何かを見たり読んだりすると「へえ~」と思うものにしばしば出合う。その分野に特別な関心はなくとも物珍しさや何か仕組みめいたものなんかがあれば「へえ~」と思う。その感動はなんだかとてもいい感じなものな気がするので、メモしておこうかとなる。
この場合のメモにもそれなりに苦労してきた。専用のノートを作ったりやめたりを繰り返してふらふらしているし、デジタルだったりアナログだったりもあやふやだ。なんでもいいからどれか一ヶ所に決めれば多分それだけで万事解決なのだが、そうできない理由があるから長いことふらふらし続けている。
場所を決めがたい最大の理由は、この「へえ~」に「その後」がないことだ。メモするはいいが、その先がない。せいぜい眺めてにこにこするくらいのものだ。よって形式に必然性がなく、あっちにふらふらこっちにふらふらすることになってしまう。
ところで、私は近年「のらてつの茶の間」と名付けた場所を用意して、そこにちょっとしたことを書いている。URLと形式を変えつつ現在ver.3で、今はこのサイト内に設置してある。上のメニューにも置いてある「茶の間」である。
毎日更新している時期もあれば月単位で更新が途絶えていることもあるが、とりあえず内容としては、見聞きしたものや思い出の何かについてちょっと書く日記のようなものだ。思想的なものや有用性のあるものは基本的に含まないのでこのサイトのメインの記事群とは分けて扱っている。
で、以前は「へえ~」にその後の行き先は何もなかったのだが、「茶の間」を作ったことにより、「へえ~」の一部には「茶の間に書く」というゴールができた。
この「茶の間」のデータというのは(メインの記事もだが)、Dynalist上に自分で決めた書式に従って書いておき、それをDynalistのAPIを通じてプログラムで取得して生成している(サイトの作り方④取得したデータを加工するに解説あり)。「茶の間」用のファイルがあって、その中で橙色に設定したノードをタイトル行と判定し、その下位項目を本文と解釈している。祖先項目に橙色のノードが存在しなければ、その枝はまるごとスルーされるようになっている。
最近のことだが、Dynalistで作業中に、テレビでちらっとやっていたことを「あっ」と思って咄嗟に「茶の間」のアウトライン内に書き留めた。普段は他のツールかノートに記述しているけれど、それを開くのが面倒だったのでDynalist上に書いてしまおうと思い、現状そういうものっぽい内容が多い場が「茶の間」用ファイルだったのでそれを開いて入力した。
そうやってみて気がついたのだが、この種のメモというのは、「ゴールがあるとすれば茶の間」であり、結局「茶の間」にも書かないかもしれないが、少なくとも他にゴールはないわけで、それならば最初から全部「茶の間」用アウトラインに書いてしまえばいいのではないか。
メモがずらっと並ぶ中で、公開できるくらいに書いたものは橙色に設定しておく。そうすると、メモの中に「公開もしているメモ」が混ざるような感じになる。管理上は何の支障もない。これまでは別の場所に書いてあるメモを見てこれ書くかとなったら「茶の間」に持ってくるという流れがあったが、最初から「茶の間」のファイルに書いてしまえばそうする必要はなくなる。
これには場所を分散させずに済むというメリットがまずあるが、それ以上に大きい恩恵があって、それは「可能なら公開したい」という欲によって記述を充実させようというインセンティブが働くことだ。説明のあるサイトを見てこよう、正確な情報を整理しておこう、ついでに疑問も解消しておこう、といったふうに。
今までの単に「へえ~」をメモしておくだけの形では、その後に何か書き足すということはまずなかった。「へえ~」とは思いつつも、それ以上労力を割くほど強い関心はないことが大半だからだ。調べてみれば面白いのはわかっていても「まあそのうち気が向いたら」になってしまう。なのでメモがノートとして充実していかない。
一方で「あわよくば記事にしてしまおう」というある種の下心があると「気が向く」のでちょっと労力を割いて調べ物を進められる。結果として、メモはノートになり、「へえ~」の感動はより深いものになり、自分の心はアウトラインの規模とともに豊かになっていく。
「茶の間」は古のブログのような感じを目指し、他の人にとってはどうでもいいかもしれないがただ書きたいから書く、ということをする場が欲しくて作ったものだ。なので自分にとって意味があればそれでいい。とはいえ場所を作ったからには、誰かが見に来るかもしれないことを念頭に、記事を増やせるなら増やそうという気になる。
この「自分にとって意味があればいい」と「増やせるなら増やしたい」の掛け合わせによって、今まで宙ぶらりんになっていた「へえ~」にフローが生まれ、最終的に公開するにせよしないにせよ、記述を豊かにする動線ができるようになった。メモに根拠のある居場所ができたことにはかなりのスッキリ感がある。
このことは自分が良い気分になる以外の意味は持たない(これで稼ぎが増えるとかいうことはない)わけだが、自分が良い気分になれたらそれで十分だろう。
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