サイエンスZEROで生殖の研究のことをやっていた。
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まずミジンコの話。基本はメスが単為生殖でクローンを生んで爆発的に増えていき、そして特定の時期だけオスを生んで有性生殖をする。これだけだとアブラムシと同じだなという感じでそんなに驚きはなかったのだが、有性生殖をした時の卵の変化に仰天した。
クローン卵はいかにも卵という感じの真ん丸の小さい球が集まった状態なのだが、有性生殖の際はアサガオなんかの種のように半月っぽい形の頑丈なひとつの塊になる。そしてその中に卵が二つ入っているとのこと。これは冬の寒さに対して耐性を持つためらしい。ちょっと想像したこともない変化で、そんなことがあるのかと思った。
次にヤリイカの話。オスは個体によって精子の大きさが違い、大きなオスは小さな精子、小さなオスは大きな精子を作るということがわかったという。これは、大きなオスは競争に勝って直接メスに精子を届けられる一方で、小さなオスはメスの脚の付根に精子をくっつけるまではできるものの後は精子の遊泳能力で放卵された卵子に辿り着かせるしかないからとか。精子としての能力が維持される時間の長さもそれぞれで全く違っている。
そのようにすれば生き残れるというのはわかるが、実際にそういう戦略を取るように変化するというのはなんだか信じがたい気持ちになる。すごい話だ。
最後にマウスの研究の話。オスのiPS細胞からメスの卵子を作り出し、両親がオスのマウスを作り出したとのこと。X染色体二本の生殖細胞を作る必要があるわけだが、細胞の培養をしていると分裂時に稀に染色体が一方に偏ってしまうエラーが生じ、その現象を二段階で利用する。XYからYが抜けたXOを作るのが一段階目、そしてXOからXが二重になったXXを作るのが二段階目。これでオス由来の卵子ができ、その卵子から誕生したマウスは今のところ通常と様子は変わらないようだ。
メスから精子を作る研究も行われ、もしも可能になったら例えばメス2頭を残すのみとなっているキタシロサイのような動物の種の保存に役立てられないかという話だ。
正直なんだか恐ろしい話だが、くれぐれも倫理を踏み越えたことが行われないようにしてほしい。人間である以上全ての人間が大人しく守っていられるとは思えないが。
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