机の上はしばしばごちゃつく。使ったものが机の上に溜まっていくからである。
溜まっていく理由は二つある。
然るべき置き場所があるが、そこに戻すのが面倒くさい
机の上以外に適切な置き場所がない
例えばペンが溜まっていくとすれば、ペン立てなどが然るべき置き場所で、そこに戻すのが面倒くさいから溜まっていってしまう。基本的にはやはり「戻す」ことを目指した方がいいだろう。ペン立ての位置を工夫するとか片付ける時間をどこかのタイミングで取るとかいう対処だ。
しかし、机の上に溜まっていくのはそういうものだけではなかったりする。机の上にないとあまり意味がないものである。例えば時計とか、カレンダーとか、電卓とか、メモ用紙とか、いつも目にしていたい置物とか、様々ある。分類的なもので場所を決めて仕舞ってしまうと存在をすっかり忘れ去りかねないものもある。それらは仕舞う先がはっきりしない。机の周りの引き出しを一応の定位置としつつも微妙に納得いかないままでいるものもある。
そういうものは机の上に置いておけるなら置いておいた方がいい。その方が自分の生活が快適だからだ。しかし机のスペースは限りがあり、全部は置いておけないこともある。となると、机を大きくする(あるいは正面に棚を増設する)か、やむなく仕舞うか、選べるのはどちらかである。
私の環境だと机上のスペースを拡張するのはちょっと無理なので、仕舞うことを選択せざるを得ない。
机の上以外に適切な置き場所がないと言いながら、結局然るべき場所を作って仕舞うことになるわけだが、仕舞い方で少しでも「机の上の延長」感を保持したい。
仕舞う場所として、机からまあまあ近い場所にある(座ったままでは届かないが、一歩踏み出せば届くくらいの距離にある)スチール製引き出しを選択した。一段のサイズはA4が収まるくらいの深さ8cmのもので、それが十段ある、レターケースとかトレーキャビネットとか言われるようなものだ。別にそういう事務用然としたものである必要は全然ないが、たまたまそういう引き出しがあるので、その一番上の段を使うことにした。
なんでもいいのだが、私の感覚としてはA4以上で浅すぎず深すぎずのものが良いと思う。そして引き出し自体が軽くて、本体からその段を取り出して持ち運べるのがいい。
机の上を延長したいので、ずばり「机の上」と名付けた。前面に嵌めるプレートに「机の上」と書いた。そこに、本当なら机の上に置いておきたいが今現在はちょっと邪魔になるのでひとまずどけるもの、を入れていく。
結論としてはそれだけのことなので、ここからは余談である。
本当なら机の上に置いておきたいものというのは、上の方で書いたようにカテゴリとしては多岐に亘るだろう。もしその物だけを見たら同じ括りには決して入らないようなものが、机の上には様々並ぶのである。
例えば電卓とオブジェとは全然違うカテゴリのものだ。店で買うにも全く異なる場所に足を運ばなければならない。物を基準に仕舞う場所を決めるとすれば、電卓はガジェット系のものをまとめた場所に置きたいかもしれないし、オブジェはオブジェでまとめた棚に並べたいかもしれない。
そうして物基準に仕舞う場所を定めると、「机の上に並べておきたいもの」をピックアップする時には各カテゴリの置き場所を巡ることになる。出すのも大変だし、仕舞うのも大変だ。季節のイベント的に総入れ替え作業などをやるならいいが、日常的には手間ばかりかかってしまう。
なので、明示的に「机の上という共通項」で括った場所を作ることで、互いに全然関係がないようなものも普通に同居させていいことにする。これが「適当な箱にとりあえず入れる」に留まると雑然とした感じが拭えないままなのだが、「机の上」コーナーにすると気分として納得しやすい。
そしてまた出したい時にはその引き出しごと机に持ってきて、狭いようなら他のものと入れ替えたりして模様替えをする。机の上にあったものが一箇所にまとまっているので、以前の様子を復元することも簡単になる。多分入れ替えは頻繁になるし、むしろ毎朝「今日の机の上」をセットする習慣をつけてもいいくらいかもしれない。片付けるのも大事だが、出しておくのも大事だ。
机の上の片付けのために引き出しをひとつ割り当てるというのは前に見たことがあるやり方だし、多分やっている人は普通にやっている工夫だと思う。
ちなみに、今現在「机の上」引き出しには、メモ書き、付箋、USBメモリ、電卓、ピンセット、文鎮などが入っている。
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