先月、ObsidianがWebクリッパーのブラウザ拡張機能を公開して話題になっている。
とても簡単で便利! かつてEvernoteにガンガンクリップしていたのと同じ感覚で使えそうだ。
Evernote時代のWebクリップ
そのEvernote時代は、なんでもかんでもクリップしたことでごちゃごちゃしてきて、自分でやっておきながらそれがストレスを生み出していた。
どうしてごちゃごちゃしているように感じたか。それはWebクリップのように自分の手や頭を通さず機械的に作られたデータが、自分の作ったデータに対して多くなりすぎたから。いや、数のバランス以前に同じ場所にあること自体がごちゃごちゃ感を引き起こしていたかもしれない。
検索すると色々引っ掛かってしまうということが、「それこそが便利」だったかもしれない一方で、自分の中の情報の住み分けと感覚的に合っていなくてうっすらストレスになっていた。
あと個人的には、Evernoteのデータというのがひとつの大きなデータベースとして存在していたのも「不純物の混在」を強く感じさせる要因になっていたなと思う。ローカルファイルならひとつひとつのページをもっと自由に「個別のファイル」として認識できて、邪魔になったらとりあえずアプリケーションが自動で認識しない場所に取り分けておく、みたいな操作をできればスッキリできた。それは「バックアップを取っておいて削除する」とは感覚的に異なる操作なのだ。
巷では「大量にクリップしたけどそれらをさっぱり活用できていない、だから無駄だった」という話はしばしば聞くし、それは私もそうだった。ただ個人的にはそもそも「活用」のためではなく「安心」のためにクリップしていたので、そのことは事実ではあっても、Evernoteへのクリップが嫌になる理由ではなかった。
Webクリップ専用Vault
こんな感じで「なんでもかんでもクリップ」が後々のストレスに繋がっていたわけだが、しかし現実問題としてWeb上の情報というのはいつ消えるかわからないので、取っておきたいものを取っておく手段がないと不安だ。
なのでWebクリップがいい感じにできるツールというのをずっと探し歩いていて、時にはWebページをそのまま「名前をつけて保存」で保存することもあった。しかしいずれも機能面でEvernoteのような納得感はなく、ずっとこの形で保存していこうとは思えなかった。
今Evernoteが無料で軽快なら100%Webクリップ専用のツールとして使うところだが、現在はそのような安いサービスではなくなったのでEvernoteには戻れない。最新の機能をフル活用するならともかく、ただ「Webクリップしたいから」で高い料金を払うのはさすがに現実的ではない。
そんな中で登場したのがObsidianのWebクリッパーだ。感覚としてはEvernoteを使っていた時と似た感じがする。レイアウトが保存されないわけなので取得できるのは文字情報だけになるが(画像もURLを取得してくれるがリンク切れになる可能性がある)、基本的にはそれで間に合う。見た目ごと保存したい時は別途スクリーンショットを撮る。
Obsidianならローカルファイルなのでその後の取り回しが自由だ。そしてこのWebクリッパーはVaultを指定できるため、Webクリップ専用のVaultを用意してそれに溜めていくことができる。他のものと混ざらないので大量にクリップしても自分の空間が侵食されることはない。
Obsidian再び
Obsidianは前に使っていたが、この頃は他のアプリケーションに拠点が移って出番がなかった。しかしCSSやプラグインを自分で書いたりして色々と格闘してきたこともあり、愛着はあるので何か用途はないかなと思っていた。
そしてちょうど空席だったWebクリップ用ツールという役割をObsidianが担えるようになった。Webクリップどうするか問題とObsidian何かに使えないか問題が同時に解決した。
Evernoteでの失敗を受けて「無闇矢鱈とクリップしても情報のゴミが溜まるだけ」という結論が出されているのを見かけたことはあるが、私はむしろ気楽に適当に「ちょっととっとこ」くらいでクリップしていこうと思う。そもそも役立てるためにクリップするのではないので、見返すこともないかもしれないが、別にそれでいい。何かしら興味が湧いたということのログになればいいのだ。
クリップしただけでは役に立たない、というのは本当にそうだと思う。なので情報を役立てるためには自分の手と頭を使って情報を適切に加工する必要がある。それはそれとして、とりあえず自分の手元に持ってきて安心を得るというのも私の中で重要なことなので、それが簡単かつ綺麗にやれるObsidianのWebクリッパーの登場はたいへんありがたい。
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