先月、『The Beatles 1962-1966』(通称「赤盤」)と『The Beatles 1967-1970』(通称「青盤」)の2023エディションが発売された。

 

2023/11/26放送の「ディスカバー・ビートルズⅡ」にてUKオリジナル版と2023Mix版の聴き比べをやっていて、とても面白かった。

2023Mix版は各楽器を分離(デミックスというやつ?)したリミックスになっており、オリジナル版でははっきり聞こえにくかった楽器演奏がクリアに聞こえるようになっている。

そうするのがプラスに働くかどうかはその曲の雰囲気と聴く人の好みによると思うけど、クリアになることでそれまで気づかなかったことに気づくのは面白いことだし、ビートルズを好む誰にとっても発見があると思う。

 

聴き比べをしたのは「I Saw Him Standing There」「She Loves You」「This Boy」「A Hard Day's Night」で、どれも比べてみると「ああ違うな」と感じたけれど、その中でも違いが際立っていたのは「A Hard Day's Night」。リンゴ・スターが叩いているボンゴの音がはっきり聞こえて、ずーっとトコトコポコポコ鳴っているのが面白い。これまでのバージョンでは全然気づかなかった。

A Hard Day's Night (2023 Mix) - YouTube

(スピーカーやヘッドホン、イヤホンは良質のものを推奨。雑なスピーカーだと聞こえにくい。)

 

MCの和田唱さんも言っていたことだけど、全体的にオリジナル版はロックンロール感がある。そして2023Mix版は今風に聞こえる。演奏自体は変わっていないはずなのにジャンルが違っている感じがある。

ロックンロール感というのは演奏方法や曲調より「レコード」という媒体によってもたらされているのかもしれない。どのくらい音が混ざって聞こえるかがロックンロールの肝なんだろうか。

音が混ざると、その結果歌声が前面に出て、他の楽器演奏が一体になってちょっと後ろにある感じがする。なので、ワーッとした歌が第一で演奏がその盛り上げ役になっているような曲はオリジナル版の方がイケてる感じがするかもしれない。逆に、演奏の美しさや歌声の繊細さで勝負している曲はクリアに分離された方がイケている。

和田唱さんはそれを写真に喩えて「背景がピンぼけで主役がはっきりしているか、背景までクリアに写っているか」という感じに表現していた。そんな感じがする。

 

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