただ書き込み、ただ見る」という使い方をしたときに気分が良いように変えることにする。A4という大きさ(そこに収まる情報量の具合)は嫌いじゃないので、横長にして2段組にし(つまりA5の見開きのような形)、余白は各辺20mm程とした。この設定を自分の基本形として日記用のファイルは印刷レイアウトで表示しているが、他の用途のファイルは内容によってはWebレイアウトで表示してページや幅の概念を排除している。
次にフォントである。フォントは本当に大事で、文字の見た目の雰囲気で文の内容まで違って見える(だからフォントというものが存在するのだろう)。よって自己像との乖離のない見た目を選択した方が良さそうである。私は文字の筆運びというものが好きで文字からは常にそれを感じていたいので、明朝体やゴシック体は自分が打つ文字としては違和感が拭えない。しかしあくまで情報を扱う場であるので個性の強い達筆なフォントを選んで可読性を損ねては元も子もない。読む時にストレスがないのが大前提である。
点画に文字本来の強弱を感じられて且つ読みやすいフォントは何か? それを体現しているフォントが数年前に誕生した。「UDデジタル教科書体」である。子どもが読みやすいように設計されたユニバーサルデザインフォントだが、これが本当に美しい。そしてWindows10に搭載されており、Windows10のユーザーなら誰でも使うことができる。これがなかった時分はどのフォントを選んでもドンピシャではなく、かなり綺麗に作られているHG教科書体やHG行書体、HG正楷書体でも漠然と不満が残っていた。フリーフォントも市販のフォントも私の好みにはいまひとつ。だからみんなUDデジタル教科書体を使おう!などと言いたいわけではないが、私の好みに合致したフォントが存在しているのは大変にありがたいことだと感じている。無論好みの見た目は人それぞれ異なるだろうし、明朝体が好きな人もゴシック体が好きな人ももちろんいるだろう。手書き風フォントを使うのも面白い。
もうひとつ重要なのが背景である。背景は常に目に入っている。書き進んで内容がどんどんスクロールしていっても、背景は変わらずそこにある。自分の意識に対する影響は馬鹿にならない。
自分にとって気分の良い背景は何かということは私自身長らくわかっていなかったし、だんだんとツールが嫌になってくる要因として背景に納得できていないことがあるというのもごく最近気がついたのだが、気分が良くなる見た目を見つけて設定してからは「ここは私の場である」という意識を持てるようになった。つまりOfficeソフトのファイルに対して愛着を感じられるようになったのである。前回、Excelとはなかなか仲良くなれなかったということを書いたが、その原因のひとつは「白か塗り潰しか」しか視覚的に選択肢を持っていなかったことだと気づいた。
Officeソフトには塗り潰し効果としてテクスチャが色々と用意されているが、大体背景としては主張が強すぎる。良いなと思う柄があったとしても必ずしもそれが文字の後ろにあるものとして適切とは言い難い。また個人的には、背景にはあまり色味を感じない方が良いようだ。しかし灰色一色なのもただ暗い感じがする。多少柄がほしい。
ということで今実際にあちこちで使っているのが以下の青海波文様である。CSSで書く術を知ったのでScrapboxの背景に設定しており、それが気に入ったので「自分の場」と認識したい場所はこの柄にすることにした。
CSSでこれを背景にしたHTMLを表示してスクリーンショットを撮り、テクスチャとしてシームレスに敷き詰められるようにトリミングして使っている。(具体的なCSSコードは一応Scrapboxに書いてある)
いや背景など無い方が良い、真っ白でいい、という人はもちろん白紙を選択するのが正解だ。
これらのフォントと背景を設定してWordに作っている引用集が、例えばこんな感じの見た目である。
ちなみに「こんな感じならば自分は納得できる」というのは実のところOfficeソフトとの対話で得られた結論ではなく、ScrapboxのUserCSSをちびちびいじったり、HTML/CSSを勉強して自分用のページを作ろうとしたりする中で掴んだことだ。再現したいイメージが先にあればそれをOfficeソフトの設定でどう実現するかを考えるのも難しくないのだが、Wordなら何をどうできるのだろうという模索からスタートすると「私がしたいこと」より「ツールでできること」に囚われて自分の好みから逸れてしまう可能性もなくはない。(昔の私はそうだった)
ここまで自分で変えられる部分のデザインについて語ってきたが、私はOfficeソフト自体の見た目には特に不満がない。しかしその部分が自分に合わないという人もいるだろう。そういう場合はCSSなどでツール全体のテーマを変えられることを選択の第一条件にすることもあり得る。
ツールの機能というのはもちろん大事ではあるが、どんなに優れた機能があっても「なんかしっくり来ない」というストレスを抱えたままでは継続が難しくなる場合があると感じている。視覚要素が自分にとって大事だと感じる人は、ツール選択に於いても視覚要素こそを最も重要視すべきかもしれない。
見た目を整えることで自分の幸福度が上がったので、各々が自分の好みに合った見た目を追求したら良いと私は単純に思っているが、ただここでひとつ注意しておきたいのは、真面目に考えるあまり「私の好みってなんなんだろう」という自問に押し潰される可能性である。私のこの記事でそこまで考える人がいるかはわからないが、「自分の好みをちゃんと知ろう!」というメッセージを示している記事や本はたくさんあって、「そうかー」と思う人はいるだろう。私もそう思って自問し始め、自己をまともに知らないことに愕然とした経験がある。
もちろんすらすらと自分のスタイルを言い表せるならそれが良いと思うが、自分で自分の好みがわからないことが苦しみになっては本末転倒であろう。見た目を整えるのは自分が楽しく過ごすためであって、こだわりが無いなら無いでいいだろうし、いつかこれぞと思うものに出会えたらいいなあとゆったり構えて生きていればそれでいいだろうと思う。いいえこの際本気出して自己分析します、と一念発起するのならそれも良い。
自分の好みを知ることは絶対的に必要だと個人的には思っているし、最終的には誰しも自分の好みを表現できる(無いなら無いで「無い」と言える)ようになればいいと思う。しかし今すぐ明らかにしなくてはと自分に迫る必要はないだろう。
~余談~
はたと気づいたが、このブログも「私の場」として見た目を統一した方が良いのではなかろうか。ブログを作った当初はHTMLやCSSの知識とスキルが皆無だったので選べる中から自分の好みに近いものを選んで設定せざるを得ず、今に至るまでなんとなくそのままにしていた。概ね好きな色味だし不本意だと思うこともなかったが、この見た目がすごく気に入っているというわけではないし自分の感性は大して反映されていないので、自分が納得できる見た目を追求していった方が良さそうである。
まあでも、私自身は自分のブログをそんなに見に来ないので、着手には時間がかかるかもしれない。
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