自分はよく気が散り、注意があちこちに向き、飽きやすいタイプだ。「じっとしていられない」のとはちょっと違う感じがあるが、単純作業を長く続けるようなことは難しい。身体は動かなくても大丈夫だが頭の中はあちこち動いていないと耐えられない。
何かを進めるにあたって、それに集中し続けるということが難しい。その対処法として前に「飽きたら別のことをやる、を高速回転させて生きる」ということを書いた。長時間の集中が無理なのだから飽きるまでの短時間の集中を繰り返し続ける作戦を取るということだ。飽きによって「実質何もできていない」という時間が発生することさえ防げば、ひとつひとつ着実にということができなくても、その日の自分の最善は尽くせるだろうという話である。
加えて、先月「タスクを紙片で把握・記録する」という話をした。一個一個紙に書いてパソコンの脇に並べておくと、視線移動だけでタスクがわかるし、好きなように縦横に並べたり重ねたりできるのが良いということを書いた。
この二つの話と関連することだが、私としてはいっそ作業場を三箇所くらい用意してそっちやりこっちやりしたほうが逆に効率が良いという感がある。と言うとマルチタスクをやれるタイプと思われるかもしれないが、そういうわけではない。そっちやりこっちやりというのは同時に(あるいは分単位などで)やっているということではなく、何十分とか一時間ちょっととか、なるべくひとかたまりを長く取る努力はしつつも、人よりは短い時間で、そして作業の区切りの良さとは全く無関係に急に飽きるので、その程度でさっさと移るということだ。場合によってはもっと短いことはある。長く続けられるなら続ける。
で、今何が進行中なのかはタスクの紙片で表示する。一般的なタスク管理ツールに見られるような縦一列に並ぶビューだと、「そっちやりこっちやり」を自分の感覚と一致する見た目で表現するのが不可能なので、そのようなツールは自分にとっては不自由に感じる。ちなみに「タスクリストの上から順番に」は私にとってかなり難しいことである。どうしてもその順番でなければ人様に迷惑がかかる、というレベルまで切羽詰まらないと「淡々と順番に」ということができない。
ということで自分にはこのやり方が良さそうということを考えたのだが、「気が散るタイプ」「飽きやすいタイプ」全体に通用する話なのかというとちょっと違うような気がする。
複数の作業場を用意するとして、それが物理的に作業台を複数確保するにしろパソコンの中でアプリケーションを複数用意するにしろ、それらの存在は常に視界に入っている状態になる。で、そのことは私の認知には特に影響を与えない。むしろ、同時に稼働している作業場が何々かを常時把握していないと不安なので、視界に入っていないと困るとさえ言える。
私は「今自分にどんな行動の選択肢があるのか」をいつも認識しておきたいし、飽きた瞬間に他のものをその場で選んで移れるのが理想である。何事も視界から外れるより入っていてほしいので、アプリケーションのメニュー類や情報の類も、明らかに使わないもの、つまりそもそも自分の行動の選択肢にならないもの以外は全部表示されていたほうがいい(ただし存在感は小さいほうが嬉しい)。
一方で、そのように他のものが視界に入ると直ちに自分の集中を乱すので視界に入れたくないというタイプもたくさんいると思われる。というか、集中しにくいタイプの人の対処法というのは普通「余計なものを視界に入れない」ということのほうだと思う。
このことを考えると、情報の並びに対する解釈、認知資源の消費の仕方というものに違いがあるのかもしれないと思う。
私も情報を同時に抱えている状態では認知資源をガンガン消費する。上で書いたようにマルチタスクが可能なタイプではない。しかし情報の上を視線がぐるぐる回っているだけだと体感的に消費しない感じがある。頭の中では何か特定のことを考えながら、目はあちこち巡って表示されている情報を確かめていたりする。
情報が画面や紙面などに並んでいる状態に対して、「同時に抱えているもの」と感じるか「ぐるぐる回るところ」と感じるかがそれぞれの解釈で違うのではないかと思う。その違いによって、「隠せるものは隠したほうがいい」と感じたり「表示できるものは全部表示しておいたほうがいい」と感じたりするように思う。
例えば机の上の整理でも、ごちゃごちゃわけわからない感じに雑然としているのはよくないにしても、完全にすっきり片付いていたほうがいいのか、作業する場所は空けつつ全部一目で分かるように並んでいたほうがいいのかが違ってくる。「気が散りやすい」「飽きっぽい」という自覚だけだとどちらが有効なのか判別できないかもしれない。
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