今月のテーマである「今日(こんにち/きょう)のタスク管理」について。自分のこんにちの形式に至るまでの経緯を振り返ってみたいと思います。フローの説明というより認識の変化の話になるのでちょっと長くなります。

 

紆余曲折

Remember The Milkが流行っていた頃には、私もいくつかのタスク管理アプリを試しては飽き試しては飽きしていました。

なんとなく粒度が相応しくないとかアプリの操作が手間だとかいう感想を抱き、やがてDynalistやTransnoといったシンプルなアウトライナー上でやるようになりました。

やることの管理そのものは一応それで回っていたのですが、そもそも「アウトライナーに情報が溜まる一方」という状態が微妙に感じて、次はScrapboxやObsidianなどに日付単位のページを作ってその中に書き込むようになりました。アウトライナーの使い方が良くなかった、という問題はここでは置いておきます。

すると今度は、アウトライナー以上に他の日付の欄との分断が強くなったために、数日継続するタスクや「今日思いついたけどいつやるか具体的に決まらないタスク」などの管理に不満を抱くようになりました。時間は容赦なく流れるのでもやもやしながらどうにかしていたのですが、タスクを管理しようと考えていること自体が足枷になっている感も生じてきました。(多分「管理」という表現が自分に合っていないのだと思います。)

もやもやしている期間はそこそこ長かったような気がします。その後、そもそもどういうビューでタスクを把握したいのだろうかと考え、実際的な使いやすさは脇に置いて自分が見やすいレイアウトを追求しました。

しばらくはこれを使っていましたが、その間にたまたまタスクとプロジェクトの関係について考える機会があったりして、やがて根本的な問題に気づくことになりました。

 

転換

タスク管理という概念に当初からなんとなく憧れのようなものを感じていたのですが、それは「何をやればいいのかわからない」、もっと言うと「どう生きればわからない」という思いから来ていたと思います。仕事として今やることが整理されていないという実務的で切実な問題と同時に、どこに向かって日々何を積み上げていけばいいのかわからないという謂わば「豊かさの欠如」的なものを抱えていた感じがします。

その両方を同時に解決しようとしていたので、タスク管理ツールには実務的に必要なもの以外の内容を書き込んでしまっていましたし、スケールとかスパンとか、そういう規模のイメージをうまく整理できずツールにも落とし込めなかったのだと思います。

タスク管理専用のツールを使わなくなった時点でその問題点にけりがついたわけではありませんでしたが、専用ツールではない、柔軟かつ適当に情報を置いておけるツールに移ったので、「何をやるのか」と「どう生きるのか」は自然にある程度分離された感があります。

話を戻しますが、タスクとプロジェクトについて考えた際に、私の中では「実現したいイメージ」と「0個以上の具体的な行動」のセットが一単位だ、というふうに整理されました。そして「実現したいイメージ」というのは、抽象的なものから具体的なものまで何段階も入れ子になっているだろうと。そしてここには「どう生きるのか」も含まれるわけです。あくまで「実現したい」であって、義務があるものも単に理想として思っていることもどちらもカバーします。

そして、その実現したいイメージのこと、つまり「前に進める必要があると考えていること」を「トピック」とし、単に「やること」を「ToDo」として言い換えることにしました。この両者をはっきり区別して且つ同時に扱いたいと思ったのです。

その発想をベースに、Topic Managerというツールを作りました。今言ったように両者を同時に扱いたかったのでToDoも管理できるように作りましたが、やってみると重要なのはトピックの把握だったとわかったので、結局は専らそちらの用途に使っています。そしてこれは「よくわからなくなったら見に来て、たまに更新する」もので、常にチェックするものではありません。自分という人間の地図みたいなものです。ツールとしては普通のアウトライナーでもいいのですが、トピックに関してトップダウンのイメージを自分にもたらしたくないので敢えてこういう形にしています。

こうすることで人生が上手くいくようになりました、なんていうストーリーは特にありませんが、「整理がついていないことが気になっている」という領域が着実に小さくなっているようには思います。

 

「きょう」のタスク管理

じゃあToDoの方はどうしたのか。

場としては自作のアウトライナーになるのですが、俯瞰のために行われていることとしてはLogseqでのQueryを使ったToDo管理と同じようなものになっています。つまり、デイリー欄やプロジェクト毎の欄などあちこちにToDo属性を付けたノードがあり、それをまとめて取得して表示できる状態です。

画像

今のところはまあこれでいいかという感じですが、上述した「自分が見やすいレイアウト」からは大きく離れてしまっているので、どうかなというところがあります。ただ、アウトラインを複数配置することで上述のレイアウトにある程度近い情報量を一覧できるようにはなっているので、変にプログラムを挟んで複雑にするよりはこれでいいかもと思います。

で、実際に直近でやることのリストもここで整理するかというと、そうすることもありますが、どちらかというと紙に書いてしまう方が多くなっています。倉下さんがお書きになっていたような「ミニマリズム的(あるいは禅的)シンプルさに回帰する動き」の結果と言えると思います。出先でスマートフォンから確認したいような場合はScrapboxに整理しておくことが多いです。(やったことの記録については画像にあるツールで行います。)

理想のツールを求めてプログラミングに精を出してきましたが、それとともにむしろ紙と筆記具を使う頻度は増しています。適切なデジタル化を図る過程で無理なデジタル化から解放され、適材適所になってきているのだと思います。

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