鳥山明の訃報にショックを受けている。まだ信じられない。

 

多くの人がきっとそうであるように、私にとってもドラゴンボールは自分の人生に於いて重要な作品だ。

単行本と大全集を全て揃えてだいたいの映画を見てカードダスもでかいホルダーが必要なほど集めて(つまり親がそれに付き合ってくれて)、幼少の私の何割かはドラゴンボールで構成されていた気がするほどで、今振り返っても人生上一番熱心になっていた作品だなと思う。もちろん絵もいっぱい描いた。

でもドラゴンボールという漫画がどれだけすごいものだったかを理解したのはかなり後になってからだった。なにしろ私が生まれた時にはもうドラゴンボールは当たり前に存在していて、漫画というのはつまりこういうものなんだろうと思っていたからだ。はじめてまともに読んだ漫画だったと思う。自分の中では漫画=ドラゴンボール、くらいの存在感があった。

私が知っているのは漫画42巻とGTまでのアニメ、龍拳爆発までの映画だけで、その後の展開は全然把握していない。なので今となってはファンと自称するのは気が引ける。知っているものについても記憶が曖昧になっている部分は多い。しかし子どもの頃の私は間違いなくドラゴンボールの大ファンだった。

 

そしてドラゴンクエスト。キャラクターもさることながら、モンスターのデザインに大変な影響を受けた。倒すべき魔物でありながら、コミカルで愛嬌があり、仲間にできるならしたいと思うデザイン。繰り返し繰り返し遭遇するものだから愛せるデザインをしているのはゲームに於いて非常に大事なことだ。

私の中にある、非人間キャラクターの見た目の理想像というものは、99%ドラゴンクエスト、つまり鳥山明(および彼の影響を強く受けた人々)によって構築されたものだと思う。モンスターの絵も子どもの頃たくさん描いたな。

私が熱中したゲームベスト5を挙げれば「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド」「ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵」の2作品が入るだろう。ドラゴンクエストのモンスターを見ていた時間が一体どれだけになるのか想像がつかない。ゲームをやっていない時間もシリーズ作品の攻略本を眺めていた。

ナンバリング作品についても、気に入っているのはモンスターを仲間にできるⅤとⅥだ(なおプレイしたのはⅦまで)。そう考えると、私はドラゴンクエストが好きというより、ドラゴンクエストのモンスターが好きなのかもしれない。鳥山明が創造するいきものや機械が好きだった。ドラゴンボールの敵キャラや異星人も好きだった。

 

キャラデザと言えば、知っているゲームを振り返る限りキャラクターの完成度はクロノ・トリガーが随一だと思っている。全員が隙のないデザインをしている。何より鳥山明ならではの色使いが良かった。ドラゴンクエストのパッケージを初めて見た時もあの色使いに心惹かれた記憶がある(最初に見たのはⅤだった)

きっと自分で自覚しているよりずっと多くの影響をそこかしこから受けているのだと思う。あまりにも小さい頃からそばにあったものだから改めて意識を向けるような機会を持たずに来たけれど、もし鳥山明のいずれの作品も目にすることなく生きていたら自分がどういう感性になっていたのかちょっと想像できない。でもあと十年や二十年「当たり前過ぎて意識していなかった」ものであってほしかった。

 

鳥山明先生は本当に亡くなってしまったのか。やはり全然信じられない。ただただ呆然としている。