前投稿にちあさではテレビ番組の方だけ触れたが、日曜朝のもう一つのお供がラジオ番組の「音楽の泉」だ。

2020年度から奥田佳道氏が案内人。その前は故・皆川達夫氏だった。皆川達夫氏は1988年からとのことで、実に30年以上務めていたことになる。すごい。

皆川氏は惜しくも2020年に亡くなられたが、92歳だった。長生き! きちんと2019年度の仕事を全うし、4月に天に帰られた。

最後の方の回で「歌オラショ」というものが取り上げられていて、その話がとても印象的だった。隠れキリシタンが歌い継いだグレゴリオ聖歌だ(皆川氏が研究により論証)。あまりに前提知識に乏しかったため話の全部を理解はできなかったけれど、全く知らなかった世界に案内されたということに衝撃があった。

 

先週はラヴェルの『クープランの墓』のことをやっていた。邦題は直訳で『クープランの墓』だけど、実際の意味はその表現から想像するものとは違っていて、「墓」と訳されている「Tombeau」は音楽用語として「故人を悼む曲」というような意味があるらしい。そうだったのか~。クープランの墓碑に思いを馳せているのではなく、クープラン的な形式のバロック風音楽によって、戦争で亡くなった知人に思いを馳せているのだろう。

調べればわかることではあるけど(このことはWikipediaにも載っている)、それは「調べれば」であって、自分が見知った全てのものを調べるわけではないので、こういう番組で「へ~」と思えるとやはり楽しい。

 

ちなみにこの番組のテーマ曲はシューベルト作曲の『楽興の時』第3番ヘ短調。多分誰でも聞いたことがあると思うけど、この曲は一度聞いたらきっと一生残ってしまう種の不思議な印象を持っている。暗くはないけど明るくもない、なんとも言えない気分になる。面白い曲だなと思う。

そして案内人交代に伴い演奏が変わったのだが(アンドラーシュ・シフ→マリア・ジョアン・ピレシュ)、結構な違いを感じて少し驚いた。演奏家が違えば音が違うのは当然ではあるけれども、それにしても味わいが違っていて奥が深い。

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