SPEED「White Love」の歌詞の一節。作詞・作曲とも伊秩弘将。1997年。
流行っていた当時は全く気に留めなかったけど(よくわかってなかった)、今見るとちょっとエモーショナルだなと思う。
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手帳術なんかが流行るよりずっと前だけど、若い女の子の生活をイメージした時に手帳が当たり前にあったのだろうか。まあ1997年はスマートフォンはもちろんないし携帯電話も一般に普及してはいなかったわけなので、個人的な何かを書くなら手帳あるいは日記帳ということにはなるのだろう。
「新しい手帳にもあなたのイニシャルが沢山ありますように」という歌詞を見ると、前提として今年も手帳を使っていて、そしてイニシャルをあちこちに沢山書いているほど重用していたということになる。実際の女の子たちがどの程度手帳を活用していたかわからないけれど、でもこの歌詞に違和感がなかったのだとすれば実態との乖離が大きかったわけではないのだろう。
個人的なことをせっせと紙に書きつけるのが割と普通にあった時代を思うと、なんとなく心温まるというか、デジタル時代の寒々しさからちょっとだけ解放された気分になる。
ちなみに歌詞検索サイトで「手帳」が含まれる曲を探してみるとちょっと面白い。
大塚愛「さくらんぼ」も確かにド頭から手帳の話をしていた。
ばーっと見ていくと「写真挟みがち」「✕つけがち」「時の流れを思いがち」「空欄見つめがち」「何か塗り潰しがち」「逆に意地でも消さずに残しがち」という感じだろうか(揶揄しているわけではないよ)。
手帳とともにある生活が歌詞から見えて、なんとなくフフッと笑ってしまう。手帳というものに注目することによって、それまで特に縁を感じなかったような歌詞もリアルなものに思えるからかもしれない。
余談のSPEED語り
それにしても、やっぱり「新しい手帳にもあなたのイニシャルが沢山ありますように」は意味の豊かな表現だなと思う。
SPEEDの曲の歌詞はかなり(すごく)背伸びをした攻めた感じが多くて「小中学生に何歌わせとんじゃ!」と後から叫びたくなってしまったものも多々あるわけだが、一方で圧倒的に女子たちに受けた理由も何割かはそこにあるのだろう。(本当に今はもう未成年の子に歌わせるものとしては許されないんじゃないかなと思うレベルに攻めているし、平成の開放感の象徴という感じがする。)
歌詞全体で結局何を言っている歌なのかを考えると非常にあれな曲がちょくちょくあるわけだけど、大体どの曲も声に出して歌った時の各単語・フレーズの強さと言いやすさというのが抜群で、キャッチーなメロディーにちょっと大人っぽく且つ発声しやすいパワーワード(小中学生的に)が絶え間なく乗った状態で丸々一曲走り抜けてしまう。シングルで出る曲出る曲そうなので、ある種の中毒性があったと思う。「脳漿炸裂ガール」や「千本桜」なんかの中毒性とちょっと似ている(それらは歌いやすくはないけども)。
「新しい手帳にもあなたのイニシャルが沢山ありますように」の部分も、声に出して歌った時にすごく気持ちいいリズムをしている。複雑過ぎない程度に適度に詰め込まれていて、発声に無理がない。
あと、上の本題部分では書かなかったけど、「なぜイニシャルが書かれるのか」というのはなんとなく想像するわけで、当時の女子たちは具体的なことは全然わからなくともやはりそこに大人の香りを感じ取っていたと思う。この曲全体から漂う「縋っている感じ」と「慈愛に満ちた感じ」が、意味の曖昧な部分にも漠然と「大人の階段の上にあるもの」のイメージを纏わせている。
諸々の歌詞のギリギリアウト感はともかく、言葉はいつも巧みに配置されていたと思うし、メロディーも素晴らしいものを連発しているので伊秩弘将氏はすごい人なのだろう。
解散前の曲は多分全部知っているけど一番好きなのは「ALIVE」かなあ。歌詞も綺麗なやつ(?)です。1998年。(あれこれ書いておきながら個人的には背伸び感には然程興味ないのであった。)
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色々歌詞を見直して思ったけど、アダルトな曲もそうでない曲もやたら「愛」がプッシュされているな。SPEEDの曲に等身大感が薄いのは、不相応にセクシャルだからというだけでなく、ちょくちょく話が壮大になるからなのかも。あと内容の攻め方に反して使われている語彙は総じて「普通に真面目」な感じだなと思う。頽廃的な印象がない。それがよかったのかもしれないなあ。
「BODY & SOUL」ですら、最後の畳み掛けの「両手を広げて 大地駆けぬけて 空を抱きしめて 風を受け止めて 虹を突き抜けて 世界抱きとめて 夢も願いも 愛も止められない」の部分はなんかこう、真面目な感じがしてくる。真面目っていうのは別にダサいという意味ではない。斜に構えたら出てこない感じがあるけど。
そう、斜に構えてないんだ。だから「性」のイメージを具体化出来ない子どもにとっては、ひたすらパワフルに前に進む応援歌みたいに見えたのだと思う。
期間限定再結成の時ので好きなのは「華」かな~。多分メジャーじゃないけど。「BRIDGE」収録、2003年。
歌詞をよく読むと、これはSPEEDの四人に贈った言葉だったのかなと思う。CDが今手元にないけどなんか書いてあったかな。
解散後の彼女たちの生き方がどうであれ、彼女たちが自身の青春を犠牲にして私たちにもたらしてくれたものはあまりにも大きく、間違いなくレジェンドだなと思う。
(絵理子寛子の歌はもちろんだけど、私は多香子と仁絵の見た目の雰囲気がすごーく好きだった。かっけーーーーーって思っていたよ本当に。)
ごちゃごちゃ語ってきたけど、しかし私は当時の流行りに影響されていたに過ぎず、そこまで熱心なファンというわけではないので、ちゃんと再結成して以降の2010年代のとかは全然知らない。2010年代はSPEEDに限らずJ-POP全体からほとんど離れてしまっていた。
リアルタイムに売上に貢献しなかったことを申し訳なく思いつつ、せっかくだからこれを機にチェックしようかな。それでまた何か思ったらここに書くことにしよう。
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