文章を書いて発表するということには色々なハードルがあると思いますが、私の中で足枷になってきたもののひとつが「大事なことは一発で全部伝えなきゃ」という気持ちです。
ふにゃっとしたパンチのない書き方をしてしまうと、折角思いついて書いたのに読み手にいまいち刺さらず、そのままネットの大海の中に消えていく……という現実は確かにあるのですが、でもそうやって儚く消えてしまうのは「一度書いたからもう書かない」という無意識の自己ルールによってそれ以上の働きかけをしなくなるからに過ぎない、とも言えるなあと思いました。
バージョンアップの発想
多くのサービスがバージョンアップということをしますよね。世の中の製品は全部がそうだとも言えます。芸術作品だって、一度発表したのと同じ構図・同じモチーフで再び創作するということはよくあることです。
それなら、文章や主張をバージョンアップしていくのも当然のことと思えます。
実際、本でも改訂版を出すのは全然珍しいことではないですし、要するに同じ話だよねという内容を何度も繰り返し本にして出版している作家は結構います。
それなら、個人がブログなどで発信することだって、同じテーマを何度も取り上げて考え直して書き直して、少しずつより良い結論に近づけようとするのは何もおかしくない。しつこいなあと思われたとしても、「だってこれ大事なんですよ!!!」と言えるなら何度でも書く価値がある。むしろ、素人なんだからプロの何倍も試行錯誤してしつこくブラッシュアップに努めて然るべきですよね。
加えて、前からの変化・成長にも情報として価値があるというふうにも思います。既に高みにいる人が究極の真理をすらすらと唱えるのと、未だ発展途上の人がひとつひとつ階段を登っていく過程を吐露するのとでは、同じ結論を語っていても伝わり方が随分と違います。どちらが良いというのではなく、どちらも無いといけないというか。
レベルアップの要件
それに、一人で完璧なものを作り上げるまで黙々と取り組んで本当にすごいものが作れるか? という疑問も当然あります。作り上げている人もいるので絶対無理なわけではないにしろ、自分にそれができるかと問うてみるとどうも無理な気がしてなりません。できた頃にはもう他の人がもっとすごいことをやっているかもしれないし。
これまでの経験から言っても、基本的に書き方というのは「実際に書いて、書き終えて、人の目に晒す」ということを繰り返すことでやっと前に進むもののように思います。しかも、本気で伝えたいことをその時点での本気で書いてみる、という気合の入れ方をしないときっと足踏みしてるだけで終わってしまう。
その時書けることしかその時は書けないわけで、その時書けることを書かないと次の日新たに書けることが増えていくこともありませんよね。一人で精進し続けられる人も、一通りきちんと書き終え、それをその都度他人の文章かのように客観的に読み直すということができるからこそ進歩するのだと思います。そのような客観視はなかなか難しいです。
自分の文章を客観的に読むには
元々自分のことを客観的に見る能力がある
他人事になるまで時間が経つ
人目に晒すことで自分のスイッチを切り替える
この三通りかなと思いました。客観視に自信がない且つ早くなんとかしたいという場合はやっぱりどんどん発表していくのがよさそう。
イラストでも、投稿した瞬間に自分の絵が違って見えるということがあります。不思議な現象だなあといつも首を傾げています。
ということで、主張が一発で決まればかっこいいけど、大事なことは何度書いてもいいよね、と思いました。というか、伝えたいなら伝わるまで伝えるんだよ、というだけのことかもしれない。きっとこのテーマも将来書き直すことになるんだと思います。
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