先日、GIGAZINEでADHDのタスク管理について読んだ。
まずは記事を読んでいく
まずこの記事についての所感を書いていこう。
エロー氏はクライアントからのストレスや経済的なプレッシャーに頼って物事を成し遂げてきたものの、このやり方は燃え尽き症候群や会社の倒産といった犠牲を伴うものでした。
この部分が身につまされて胸が苦しくなった。自分の性質に抗ってどうにか当座の仕事をやり遂げたとしても、それ以上動くエネルギーは残っていないのだ。一応どうにかできたという実績はありながらそれを常時再現できない。また時間をかけて十分なエネルギーを溜め直して、そして再び仕事で使い果たすというループになってしまう。それを一生続けるのかと思うととても生きていけない感じがする。
で、先延ばし癖に対処するためにゲームループをタスク管理に取り入れるということが書いてある。そしてそのゲームループはできるだけ多いほうがいい。まあそこまでは他でも聞いたことのある話だ。
しかし、これら1つ1つのタスクを行うのに20分、3つのタスクで合計1時間かかるとすると、1時間で得られるループはたった3回しかありません。また、1つのタスクに20分かかると考えると、タスクを開始するのが面倒くさくなって先延ばししてしまうリスクが高まります。
「家を掃除する」というタスクを一段階細分化した上で、それでも「1時間で得られるループはたった3回しかありません」と考える。なるほど。フィードバックの回数を多くしようという発想はわかっていたが、一時間あたりに三回しかない、というような計算をすることは思いつきもしなかった。
1つの1つのタスクを2~5分程度で終わるマイクロタスクに分割することで、タスクに取りかかる労力を可能な限り抑えると共に、すぐにフィードバックが得られるようになるというわけです。
うーん。前にこの手の話を読んだ時も、ここで頷けなくなった。それはそうだが、その管理を自分でしなきゃいけないならそれは結局ADHD的でないきちんとした人じゃないとできなくない?
そしてフィードバックは誰がもたらしてくれんねんという話だが、この人は紙をうまく使っている。
エロー氏は「それぞれのタスクを『付箋』に書き出し、タスクが終わると付箋を丸め、透明な瓶に入れる」という方法を考案しました。
これにより、タスクが終わるたびに「付箋をくしゃっと丸める感触」「付箋を丸めた時に鳴る音」「透明な瓶に丸まった付箋がたまって進捗(しんちょく)が可視化される」といったフィードバックが得られるとのこと。
なるほど。丸めるという行為に伴う刺激をフィードバックとすると。まだ有効性を信じられてはいないが、そういう五感の刺激が馬鹿にならないのはわかる。
1日の最初を良好なゲームループで始められると、その後の作業は勢いに乗ったまま、付箋なしで進められる場合もあります。その集中力が続いている場合は付箋を作らなくてもOKですが、やがて付箋にないタスクを先延ばしにしていることに気付いたら、数分ほどかけて集中力を高め、次の3~5個のタスクを付箋に書き出すといいとのこと。
付箋がなくていいなら作らないでどんどん進む、というのは非常に重要。付箋づくりが目的になって手を止めることになると本末転倒だ。
そして何かをやれてないことに気づいたら、その時点で勢いをつけるための付箋を生成する。よいコントロールだと思う。とはいえ……。
この方法はエロー氏が試してきたどのようなシステムよりもうまくいっていますが、ひとつ大きな問題がありました。それは、毎日数十枚もの付箋にタスクを書き出すのが面倒という点です。怠惰な気分になってしまった日は付箋を書くことができず、生産性が急落してしまったとのこと。
そりゃそう。それができたら苦労しない。デジタルツールでもそれは同じだ。そこでエロー氏はレシートプリンターを導入して、それで万事解決したという話でこの記事は結ばれている。
まあ単純な話、レシートをガーッと印刷してちぎるのは楽しい。なのでそれをピンで留めるとか丸めて瓶に入れるとかまで含めて確かにゲーム的ではある。それでも、多分自分がやったら続かないなという予感がある。そのまま真似ても駄目そうだが、しかし部分的には取り入れられそうな気配はある。
一部真似してみた
ちょっと考えて、とりあえず小さい紙にタスクを書くということをまずはやってみることにした。
私は裏紙を4センチ×5センチ程度に小さく切って紙片を用意した。可能な限り雑にやれるようにしたいのと、裏紙の使い途に困っていたことによる。
そしてとりあえず抱えているタスクを書いていった。どうせ済んだら処分するので筆跡はめちゃくちゃでよく、とにかく速く書いていく。タスクは少なくとも着手した日の内に終わる粒度にする。日を跨ぐようなら塊が大きすぎるので分解する。書いた紙はパソコンの脇に並べていく。
で、実際にタスクをやる。エロー氏はここで「丸めて、瓶に入れる」ということをするわけだが、私はそれだとなんかちょっと合わないかもと思った。なので、丸めないで小さい容器にただ入れていくことにした。ちなみに敢えて紙の幅より小さめの容れ物にして、紙が斜めに重なっていくようにした。そうするとおおよそ何枚入っているかが見える。たくさんになると、うれしい(小並感)。
しかし丸めないとなるとフィードバックが減ってしまうことになる。代わりに、終わった時点で時刻を右下に書き入れてから容器に入れた。つまり時刻のログつきのタスクカードが時間順に積み重なっていくことになる。
パソコン脇にタスクを書いた紙が並んでいるにもかかわらず、そこにないことをやってしまうこともある。実際やらねばならないが予め書いていなかっただけのこともあるし、今やらなくてもよかったけどどうしても先に片付けたくなったということもある。その場合は途中で(あるいは終わってから)紙にその内容を書いて、完了したら時刻を書き入れ容器へ。
一日の終りに(あるいは翌朝に)容器から紙片の束を取り出し、Capacitiesのデイリーノートに転記する。どうしても面倒くさければ区切りとして日付を書いた紙片を重ねておき、次の日にまとめて転記する。
所感
こうしてみると、まあゲームループの再現としての効果があるかどうかは置いておくとして(それほどフィードバックを増やそうとはしていない)、タスク管理を実際的にやりやすくなったという実感がある。
というのは、タスク管理をパソコンの画面の中でやらなくてよくなったことで、タスクの確認と記録のために注意を中断させられることがなくなったのが大きい。画面はそのままでただ目を右に移せばタスクが把握できる。
あと紙片なのでタスクを縦横に並べられたり重ねて置いておけたりするのもよい。デジタルだと縦一列が基本で、サブタスク機能は何かしらの親子関係が前提である。「ただ重ねる」という感覚ではない。
時間の記録が完了のチェックマーク代わりという形になったのもよい。チェック+時刻の記録というのは僅かながらも手間なのである。
タスクの洗い出しや全体の把握・管理はデジタルでやるが、今日明日やるタスクはデジタルツールのデイリーノートやタスク管理ツールを使うより紙片でやった方が自分に合う気がする。
なおこれまでにも紙でやっていたことは普通にあったし最近もたまにそうしていたが、いつもノートまたは一枚の紙にその日のタスクを列挙する形だった。そうするとやれなかったものはリストの中に「やれなかった」という記録として残る。
しかし個々のタスクを紙片にすると、やった記録しか残らず、何をやれなかったのかは記録されない。それはなかなか気が楽だ。反省が必要ならそれはその都度反省すればよく、別にその必要がなければスルーでいい。
まだ試し始めて一週間ほどだからこれがベストとかいうことは言えないが、今のところは手応えがある。デジタルツール上の記述はこれまでと変わらないので、この一連をやろうがやるまいが後から困ることはないし、試すのも気楽だ。デジタルツールにしろ紙にしろ「拠点」を変えてしまうと試行錯誤がしばしば環境を荒らすことになる。これは拠点は変わっていないので何も影響はない。
元の記事の内容とはもう離れているが、タスクを紙片で把握・記録するという方式は今後も続けてみようと思う。
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